【DEEP89】昇侍に疲労困憊勝利、水垣偉弥「4割、5割しかできずに課題が残るなかで勝てた」
【写真】 顔に打撃で受けた傷はほとんど見られない水垣だった(C)KEISUKE TAKAZAWA/MMAPLANET
12日(日)に開催されたDEEP IMPACT 89で、約1年振りの実戦──3年8カ月ぶりの日本で試合、そして10年半ぶりの国内プロモーションでのファイトで、水垣偉弥が昇侍に判定勝ちした。
組んで倒すという新たなスタイルにチャレンジし、動きが落ちた後半には殴り合いに応じつつ、必死に組みつき続けた言ってみれば泥臭いファイトで勝ち切った水垣の話を大会終了直後に訊いた。
──おめでとうございます。
「ありがとございます。もう3Rとか鬼バテでした……」
──腹が効かされたのでは?
「いえ、腕パンになってしまって。今回は四つ組みから展開を作ろうと思って、そこには拘ってやってきたのですが、腕がパンパンになってしまいました。やはり練習と試合は違いますね。スタミナが落ちたというよりも、3Rには拳を握ることができないくらい腕パンになっていたんです。そのせいでパンチの切れがゼロになってしまったような感じでしたね」
──倒しては立たれるというなかで、水垣選手の動きが落ちて昇侍選手の打撃の勢いが目立つ展開に見えるようになっていきました。
「そういう風に見えたと思います。ただ、どれだけバテても恰好悪くてもやり切ろうと戦いました(笑)。打撃は見ていて分が悪かったですか? 飛びヒザが一度掠って、それが危なかったのはありますけど、そんな効いたのはなかったんですけどね」
──昇侍選手の打撃でやり切る打撃と、水垣選手の組みに繋げる打撃の違いで振り回し感が違ったかもしれないです。テイクダウンも打撃を嫌がったという捉え方をされると劣勢に見えますし。
「打ち合いから逃げたと取られるということですか?」
──そうだと思います。
「僕としては打って組んで、打って組んでの連続で削っていこうと思っていたので。組みの方が展開を作れると考えていましたし。テイクダウンしてハーフバックから殴ろうと思っていたのが、結構簡単に立たれてしまいましたね。でも、フルマークで勝ったと思っていました。やりたいことをやっていたので」
──ラウンド毎の裁定は分からないですが、2Rを失ったのではないでしょうか。
「1Rは打撃戦からテイクダウンに入れて感じは良かったので、そうかもしれないですね。う~ん、そうやって考えるとテイクダウンしてから、もっと抑えないといけないですね。片手片足の対角線は取っていたつもりだったんですが、潰しきれなかったです」
──足の抑えがルーズに見えました。
「ルーズでしたか? 練習ではかなりできていたんで、実戦で試したかったんですけど。抑えが甘かったですか……。腕がパンパンになってからは、もうポイントを抑えることができなくなっていきました。まぁ上手くいかなかったですけど、試せて良かったです」
──腕がパンパンになり、テイクダウンから展開を作ろうという作戦も殴り合いになると、応じていましたね。
「本当はあんなことするつもりはなかったのですが、あそこで勝負してきたので、ついついやりやってしまいました」
──やりあえるから、ダブルレッグに入ることができた。そういう間合いで戦えたと思います。
「そうですか? いや、そんな風にいってもらえるとは思っていなかったです。最後はあんなボロボロになっていたし」
──魂のダブルレッグ、良いじゃないです(笑)。
「でも、あの試合がUFCレベルでできるかといえば、あんな風に何度も四つで倒せることはないでしょうし、もっともっと練習をして精度を高めないといけないです」
──やはり、UFCへという想いが粘りにつながっているのでしょうか。
「もう、そこしか考えないでやってきたので。それを貫き通すだけですね」
──ここで勝ち、UFCを目指すために次の舞台というのはもう心に決めていますか。
「いえ、何も考えていないです。とにかく、ここで勝ちたいと思っていたので」
──今日は凄く良い雰囲気の大会でした。また日本で戦うということは?
「これからのことは、またマネージャーと相談して考えます」
──あと、今日は泣かなかったですね。
「あっ、なんですかね? 涙が出るという感じにならなかったですね、意外と普通でした(笑)。やりたいことにチャレンジして4割、5割しかできずに課題が残るなかで勝てた。ボロボロでも勝てたので……勝って反省できるということを今後に向けてポジティブに捉えたいです」