【Shooto 30th Anniv.】サクレッグに冷や汗の勝利、岡田遼「このままじゃ勝てなくなると教えられた」
【写真】想像以上の苦戦にもしっかりと判定勝ちを収め、岡田の症状からは安堵感があふれていた(C)MMAPLANET
6日(月・祝)に文京区・後楽園ホールで開催されたShooto 30th Anniversary Tour=後楽園昼夜大会、その第1部で修斗✖チーム・ラカイの対抗戦が組まれた。
黒澤亮平、箕輪ひろばの練習に続き、満を持して修斗環太平洋バンタム級チャンピオンの岡田遼がケージイン、この日がMMAデビュー戦となるジアン・クラウド・サクレッグと対戦した。
序盤から強烈なローを蹴りこんでくるサクレッグに対し、テイクダウン&コントロールで勝負に出た岡田は、判定勝利を収めてなお「ヤバい」、「怖かった」と言う言葉を重ねた。
──既に修斗勢が連勝、最後にチャンピオンとして登場した。相手はデビュー戦、もうフィニッシュしかない。そんな状況でしたが、サクレッグが予想以上に強かったです。
「前の2人がボンボンとフィニッシュしたので、自分はチャンピオンだししっかりと勝たないといけないというのは思っていました。でも、とにかく一番大切なことは勝つことなので……そこは徹底して、勝つために戦いました」
──最初のローからして、勢いがすさまじいモノがありました。
「外せる距離だと思っていたんです。でも、当てられました。(ダニー)キンガド君とかの試合も見てきたので、ヒザ下のローは想定内でした。だから、そこも練習で準備をしてきたのですが、想像を超えた距離から、想像を超えた踏み込みのスピードでした。
分かっているのですが、外そうとしてももらってしまって……。しかも効かされました。前に会見の時に、高島さんから『MMAは見ていないけど、ミット打ちは凄かった』と聞かされていたのですが、想像以上でした」
──私にしても、あくまでもミット打ち。ММAではないし、岡田選手が苦戦をすることなどないという気持ちで話していたのですが、ここまでとは……。
「すぐに『これはヤバい』と思いました」
──最初のダブルは間合いやタイミングが素晴らしかったです。ただし、それ以降はもうこれしかないという必死のテイクダウンでした。
「その通りです。アレを切られていたら、ヤバいと思って仕掛けていました。上になってからも、和田竜光選手がキンガド君からサイドをとった時に、もの凄いブリッジでひっくり返したシーンがありましたし。
計量の時に青木さんに『どうですかね?』って尋ねて、『サイドとかマウントは強烈なブリッジがあるから、ハーフの方が良いよ。バックなら良いけど、サイドとマウントはもの凄くフィジカルの強い素人が相手だと思って気を付けた方が良い』とアドバイスしてもらっていたんです。
それなのにサイドを取って……。金網を蹴られてときに、凄いブリッジの強さでした。『アッ、これか!』と。皆、これでやられているんだと思いました」
──試合中、岡田選手の気持ちが弱くなっているのでないかと心配になりまいた。
「いや……実は試合が進むにつれて弱気になっている自分がいました(苦笑)。正直なところ、『こんなはずじゃない』という感じで戦っていたんです」
──ギロチンを抜かれた時に精神的なダメージは?
「あれもちょっと……心が萎えました。手応えはバッチリでもう極まると思っていたので。ここまで精神的に追い詰められる試合になるとは思っていなかったです。
あの選手がダブルレッグを切れるようになっていくと思うと、ゾッとします。本当に2回目と3回目のテイクダウンを切られていたら、結果は違うモノになっていたかもしれないので」
──それでも最後は上を取って、勢いのあるパンチを落として終わることができました。
「上を取れて終わることができたのは、良かったです。最後まで気持ちは切れなかったですし、やるべきことは遂行したので。チャンピオンとして最低限の結果は残せたかと。でも、その前にテイクダウン狙いをがぶられて、パンチを受けた時は本当にヤバいと思いましたよ(苦笑)。
やっぱり体の強さがちょっと違いますね。正直、今日出た3人の中でもあの選手は抜けていなかったですか?」
──抜けていました。散打でもワールドカップ優勝、さらに格上の世界選手権で3位という成績はエドゥアルド・フォラヤンぐらいしかチーム・ラカイでも残していないと思われます。
「末恐ろしいです」
──10勝0敗なら、覚悟もできたと思います。でも、デビュー戦ですからね。
「本当にデビュー戦ですかね? 3、4戦の選手とも違いますよ。アマチュアMMAとかでキャリアを積んでいないですかね。高橋遼伍選手とも試合後に少し話をしたのですが、『あれでMMAデビューなら、あの選手は本当にヤバい』と言っていました」
──正直をいえば、岡田選手や斎藤選手にはブラジル人や元UFCファイターを当てて欲しいと試合前には思っていたのです。それが……。
「ヤバいですね。このまま普通に練習していたら、もう勝てなくなるぞとこの試合で教えてもらえたような気がします。凄く勉強になりました」
──まるで敗者のコメントのようですが、しっかりと判定勝ちができたわけですし。
「でも、頭をよぎりました。やられるかもって。本当に強かったです。いや、アレでデビュー戦というのはヤバくないですか?」
──本当にそうでした。ただ、デビュー戦だからこその勢いというのもあったかもしれないです。
「あぁ、なるほど……そうですね。思い切り来ていましたからね。あの思い切りの良さには、こっちから入れなくなってしまいました。怖かったです。対して、向こうは怖いもの知らずで。グラウンドでもどれだけ攻めても左腕を差してくるし、勝負を諦めない。エルボーでカットしても笑っていましたからね。攻めていても、追い詰められているのは僕の方でした(笑)」
──笑って振り返ることができるので何よりです。この経験を経て、今後の目標は?
「前から言っているように、僕はずっと修斗の世界王座を目指してきました。そのために環太平洋王座の防衛戦が必要なら、防衛戦も戦います。そうですね……世界のベルトを獲ってからの先のことはご想像にお任せします(笑)」