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【ONE92】マラット・ガフロフ戦へ、微笑みの国に棲む浪人・山田哲也「こんな強い人がいるだって」

Tetsuya Yamada【写真】1日目の計量でハイドレーションがパスしなかった山田は、当日計量が必要に。それでも「こういうことが面白いんですよ」と堂々としていた(C)MMAPLANET

3日(金・現地時間)にインドネシアはジャカルタのイストラ・ゲロラ・プン・カルノで開催されるONE92「For Honor」でマラット・ガフロフと戦う山田哲也。

タイはプーケットのタイガームエタイに所属し、終生をタイで過ごそうとする山田の感性は、日本人離れしている。あくせくせず、まるで空の上をフワフワと漂う雲のように、どのような状況を前にしても微笑んでいる山田。

と同時に試合に向けての恐怖を誰よりもさらけ出してきた。そんな彼が昨年6月から11カ月ぶりに実戦の舞台で、前世界フェザー級王者ガフロフと戦う。その独特な生き方ゆえ、1度はONEから離れることも考えていた山田は再契約を決め、ここで何を目指すのか。

微笑みの国に棲む浪人、山田哲也に尋ねた。


──昨年9月にプーケットで取材をさせていただいた時は、ONEとの再契約に関して熟考中でした。結果、再びONEで戦うことと決めた山田選手です。

「そうですね、色々と考えて他のプロモーションで戦おうと思った時期もありました。タイミングが合って、条件もそこそこ良かった韓国のAngels Fightに出場することも一度は決まったのですが、それが流れてしまって。でも海外で戦い続けるという考えに変わりはなかったです」

──それがAngelというのは……やはり山田選手は独特の考えも持っていた面白いです。

「いえいえ(微笑)」

──結果ONEと再契約したのは?

「ズバリ言うと、一番良い契約内容だったというのはあります。今年の1月になって、条件が良くて環境に慣れているONEで戦うことが一番だろうと思い決めました」

──ONEの影響力が、日本で強くなっているというのは関係していますか

「う~ん、どうですかね……。ただ、この試合で勝ってタイトルマッチが実現するのであれば、東京大会で挑戦して日本の格闘技界を盛り上げたいという気持ちはあります」

──そのうえでのマラット・ガフロフ戦。ガフロフは昨年9月に松嶋こよみ選手にKO負けしており、このタイミングの対戦はあまり旨味がないかと。

「1度はチャンピオンになっている選手です。その選手に勝てば3連勝になり、タイトルに絡んでいけると思うんです」

──山田選手はこれまでロシア、ダゲスタン人ファイターと戦うことに関して恐怖を隠さないという印象がありました。

「ONEでチャンピオンになりたいという気持ちが強いので、そこに尽きます。一番はチャンピオンになって目立ちたい(微笑)。そこを目指してやっていきます。

正直にいえばマラットは得意なタイプの選手ではないです。実際に2月に彼がタイガームエタイに来て練習をした時に感じたことは『これはダメだ!!』ってことだったんです」

──アレっ!!

「(微笑)。練習に参加している誰よりも強かったです。こんな強い人がいるだって思いました」

──ケージで触れたザイード・フセイン・アサラナリエフよりもですか。

「あっ、それはダギの方が強いです(微笑)」

──では練習仲間でもあるラファエル・フィジエフと比較するとどうですか。

「フィジエフも強いですけどねぇ……。でも、そのフィジエフがUFCでは後回し蹴りで負けて……」

──あれはショックでした。ガフロフに関しては、最大の強さは組みだと思いますが、どのような戦いをしようと考えていますか。

「1Rはきっと圧倒されると思うんですよ(微笑)。ガフロフが元気な間は圧倒されるはずなので、そこを丁寧に戦って何とかしのいで、2R後半から3Rに掛けてKOすることですね。そうですね、カウンターを考えています」

──狙いはKOですか!! それはこの間の練習で打撃にそれだけ自信がついたということでしょうか。そしてダゲスタン人を相手に打撃で勝つという考えに至るには、山田選手のなかで技術面だけでなく気持ちの変化もあったのでしょうか。

「この1年のほとんどを練習に費やしてきました。だから、打撃に関しても自信がついたということはあります。ただ、今回のガフロフ戦に関しては相手の組みの強さが分かっているので、勝負をするところは組みではないということなんです(微笑)。だから他の部分で戦おうと」

──なるほど(笑)。そしてタイトル挑戦を手繰り寄せると。

「ハイ。この試合に勝ったら、タイトル挑戦をアピールして組んでほしいと思っています」

──では金曜日の試合に向けて、日本でabema TVで山田選手のファイトを視聴してくれるファンに一言お願いします。

「abema……あるんですね(微笑)」

──その辺りの感覚ももう日本に住んでいる選手ともまるで違いますね(笑)。

「僕の試合を初めて視る方もいると思うのですが、絶対に諦めないという姿勢と、気合を見ていただきたいです」

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