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【Bellator220】殴られ、蹴られてTDを取ったフィッチだが、1-0のドローでロリマクが王座防衛&準決勝へ

<Bellator世界ウェルター級選手権試合&ワールドGP準々決勝/5分5R>
ローリー・マクドナルド(カナダ)
Draw.0-1:47-47.47-47.47-48
ジョン・フィッチ(米国)

しっかりと体が戻っているフィッチに対し、マクドナルドが右を当てる。腰が落ちたフィッチが組んでケージにマクドナルドを押し込むと、頭を股間の下に入れて尻もちをつかせる。左手を取られているフィッチだが、アンクルピックで立たせない。マクドナルドはここからキムラにとってスタンドに戻るが、クラッチが切れるとフィッチが低い姿勢で組んでいく。

切ったマクドナルドがワンツーを入れ、右ミドルハイ。すぐにフィッチが組んでいくも、バーピーからチャンピオンが離れる。マクドナルドは素早い左ジャブを見せ、右ストレートへ。続いて右フックをヒットさせる。腹に前蹴りをいれ、右フックとマクドナルドが制空権を握る。それでもフィッチにとっては、地対空ミサイルというべきシングルレッグでテイクダウンを奪うとマクドナルドが背中をマットにつける。ハイガードのマクドナルドは、顔面を殴られない位置を取る巧妙なガードワークを駆使している。このまま初回が終わった。

2R、ダブルレッグで倒されながら、その勢いを利して立ち上がったマクドナルドは、ここからフィッチのテイクダウン狙いを徹底して切っていく。ケージを背にし、頭を刈りに行くマクドナルド。この展開で削られるのはどちらになるのか。やがてフィッチはマクドナルドにスイッチを許さずバックコントロールへ。マクドナルドが胸を合わせて離れると、右ハイキックへ。顔面に蹴りを受けながらキャッチしたフィッチだが、ここはテイクダウンに結びつけることができない。

マクドナルドは右ストレートを当て、シングルを切る。パンチを打ってテイクダウンというのが必勝パターンのフィッチ──パンチを被弾しながらのテイクダウンではやはり倒すことできず、ダメージも蓄積していく一方だ。左フックから右ストレートを伸ばしたマクドナルドに対し、フィッチはヒザ蹴りを受けてなおその蹴り足をキャッチ、リリースした直後にミドルを蹴るというこれまでにない動きを見せる。

その後フィッチは左ボディ、左ミドルからダブルレッグと、攻めの姿勢から組みつきテイクダウンに成功する。背中を譲って立ち上がったマクドナルドがクラッチを切ったところで、フィッチが後方からハイキックを狙う。マクドナルドは、この蹴り足をキャッチしてテイクダウン、上を取って2Rを戦い終えた。

3R、フィッチが右オーバーハンド、マクドナルドはテイクダウンに右ハイを当てる。それでもダブルレッグでドライブしたフィッチは、ダブルレッグでテイクダウンを奪う。バタフライガードのチャンピオンに対し、頭を胸につけることでフィッチが上体を起こすことを許さない。背中を譲りつつ立ち上がろうとしたマクドナルドを、フィッチが前方に崩す。ハーフになったマクドナルドは、エルボーで右目じりをカットされた。

マクドナルドはスクランブルに持ち込めず、腰を切っての腕十字もフィッチが苦も無くヒジを抜き、トップコントロールを続ける。ついにラウンド終了まで立てなかった王者がラウンドを落とした。

4R、ワンツーの右を打ち込んだマクドナルド、シングルには体を反転させて足を抜くと、またも組んで来るところに右ハイを当てる。ついに腰砕けになったフィッチのシングルに、背中に乗ってパウンドを打ち込むマクドナルド。バックフリップのようにマクドナルドを背中から落としたフィッチは、アンクルピックから組んでいく。そこにパンチを入れ、離れようとしたマクドナルドの右足にしがみついたフィッチは、頭を低く両足の間に入れ左足も取りながらマクドナルドを寝転がらせ、自らは体を反転させることで上を取り切る。マクドナルドは即スクランブルから立ち上がると、フィッチはダブルレッグでケージに押し込み、キムラクラッチのマクドナルドを倒していく。キムラを続けるマクドナルドだが、窮屈な姿勢になりこれを解除、フィッチのトップ奪取が完成した。

ここもハイガードのマクドナルド、フィッチが鉄槌をまとめる。ボディにコツコツとパンチを打ち続けるフィッチは、肩を深く入れることで三角を取らせない。またケージもあって腰が切れないマクドナルドに、鉄槌を入れる。ただしフィッチも大きなパンチが取れる態勢でなく、しかも残り10秒でブレイクが掛かるなどフィッチのトップは膠着と見なされた形でラウンド終了となった。

最終回、マクドナルドが飛びヒザを繰り出す。フィッチは右ジャブからの低い姿勢で飛び込み、ここもマクドナルドに尻もちをつかせる。チャンピオンは三角クラッチを組みにいくも、極めよりも時間の経過を狙っての動きか。残り2分、マクドナルドはバタフライガードから腰をずらし、ケージにもたれていく。背中越しにマクドナルドの右手を取り、引き寄せることで背中をつかせたフィッチがワキにエルボーを落とす。

背中をつけた状態が続くマクドナルド、フィッチが体を起こす力を利して立ち上がる。フィッチは懸命にテイクダウンを奪いに掛かるが、アンクルを取られても腰を落としたマクドナルドは倒れず、試合はタイムアップに。

3Rと5Rを取ったフィッチ。4Rは序盤にクリンチの攻防で打撃を数多く受けており、終盤のトップコントロールをどのように判断されるか。この4Rが勝敗のカギを握ると思われたが、ジャッジの裁定は──ジャッジ1人が48-46でフィッチ、残りの2人が47-47でドローという意外なスコアに。

0-1のマジョリティドローでマクドナルドが王座防衛成功。「なんていうのか……凄く説明が難しいけど僕のベストパフォーマンスじゃない。彼は僕のスピリットとハートを変えた、僕はいつもと同じ人間ではなくなった。なんだろうな……」と混乱している様子のマクドナルドは、このドロー防衛という結果をもってワールドGP準決勝でネイマン・グレイシーと戦うこととなった。

ここでケージに上がったネイマンは「フィッチが勝ったと思ったけど、ローリーのことは尊敬しているよ。6月14日に戦おう」と話した。


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