【PFL2022#06】なるほど。打撃を当てるためのTD防御>TDアタック。サディボウ・シ、ロリマク破り4強に
<ウェルター級/5分3R>
サディボウ・シ(スウェーデン)
Def.3-0:30-27.30-27.29-28
ローリー・マクドナルド(カナダ)
試合開始直後にシングルレッグを仕掛けたロリマクが、ダブルにスイッチしてケージにシを押し込む。一旦離れたロリマクは、シの左ハイの直後に再びシングルレッグを仕掛ける。ここもケージに押し込むと、なんとロリマクは引き込みからハーフガード&ロックアップ、して立ち上がる。シも一度は体を入れ替えたが、すぐに押し返される。と、ロリマクのヒザが急所に入り、試合が中断された。
再開後、判定勝ちでプレーオフ進出のシは、まだ動かない。ロリマクのニータップもカットし、疲れるのを待つ作戦か。対照的に積極的に前に出るロリマクがハイキックを狙う。まだ時間まで5秒程度残っているなかで、シは背中を向けて両手を挙げて何やらアピール。シングルを取られながら殴ったことで、攻勢点と判断したか……。それとも、何か秘策があるのか。
2R、ここも開始直後にケージにシを押し込んだロリマクだが、ヒザを見せたところでポジションを入れ替えられる。中央に押し返したロリマクが、再びケージにシを追い込む。クラッチを組んだロリマクが両差しからボディロックテイクダウン狙いも、シが右腕は差し返す。ヒザの蹴り合い、クリンチ合戦が続き残り1分40秒で両者が離れる。
シが左ハイに続いて放った左ミドルが、ロリマクの腹に入る。シはスイッチしてジャブ時々蹴り──以外はテイクダウン防御に徹しきった。
最終回、ロリマクがすぐに組みつかずジャブ、右を当てる。ここでシングルに出たロリマクだが、やはりシが切ってカットしている傷口を狙ってパンチを入れる。シはケージに押し込まれ、離れると左ミドル。この回もケージ際でのクリンチ合戦が続き、ロリマクがバックに回るが倒しきれない。それでもボディロック&ヒザを入れるなど、攻めているのはロリマクだ。
シがどのようにポイントスコアを考えているのかが、見えないまま時間は残り2分を切る。と、ついにシがボディロック&小外掛けでテイクダウンに成功する。ロリマクはバタフライガード&ダブルアンダーフックでレッスルアップ、初回に続きヒザ蹴りが急所に入りレフェリーがブレイクを命じる。
シとすればあわよくばペナルティ獲得も視野に入れたか。レフェリーは「ポイントは奪わないけど、本当に注意しろ」とロリマクに声掛けをして試合がリスタートする。シはジャブから左ハイ、ロリマクが組んでケージへ。左フックに離れたシは、今度は右ハイを蹴っていく。組んでヒザ蹴りのロリマク、ジャブで回るシは前蹴りをかわして左ミドル、もう一度左ローを見せ、ロリマクのパンチをかわしたところで時間となった。
直後に勝利をアピールしたシが、してやったりの3-0で判定勝ちを収め、マゴメド・マドケドカリモフが脱落。トータルジャッジでなくラウンドマストでジャッジ3者揃って最初の2つのラウンドをシとしたのは、打撃を当てるためのテイクダウン防御が、テイクダウンの仕掛けより評価された……MMAとしてのアグレッシブネスとケージコントロールを一から考え直さないといけない判定といえる。
また敗れてなお、プレーオフ進出のロリマクも強い不満を表すことなかった点は、PFLの特徴といえるだろう。ともあれウェルター級の準決勝はロリマク✖マゴメド・ウマラトフ、シ✖カルロス・レアルに決まった。