【Bellator】ベラトールと契約したストラッサー起一「改めて世界に挑戦したいという気持ちに」
【写真】この日々を再び世界にぶつける時がやってきた (C)MMAPLANET
ストラッサー起一がBellaorと契約を果たした。一度は自らのキャリアップを日本の格闘技界で成し遂げようと決めたファイターのベラトールへの挑戦。
その背景には自身の確かな成長への自信と、UFCで戦っていた時にその力が備わっていたらという想いだった。強力な陣容が整うベラトール・ウェルター級戦線で打って出る、ストラッサーの心境を尋ねた。
──ベラトールと契約がなったという話が伝わってきました。いつ頃から、ベラトールで戦うという話が浮上していたのでしょうか。
「年が明けてからですかね、ベラトールとの交渉が始まったのは。RIZINで大晦日に試合があるのかどうか。僕も準備していたのですが、声が掛からなくて。契約も年末で切れますし、もう一度海外で戦えないかと気持ちが固まりました。
ただ一昨年の年末に北岡選手と戦う頃から、打撃が凄く伸びていて。あの試合後も自分が上達しているという実感があったので……またUFCとか世界に挑戦したいという気持ちは芽生えてきていたんです」
──今、まさに『また』という表現を使っていましたが、RIZIN参戦を決めた時には海外挑戦ではなく、日本のTV格闘技でトップになってやろうという気持ちにシフトしていたわけですか。
「RIZINに声を掛けてもらった時は、日本で有名になろうという目標を持ちました。そういう気持ちで挑戦していたのですが、もう1度世界に挑戦したという気持ちが大きくなってきたんです」
──RIZINではライト級転向も試みていたようですが、北岡戦が75キロ契約、住村竜市朗戦はウェルター級でした。
「ライト級は無理でした。体重を落とせたとしても、絶対に動けないと思いました。そしてウェルター級はバンタム級やライト級と比べて層が薄いので試合機会も、なかなか巡って来ない状況もありました」
──RIZINという場も貴重な経験になったかと思います。
「北岡選手と戦わせてもらって、去年は住村選手。この2つの試合の勝利がなければ、今回の契約もなかったと思っています。だからRIZINには凄く感謝しています。
と同時に改めて世界に挑戦したいという気持ちに、させてもらうこともできました。失礼な言い方ですが、日本人選手と戦うオファーをもらった時に、UFCにいた時のようなゾクゾクするモノは感じられなかったです」
──それは北岡選手との試合でもなかったということですか。
「勝負に挑むわけですから、プレッシャーはありました。UFCをリリースされてRIZINでも北岡選手に負けると、僕の評価はそういうモノだとなってしまうので。精神的なプレッシャーはありましたが、勝負としては勝って当たり前という気持ちでした。ただ北岡選手が75キロという契約体重で受けてくださった事には本当に感謝しています。
さっき話したようにボクシングが進歩していたのは、今のボクシング・コーチとの出会いがあったからでからなんです。北岡戦の4カ月前ぐらいから指導を受けるようになり、凄く手応えを感じていました」
──どのような手応えを?
「相手の見え方とバランスです。逆にこういうことを知らずによく戦っていたなと思ったほどです。こんなに何も知らなくて僕はUFCにいたんかって。だから北岡選手に負けることはないと思っていましたし、勝ってからもずっと成長し続けていたことは住村戦で立証できたと思います。
UFCにおる時に、これができていたらと凄く思うようになり……今の力やったら世界に挑んでも前とは違う、行けるっていう気持ちがどんどん強くなったんです」
──その打撃と、ストラッサー選手は反省しきりだったニール・マグニー戦で見せた組み力が合わさったら、どうなるのかと本当に期待が高まります。
「マグニー戦は……気持ち的にフワフワしているダメな部分がそのまま出た試合だったので、やっぱり今戦ったら普通に勝てるという自信もあります」
──それでもUFCではなくベラトールと交渉したというのは?
「とにかく海外で戦いたいというのが、僕の希望でした。盛り上がってきているONEというのも、頭にはありました。それにベラトールに関しては戦ってみたいという気持ちはあっても、日本人を取ることはないという印象が強かったので、行くのは厳しいと思っていました。
でもマネージャーの石井さんと話をしたときに、ベラトールという言葉が意外にも聞かれたんです。そこから絶対にベラトールで戦いたいという気持ちになりました」
──右に倣えでなく、他と違うことをしたいという気持ちはありましたか。
「いえ、それはなかったです。単純にベラトールのレベルが高いからです。現時点ではユーロシリーズのロンドン大会という方向で話をしています。時期的にも良いのと、英国には姉が住んでいるので、とにかく戦えるならちょうど良いかなと思っていました。
でも、僕はどこでベラトールでのキャリアのスタートを切ろうが、米国に行って戦うつもりでいます」
──ストラッサー選手がベラトールで戦うということは、日本の格闘技の可能性が広まり、選手も選択肢が増えることになりますね。
「う~ん、そこで何かが起こるとか自分では考えていないです。けど、とにかくベラトールのウェルター級はレベルが高いということを重視しました」
──ウェルター級ワールドGPが行われていますが、世界王者ローリー・マクドナルドが4月にジョン・フィッチと戦い、残っているメンバーはマイケル・ペイジ、ドゥグラス・リマ、ネイマン・グレイシー。負けた選手もアンドレイ・コレシュコフ、ポール・デイリー、エド・ルースととんでもないメンバーが参加していました。他にもロレンツ・ラーキン、21勝0敗のヤロスラフ・アマソフもいます。
「キャリアの集大成ですし、素晴らしい舞台だと思います。もう気持ちも入って、日々の過ごし方、見え方が変わりました。試合に勝っても、次の試合が決まらないとか、周囲は試合をしているのに僕はないということで、精神的にも追い込まれていましたし。
正式に決まった時は、気が付けば涙がこぼれ落ちていて。その時に自分はこんなに精神的に厳しかったんだと自覚できたんです。
この舞台を用意してくれたマネージャーのためにも、僕は絶対に頑張ろうと思います。これまで色々な経験をしてきて、今が一番強いという自信もあります。試合までしっかりと仕上げて、最高の状態で戦い──世界で通用するんだと証明したいと思っています」
──ストラッサー選手がベラトールで目指す場所は?
「もちろんチャンピオンです。ベラトールのウェルター級はオールスター戦のようなものです。UFCの場合はそこと戦うのにランク外、中堅選手との試合が必要ですが、ベラトールは間がいなくて、すぐに強い選手と戦える機会が回ってくるはずです。そこで試合結果を残せば、名前も売れてアピールもできます。コーナーを全開で攻めていくような感じで、ベラトールで戦っていきます」