この星の格闘技を追いかける

【Brave Fight18 & Grachan39】失意の1年からのやり直し、芦田崇宏「楽しんで戦う心境ではない」

Takashiro Ashida【写真】取材、そして撮影といえども笑顔を見せることはなかった芦田 (C) MMAPLANET

10日(日)に東京都大田区の大田区作業プラザPIOで開催されるBrave Fight18 & Grachan39のメインで芦田崇宏が崎山勲と対戦する。

1昨年12月に上迫博仁を破り、DEEPフェザー級王者となった芦田は師匠・宮田和幸と同様にRIZINで戦うという目標を掲げていた。しかし、6月にノンタイトルで弥益ドミネーター聡志に敗れ、雪辱を喫した10月の再戦でも返り討ちにあいベルトを失ってしまった。

絶頂からどん底を経験した芦田が、自らが所属するBraveジムの10周年記念大会のメインで再起を図る。引退も考えた敗北から4カ月を経て、今も険しい表情を浮かべ続ける芦田の心情とは。


──2戦2敗、ベルトを失った2018年は芦田選手にとって非常に厳しい1年になったかと思います。

「簡単にいえばどん底でした。トップから下に落とされただけでなく、DEEPのチャンピオンになって次を考えていたので、ベルトを巻く以前の敗北とも違います。それでも、ここで止まっているわけにはいかないです。

次を目指すのであれば、もう29歳になりましたし止まっている時間はないですから。確かに敗北から完全に立ち直ったとは言えない部分もありますが、気持ちを入れ替えてやっていこうという気持ちです」

──タイトルを失った時に進退については考えましたか。

「控室に戻った時に『このまま続けてもダメだ。またやり直すぐらいなら辞めようか』というネガティブな状況になっていました。やはり負けた直後は、そういう風になりがちだと思います。でも、その直後に宮田先生に『やり残していることがある』と言っていただき、その言葉がなければ2、3日ほど考えて引退を告げていたかもしれないです。負ければ終わり……それぐらいの気持ちで、試合には向き合ってきたので」

──宮田さんの言葉で引退を踏みとどまり、Brave10周年という大会で復帰戦を戦うことになりました。

「勝手にBrave10周年大会には俺が必要だっていう自負がありました。僕はBraveができてすぐに入門してずっとやってきたので。DEEPのチャンピオンのままでいたとしても、なんかしらの形で関わらせてもらいたいと思っていました。それぐらいの思い入れはありました」

──崎山選手にはどのような印象を持っていますか。

「前回の試合しか見ていないのですが、組むのが好きな選手ですね。体格も少し背が低くて、筋骨隆々で……組みの選手だなっていう感じです。でも、思い切りの良いパンチでKO勝ちしているので警戒は怠らないです。

どうしても去年の負けがあるので、やられたらどうしようというネガティブな考えになることはあります。でも、僕がやってきたことを信じて戦わないと、この10年間が本当に意味をなさなくなってしまいます。この10年間やってきたことを自信にして、冷静に奢ることなく戦います」

──1月の会見の時もそうでしたが、芦田選手の表情が硬いというのが正直な印象です。

「あの2敗があったうえで、崎山選手もオイシイと思って僕の首を狙ってくるわけですし。相手はリスクのない戦いで思い切りぶつかってくるでしょうが、ここをクリアしないと今後が本当になくなってしまいます。そういう気持ちが、どうしても普段から顔に出てしまうのかもしれないですね(苦笑)」

──リスタートの一戦ですから、そうなりますね。

「楽しんで戦うという心境ではないですからね(苦笑)。あんな負けを経験して、楽しめないです。僕のキャリアはこういうことの繰り返しで、一つ一つ這い上がってきました。でも、もう時間を掛けられない。ここをしっかりとクリアして、上を目指すしかないので。

DEEPのベルトを取るまで、その資格がないと思っていたのでRIZINに出たいとは口にしていませんでした。ベルトを巻いて初めて言葉にした目標で、今の僕はその資格はないです。

なので次の試合に勝って、また資格を得ることができるよう戦って勝っていくしかないと思っています。いくら練習しても、この気持ちはクリアできない。試合で突破するしかないですから」

──まだ崎山戦をクリアしていないですが、資格を得る戦いとはどういう試合になるのでしょうか。

「どこで誰というのはないです。チャンスが回ってきたところで結果を出す。これまでと同じです。ただし、負けた相手と戦って勝ちたいという気持ちはあります。それは絶対にあります。このままでは終われないですから。負けは認めていますが、その相手にケジメをつけたいと思わないのであればファイターとして疑われますよね。

だからこそ、またケージのなかに入って究極の状況で戦うことで自分を成長させるしかない。今は自分を上手く追い込んで、試合にもっていきたいです。しっかりと練習して自分を高めて試合を迎える。繰り返しになりますが、格闘技を楽しんでいる場合ではないです。前回も負けられないというプレッシャーを自分に掛けていましたが、今回は違ったプレッシャーを自分で掛けています。引退とか色々考えたうえでの試合ですが、『この試合に勝たなきゃ』というだけではないプレッシャーです」

──敗北に言い訳ができないのが、1✖1の格闘技です。

「ハイ、結果を出すしかないです。精神面ということでも、自分が強くなるための試合です。そこにBrave10周年大会ですし、自分を支えてくれた人たちに安心してもらえるよう……色気を出さないで勝ちます」

PR
PR

関連記事

Movie