【JBJJF】全日本マスター出場、奥野“轟天”泰舗「新しい会員さんは僕には柔術家のイメージしかない(笑)」
【写真】奥野のことをMMAファイターでなく、柔術家として慕うCAVEの会員さんと (C) TAISAKU OKUNO
23日(土)&24日(日)に東京都墨田区にある墨田区総合体育館で日本ブラジリアン柔術連盟(JBJJF)主催の第13回全日本マスター柔術選手権が開催される。
競技としてブラジリアン柔術の特徴が最も表れているといっても過言でないマスター大会。なかでも全日本マスター柔術選手権は参加選手も多く、レジェンドが出場することで注目を集める。
今年も前回以上の盛り上がりが見られそうだ。なかでも異彩を放つのが、修斗やDEEP、パンクラス、戦極と国内トップMMAプロモーションで戦ってきた奥野“轟天”泰舗の出場だ。マスター3紫帯ミディアムヘビー級&オープンにエントリーしている奥野は「今、柔術にはまっている」と言う。そんな奥野が全日本マスターでどのような試合を見せてくれるのだろうか。彼の柔術観と今後の展望に迫る。
Text by Takao Matsui
――奥野選手はMMAファイターの印象が強いので、JBJJFの全日本マスターにエントリーしたのは意外でした。
「そうですか? パンクラス柔術に出ましたし、自分の中では特別な感じはしていません。むしろ、当然というか自然な感覚でエントリーしました。もともと昔はアマチュア修斗に出ていましたのでエントリー料を払うのも抵抗ありませんし、出場する柔術家たちと気持ちは同じだと思います」
――プロの格闘家がアマチュアの大会に挑戦すると、リスクが大きいように思います。
「負けるとかですか? もちろん勝つためにエントリーしましたが、勝負ですから勝ち負けは仕方ないですよね。過去にラスベガスでワールドマスターにも出たことはありますし、普通に一本負けもしています。CAVEの代表という立場もありますが、そこを気にしていたら何もできませんから。それよりも、いち柔術家として柔術を勉強したいという気持ちの方が大きいですよ。帯の階級を上げたいし、大会にたくさん出てランキング1位を狙いたいです(笑)」
――そこまで、柔術にはまっているのですね。
「はまっている……、そうですね。その通りです(笑)。キャッチレスリングをやっている中で、ずっと柔術もやりたいと思っていました。MMAにも活かせると思っていましたので、機会があったらと考えていた時に、パラエストラTBに出稽古をさせていただく機会がありました。
今でもTBの会員なんですが、そこからはまって、CAVEの2階にゼブラマットを敷いて毎日、クラスを設けるようになったんです。嶋田裕太選手が月曜日に指導してくれているんですが、『僕のクラスが一番長いジムは、CAVEだけです』と言っていただきました」
――それほど柔術色が強いジムなのですね。
「先ほどMMAファイターの印象が強いと言っていただきましたが、新しく入って来られる会員の方は、僕に柔術家のイメージしかないようで、たまにミットを蹴っていると『会長は打撃もできるんですね』と言われたこともあります(苦笑)」
――それは新鮮ですね。そういう時は、何て答えるのですか。
「『でしょう! 僕にも打撃ができるんですよ』と言い返しています(爆)。それは、それで嬉しいですよね。新しい会員さんが入って来てくれるのもそうですし、柔術家のイメージがあるのも悪くないです」
――柔術のどこが楽しいのでしょうか。
「単純にやっていて楽しいのと、奥が深いところですかね。柔術をやることによって、MMAも強くなっている実感もあります。僕は不器用なので、戦いながら作戦を変更するのが苦手なんですが、昔より考えて戦えるようになっています。
柔術はロジカルなものをフレキシブルに対応していく特徴がありますよね。打ち込みや反復をして自然と体に染み込ませていくような印象があります。自分は、それが好きなので合っていると思います」
――打ち込み、反復はとても重要な練習のひとつだと思いますが、忍耐力を必要とするため嫌がる人もいます。
「僕は大好きですね。GUTS MAN修斗道場時代も、ワンツー1000本、1時間フットワークとかやりましたので、しんどかったですけど力になりました。柔術もやればやるほど、力になっていくので、そこが楽しいところです」
――全日本マスターでは優勝を狙っていると思いますが(ミディアムヘビー級とオープンクラスにエントリー)、目標というか野望はあるのでしょうか。
「大会での優勝はもちろん狙っていますが、CAVEで言えば、MMA、柔術やノーギ、キックボクシングとそれぞれのクラスでチャンピオンを目指せるようにしたいですね。3つの競技でうまく交流してもいいし、転向するのも自由。
そうすることによって、ジム全体の底上げをしたいと考えています。それは十分に可能ですし、自分も可能な限り挑戦していきたいですね」
――それでは、MMAの試合も続行ですか。
「負けたら引退と公言して負けてしまい、それを撤回する発言をしましたが次は未定です。決まっているのは、プロのリングへ上がる時までに、しっかりと柔術を習得したいということです。嶋田選手が今夏に米国へ行ってしまうので、それまでにできる限り技術を吸収するようにしたいと考えています。せっかく柔術を習っているのに、MMAの試合でバックを取られて負けるようではね……。もっと、しっかりと柔術を勉強します」
――では最後に柔術を習いたい方へのアドバイスをお願いします。
「体験チラシなどを見て運動したことがないから心配とか、運動神経がないからダメとか思っている方がいるかもしれませんが、まったく問題はありません。柔術は、一つひとつゆっくりと勉強していけば、誰でも必ず身につく競技です。少しでも興味があるならば、ぜひやってみてください。みんなと一緒に勉強して強くなっていく魅力に気づくはずです」