【JBJJF】九州選手権黒帯オープンクラス出場、禿川尊法「特定の技が、ずば抜けて強い選手が目標」
【写真】パラエストラ北九州の練習仲間たちと(C)TAKANORI TOKUGAWA
16日(日)、福岡県糟屋郡粕屋町のかすやドームでJBJJF主催「第12回九州柔術選手権」が開催される。
アダルト黒帯ウルトラヘビー級と同オープンクラスにエントリーしている禿川尊法は、黒帯として初めて臨んだ昨年の全日本選手権ウルトラヘビー級を制し、アダルト黒帯の年間ランキングでも2位に輝くなど、トップ戦線で活躍を続けてきた。
九州ウルトラヘビー級の雄は、どのような柔術人生を歩んできたのか。そのバックボーンに迫った。
Text by Tsubasa Ito
――いきなりですが、禿川(とくがわ)というのは珍しい苗字ですね。
「そうですね。『はげる』という漢字なんですけど、全国に3件しかない珍しい名前だそうです」
――たった3件ですか! そこまでレアな苗字ですと、家柄に特徴があるとか。
「そうです。宗教法人ですね。父が寺の住職をしています。僧侶関係なので『禿』という字を使ったのだと思います」
――現在のお仕事は?
「学校職員をしています」
――生徒さんたちは、禿川選手が柔術をやっていることを知っているのですか。
「言っていないので知らないと思います。スマートフォンで名前の検索もしていないと思うので」
――誰か1人が知ったら一気に広まりそうですね。
「そう考えたらちょっと怖いですね(笑)」
――ところで柔術を始めたきっかけは?
「大学まではバスケットボールをしていたんです。格闘技に向いているんじゃないかと友人から言われて、ピュアブレッド京都という総合格闘技の道場に入会しました」
――京都にいた時期があったのですね。
「僧侶の資格を取るために京都の大学に行っていました。柔術自体は2012年から始めました。最初は総合志向だったんですけど、打撃が余り上手くなかったんです。寝技は楽しかったので、寝技ばかりやっていたら今の形になったという感じです」
――ようやく自身に合ったものを見つけられたと。
「そうです。でも最初は手も足も出ないという感じでした。練習で初めて対戦したのが40代で中肉中背のサラリーマン風の方だったんですけど、絞め落されて衝撃を受けました。それまでは自分が強いんじゃないかと勝手に思っていました」
力ではどうにもなりませんでした。腕も簡単に折れるでしょうし、それこそ殺そうと思えば殺せるんだなと思いました」
――最初にそのような体験をしたのに、寝技が嫌いにはならなかったのですね。
「その時は嫌でした(笑)。やっぱり中学校から部活を経験してきて、一度始めたことを途中で投げ出すという考え方がなかったんです。心に決めていたわけではないんですけど、習慣づいていたという感じですね」
――パラエストラ北九州に移籍したのはいつですか。
「ピュアブレッド京都が閉鎖になった後は京都のグラウンドコアに所属して、森本代表から青帯をいただきました。その後にピュアブレッド福岡です」
――仕事を始めるタイミングで地元に戻ったと。
「そうです。その後にパラエストラ北九州に移籍しました」
――柔術志向が強かったからですね。
「その通りです。パラエストラ北九州は自宅から遠いので迷いました」
――柔術の試合に出だしたのはいつからですか。
「それまでは出たり出なかったりで、本格的に出だしたのはパラエストラ北九州に移籍した2014年からです」
――現在は週にどのくらい練習されているのですか。
「今は週2、3ですね。道場に通うだけで往復100分くらい使ってしまうので。最近はウエイトトレーニングが多いです。そっちも週2、3で今はウエイトがメインですね」
――昨年の全日本選手権はアダルト黒帯ウルトラヘビー級で優勝を果たし、黒帯の年間ランキングでも2位に入りました。ただし今年は全日本選手権に出場しませんでしたね。
「今年はあまり試合に出場できていないですね。職業柄、土日に仕事が被ることが多いので、遠征となると難しいです」
――では、12月の九州選手権に出場するのは日程の都合がついたことが大きかったと。
「それが第一です。できる限り試合には出たいと思っています」
――エントリーはまだ締め切られていませんが、現時点でアダルト黒帯ウルトラヘビー級は禿川選手ひとり、オープンクラスは禿川選手と西本健治選手がエントリーしています。
「西本選手がパラエストラ北九州に所属していた時は、技も教えてもらっていたので、私の成長を後押ししてくれた尊敬する先輩です」
――これまで試合で対戦したことはありますか。
「ないんです。今回が初めてですね」
――クローズアウトを選ぶのではなく、戦うと。
「そうですね」
――先輩との初対決が実現しそうですね。
「でも、締め切り直前になると選手が一気に増えることもあるので、まだわからないですね。もし戦うことになれば先輩の胸を借りたいです」
――昨年黒帯を取得しましたが、相手選手のレベルはいかがですか。
「高いです。フィジカルが弱い人はまずいないです。技術的にも、黒帯は強いです。だから落ち着く場所がないというか、絶対に気が抜けないです」
――ライバルと呼べる存在はいますか。
「グラウンドコアの福島裕樹選手は元チームメイトで私の先輩なんですけど、スパーリングで一回も勝ったことがないので、一度極めてみたいなと思います。試合で対戦したことはないです」
――かつて練習で敵わなかった先輩に試合で勝ちたいと。
「そうですね。後はカルペディエムの世羅智茂選手ですね。世羅選手も試合をしたことはないんですけど、元グラウンドコアで、スパーリングでやられ続けていました」
――ところで世界の舞台にも興味はありますか。ムンジアルの映像を見たりだとか。
「私はオモプラッタが好きなので、クラーク・グレイシーの動画をよく見ています」
――ご自身がムンジアルに出たいという気持ちは?
「出てみたいですね。まずアジア選手権で優勝してポイントを獲って臨みたいです」
――ファイターとしての夢や目標を教えてください。
「私はこれという強みがないので、特定の技が、ずば抜けて強いというのが私の目指す選手です。具体的にはオモプラッタとラペラチョークのふたつですね。この技をかけて負けたならしょうがないなと思えるくらいまで突き詰めたいなと思います」
――では、あらためて九州選手権への意気込みをお願いします。
「無差別級で優勝したいです。無差別級で勝てばそのカテゴリーでは一番強いと解釈しています。つねに無差別級で勝つことを目標にしています」