【DEEP86】武田光司とのDEEPライト級王座防衛戦に挑む北岡悟─01─「相手のことを見くびっていないです」
【写真】前編はプロフェッショナル・ファイター北岡悟の言葉。後編は人間であり、格闘家・北岡悟の言葉になっていきます(C) MMAPLANET
27日(土)に東京都大田区の大田区総合体育館で開催されるDEEP86のメインで北岡悟が、武田光司の挑戦を受けてDEEPライト級王座の防衛戦に臨む。
2年4カ月振りのDEEPでの戦い。7月にはRIZINでディエゴ・ブランダォンに完敗を経て、武田というデビューから1年2カ月で王座挑戦権を手にした相手を北岡は何を想うのか。
一言、一言──実に北岡らしい、リアルな言葉が聞かれた。
──試合まであと2週間(※取材は10月12日に行われた)となりました。DEEPで戦うのが……。
「下石(康太)戦以来ですよ。2年4カ月振りですね」
──久しぶりにDEEPで戦うことにどのような気持ちでいますか。
「う~ん……プロモーションの違いはあれど、試合は試合なので。DEEPで前に試合をしてからRIZINとパンクラスで試合をして3勝3敗という結果で。2度ほど、ベルトを返上した方が良いですかというようなことは話しました」
──それはDEEPになかなか出る機会がなかったからですか。
「いえ、負けたからですよね」
──RIZINで。
「ハイ。でも、持っていてくれというのに近いニュアンスのことを言われました。そう言ってもらえるのは認めてもらえている──必要とされているんだなって捉えました」
──何年に1回だろうがチャンピオンでいる限りはチャンピオンでいて、防衛戦を戦ってくれと。
「僕がチャンピオンであることがDEEPという団体にとって良いことなんだと理解しています」
──そういうなかで武田光司選手との防衛戦は、彼がツォゴーフ・アマルサナーに続き宮崎直人選手に勝った時点で、かなり濃厚かと思われていました。
「そうですね。モンゴル人に勝ったぐらいから、もうその流れでした。いないから……。下石がRoad FCからONE、岡野(裕城)は修斗とチャレンジャーとなりえる選手が海外や他の団体に移ったので。その次にいた江藤(公洋)君もONE Warrior Seriesに行くことになった。
そうなると新しい選手が出て来るのを持っている状態でしたからね。まだキャリアは少ないけど、強いであろう……という彼になったわけですよね」
──DEEPの現状として、ライト級で武田選手が挑戦者に最も相応しい力があると。2017年8月のデビューで、1年で6連勝という戦績です。
「キャリア1年といってもモンゴル人戦がデビュー戦みたいなモノですよ。それまでの試合はアマチュアみたいなレベルでしょう。正直、名前も知らないし、覚えてない相手と戦って。練習みたいな試合ですよ。
でも、ここ3試合の相手は強いし、内容もとてもある。相手として不足があるということはなく、強いと思っています」
──打撃でガンガン勝ち上がる選手は、このような戦績だと不確かな要素が多いと思うのですが、組んで制して勝っていることで確かな力の持ち主ではないかという見方もできます。打ち上げ花火的な勝ち方でなかった分。
「何ていうんですかね。心技体がある選手だと思います。ちょっと、あんまり試合前に細かく相手のことを説明しないといけない状況は好きじゃないですけど、まぁ戦いぶりは好感が持てますよ。根性もあるし。レスリングのスキルとかは、僕が知らないようなことまでできるかと思います。
グラップリングもレスリングと混ぜて、MMAのなかで消化できている。決して楽をしていなくて、やりきっている。勘はレスリングに頼っていると思いますが、まぁそれも当然だし。まだ試合でわざと見せていないモノも持っているかもしれない。それぐらいの気持ちで臨んでいます」
──デビューしたての人間に負けていらない。舐められてたまるかという気持ちは?
「そこまで相手のことを見くびっていないです」
──では4月のアマルサナー戦ぐらいから、武田選手が来るなという空気を感じ取っていたなかで7月のRIZINでディエゴ・ブランダォンに90秒で敗れた。そこはどのように捉えていますか。
「う~ん……、再起するお膳立てを作ってもらっているのだから、有難いことではあります。とても有難いことです」
──つまりはあの敗戦のあとに自身の進退を考えることはなかったということですね。
「RIZINからお呼びが掛かることはもうないかとは、一瞬思いました、試合直後は。ただ、そういう雰囲気ではないようです」
──組みにいき、引き込み。足関節を狙ってパウンドアウトというのはショッキングな敗北ではありました。
「勝つためにアレしかなかったから。上を取りたかったけど、2度のアプローチで一度引き込んだだけの話です。そうしたら相手のコントロールが強くて、だから足関節にいって殴られた。何も被弾上等でやったわけじゃない。勝つためにそのシチュエーションで、あの策を選んだということです。
初めから殴られても構わないから極めにいくつもりなんてなくて、瞬間、瞬間のシチュエーションでああなった。その結果です。それはあの時の相手と自分の力関係かもしれないし、自分のミスだからかもしれないです」
<この項、続く>