【Pancrase300】ライト級で冨樫健一郎と対戦、再起を図る上迫博仁─02─「自分のためじゃない」
【写真】ライト級で戦う。さらなる可能性を示す使命が上迫には存在する(C)MMAPLAET
21日(日)に東京都江東区のスタジオイーストで開催されるPancrase300で、冨樫健一郎と対戦する上迫博仁インタビュー後編。
減量失敗、ライト級で再起を掛ける上迫の1日をAmeba TVが制作するドキュメンタリー番組= ONE DAY が追った。
ミスター・ジャブと言っても過言でない冨樫との対戦を如何に捉え、またこれから何を見据えて戦っていくのか。プレッシャーを力に変え、上迫は復活を賭したデカゴンに足を踏み入れる。
<上迫博仁インタビューPart.01はコチラから>
──今にして思えば去年の12月の芦田戦前にインタビューをさせてもらった時とは表情も違いますし、何より声の張りが全く違いますね。
「ですよね。あの時は声が出ていなかったです(笑)。声がカスカスになって出なくなっていくんですよね。今はそこまででないので、さっきの練習がきつかったなっていうぐらいのレベルなので元気です。試合が終わっても、試合の時に近い体重に留めておけば良いって言われるのですが、それが無理なんですよ。そこで増えて、落としてという幅が大きくなっていって。減量はやればやるほどきつかったですね」
──ライト級で戦うには減量はどれぐらいあるのですか。
「多い時で通常体重が80キロぐらいで、普通は78キロぐらいなので10キロも落とさないですし、食事の調整なんかで作れる感じです。これまでは最後に6キロほど落としていたのですが、半身浴でやる水抜きというのはやらないときめているので、今回も最後まで動いて落とすつもりです。そこは今まで通りで変わらないですね」
──MMAは自分のパフォーマンスと相手のパフォーマンスのぶつかり合いです。ライト級に階級を上げることで上迫選手の当日のパフォーマンスが良くなったうえで、相手もこれまでより大きいです。
「そこまでネックになるとは思っていないです。言ってしまえば、1階級上がるだけで。僕自身、ライト級の方が適性体重なので。自分のパワーもあるし、相手が大きくなることは気にしていないです。元々はライト級だったわけだし」
──フィジカル面は日本で戦う限りは、ほとんど気にしないということですね。
「リミットに落として、戻すという同じことをやっているわけだし、そんなに差はでないだろうと思います」
──では対戦相手の冨樫選手ですが、試合を見ればどのような選手か誰もが分かるスタイルの持ち主であるかと。
「そうですね。自分もそうなんですが、距離を大事にしている選手ですね。そこの間合いの取り合いになると思います」
──ジャブに始まり、ジャブに終わる。極端にいえば、そういう選手だと考えられます。そのジャブが見事に当たる。
「凄く良いジャブを持っていますね。動画を見ても、忠実にジャブをついて深追いはしない。悪く言えば無難な戦いで、リスクを負っていないです」
──だからこそライト級の上迫選手が、距離という部分で持ち味を発揮できるのか試される。見応えのある試合になるのではないかと。
「僕のなかではやることは決まっています。狙っていることもあります。冨樫選手は凄く良いジャブを持っているのですが、そこを余り意識せず、自分の攻撃を如何に当てるかを考えて戦います。
冨樫選手に限らず、やることは変わらないです。今はフィジカルトレーニングをやっているのですが、フィジカルが手につかないぐらいに、その前の技術練習でヘトヘトになるぐらいやりこんでいます(笑)」
──減量が楽になって、楽しくなっている感じですか
「何ていうんですかね……減量に対する負荷は減ったのですが、その分プレッシャーは強くなっています。階級を上げたらダメになったと思われるのは、凄くダサいことなので。良い意味でプレッシャーになっていますね。そういうプレッシャーが掛かった方が燃えますし、プレッシャー好きなんですよね(笑)」
──プレッシャー好き(笑)。ライト級転向は当然MMAを続けていくことを意味しているのですが、では心機一転し今の目標をどこに置いていますか。
「目指しているところ……余り遠くを見ていないかもしれないです。ベタかもしれないですけど、一戦・一戦……一つ一つの試合を勝てば、また何か付いてくるのかなって。以前は遠くを見過ぎていました。なので足下を見て、転ばないようにしっかりとやっていこうかと思います」
──そこは去年の12月とは全く違うところですね。
「あの時は遠くを見過ぎちゃっていました。ここで勝てば次に〇〇があるという考え方をした時点で、いくつか必要なことを飛ばしてしまっているんです。そこが見えずに戦って、足を踏み外してしまった。もう真下を見て歩くようなイメージでやっていこうかと思います。
厳しい1年だったので、やっぱり上がりたいです。上がらないといけない。色々な人に支えてもらっているので、ここは使命というか自分のためじゃないです。やらないといけないです」