【UFC102】ノゲイラが鉄人撃破、クートゥアーは引退を否定
■第11試合 ヘビー級/5分3R
アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ(ブラジル)
Def.3R終了/判定
ランディ・クートゥアー(米国)
【写真】「伝説に勝って、初めて伝説になれる」と試合前に語っていたミノタウロ。伝説に勝利したことで、今後は現実路線での柔術マジシャン振りに期待したい (C) ZUUFA
異様な場内の盛り上がりのなか、笑顔を浮かべながらコールに応えるクートゥアー。両の拳を合わせてメインがスタートした。ノゲイラのジャブに、クートゥアーはジャブで対抗する。一瞬、組みついたノゲイラだが、すぐに距離を取り、右を返し、ダーディボクシングからクートゥアーがパンチを連打すると、ノゲイラは引き込む。
寝技に付き合わないクートゥアー。立ち上がったノゲイラは右ストレートを再び被弾する。差し合いから距離をとったクートゥアーは、距離を詰めて右アッパーを放つが、ここでノゲイラの右クロスを浴びてダウンを喫する。
グラウンドへ移行し、直後にダースチョークを極めに掛ったノゲイラだが、クートゥアーの抵抗にあい、自ら技を解く。ここからはディフェンスは二の次のような殴り合いへ。両者が顔面に拳を受けながら果敢に打ち合う中、ノゲイラはヒザを繰り出す。クートゥアーのダーディボクシングで左目の下に傷を作ったノゲイラだが、ケージに押し込まれながらもエルボーをよける。
打ち合いが続いた1Rが終了すると、館内は大きな声援に包まれた。2R、飛び込みながら左をヒットさせたクートゥアーだが、直後に左フックを受ける。引き込んだノゲイラに、クートゥアーはここでインサイドに飛び込む。手首、首を掴もうとするノゲイラに対し、クートゥアーはやや上方に乗り過ぎた感があるものの、クートゥアーはエルボー、ショートでヒジを落とし手首を取らせないようにする。
しかし、ここでノゲイラがスイープし、そのままマウントへ。首を殺し、パウンドを落とすノゲイラ。クートゥアーが珍しいハーフガードを見せるが、ノゲイラは構わずパウンドを続ける。そのまま肩固めをみせたノゲイラが、足を抜いてマウントの状態から締めあげ、さらにパウンドでクートゥアーを追い込む。クートゥアーのロールを潰したノゲイラだったが、ハーフに戻され立ち上がることを許してしまう。
再び距離を詰めて打ち合う両者、左のクロスをヒットさせたクートゥアーに対し、ノゲイラはヒザをボディに見舞い、さらに左ローを見せる。ここで2R終了のホーンが鳴ると、ノゲイラは両手を高く掲げ試合を優勢に進めていることをアピールした。
最終ラウンドは、クートゥアーのローでスタートした。パンチを浴びて、一瞬動きが止まったクートゥアーは、続いて右を浴びてダウンを喫すると、ノゲイラにパウンドを集中される。そのままパスに成功し、ニーインザベリー、再びサイドに戻る間、常に拳を落としたノゲイラ。ケージを蹴るクートゥアーだが、ノゲイラはその足を担いで反対側へパス。そのままバックを奪う。乗り過ぎだがケージに足を固定することでバランスをキープし、そのままチョークを狙うが、クートゥアーはトップを奪い返し、大声援に後押しされ、パウンドを打ち込む。
残り1分、ガードの状態で両脇を固めたノゲイラに左ヒジを落とすクートゥアーだが、距離を取ることができず威力のあるパウンドは落とせない。必死にエルボーを打つクートゥアーを最後の最後でスイープしたノゲイラが、UFCに移って初めて“らしい”動きを見せ、判定勝ちを手にした。
3-0で判定勝ちを収めたノゲイラは、ポートランドの観客の気持ちを踏まえ、「ランディは本当のチャンピオンだ」とコメントを残した。そして、昨年末のミアー戦に関し「試合の1週間前に病院にいた」と語ると、「もうヒザも大丈夫、UFCのベルトを狙いたい」と復活の狼煙をあげた。
果たして他のUFCヘビー級勢と戦った際にも、ノゲイラはこの日のような柔術家らしい動きを見せることができるのか。レジェンドが相手ではない試合で、確かめたい。
一方のクートゥアーは「敗北は残念だ。でも、これはそういうスポーツ」と語り、引退のコメントを引き出したいジョー・ローガンの問いかけを否定し、戦い続けることを宣言した。