【Pancrase297】仙三戦の経験を経て、マモル戦へ――若松佑弥「仙人みたいな人」
【写真】若松の内に秘めた想い。2月の敗北から、何が変わったのか (C)MMAPLANET
7月1日(日)、東京都江東区の新木場スタジオコーストで開催されるPancrase297。同大会のメインはウェルター級KOP王座決定戦=佐藤天×グライコ・フランサ戦が組まれている。
そして佐藤とTTMの同門・若松佑弥が2月のフライ級王座奪取失敗から、再起を賭けて前王者マモルと対戦する。
そんな佐藤と若松、両者の1日をameba TVが制作するドキュメンタリー番組= ONE DAY が追った。MMAPLANETでは、まずマモル戦に向けて、2月の敗北から如何に若松の内面が変わったのかをお届けしたい。
――2月にフライ級王座に挑戦し、敗北。その次の試合で前王者マモル選手と戦うオファーがあった時、どのように思いましたか。
「4月にマモルさんと春日井(たけし)選手の試合が無くなった時に絶対に来るだろうなと思っていました。ただ、ゆっくりしていた時期なので『うわっ』となったのは確かです。でもやるしかないので」
――『うわっ』となったと聞いて、逆にホッとします。これが平気だったら、ネジが切れているのではないかと。
「あまり言いたくないですけど、連続でかというのはありました。正直、仙三戦より進化しないと勢いだけでは勝てないです。ただ、ここを乗り越えたらまたタイトル戦が年内にあるのかも……とは考えていました」
――あれだけ取る気満々で、自信しかなかったタイトル戦で敗れた時は、どのような心境だったのでしょうか。
「終わった直後は絶望的でした。絶対に自分が勝って、ベルトを巻いてインタビューに答えるものだと思っていたので、気が付いたら天井を向いていた時に『終わった……』と思いました。
でも皆に良かったといってもらえて、全然終わりじゃないなと思えるようになったのですが、鼻の骨折があって練習もできなく、体調も戻らずスパーもできないよう時期が2カ月ぐらい続きました。マモルさんとの試合が決まるまでは、色々なところが痛かったですね(苦笑)」
――反動ってありますよね。逆にずっと100パーセントの自信を持ち続けるというのも危なく感じられるのも確かで、敗北の可能性があることを理解して取り組むのが普通ではないかと。
「精神的には大人に……、以前より大人になったと思います。これも勘違いなのかもしれないですけど。仙三戦のような絶対的な自信はないです。青木さんも言っていたのですが、MMAってキックやボクシングと違って何でもできるし、結構年配の方が生き残っている世界なので……そういうことも分かるようになりました」
――その典型的な選手と戦うわけですね。
「本当に想像の何倍も……なんだろうなと、覚悟しています。マモルさんは僕の歳と同じぐらいのキャリアがある。そういう人と戦う……僕なんてまだ3年目なので、何倍のキャリアということは、想像を絶する経験もしているだろうし凄くリスペクトしています」
――マモル選手のスタイルについは、どのような印象を持っていますか。
「MMAでああいうアップライトで構えて、トップ戦線で戦えるということは何かあるんだと思います。並の選手じゃ、普通にテイクダウンされるはずだし。戦ってみないと、何があるのか分からないですけど」
――仙三戦前と違いすぎませんか(笑)。
「でも試合なんで。もしかしたら、僕がすぐ倒しちゃうかもしれないです。と同時に最悪の場面も考えています」
――だからこそ、傍観者としては若い若松選手が倒すべき相手なのではないでしょうか。と同時に、それを許したくないマモル選手の粘りが見たいという。何より、若松選手はここで足踏みはもうできないです。
「一般からすれば、自分が勝って当たり前ですけど、選手からすればそんな簡単なモノじゃないです。だからこそ、練習でも試行錯誤をしてやってきたので……凄くプレッシャーはありますが、多分大丈夫です(笑)」
――気を付けるべき点はどこになりますか。
「今までみたいに絶対に倒してやるということは、あまり考えてないで戦います。でも、そんな考えだけでも……相手は仙人みたいな人なので、攻めるときとは攻める。倒すときは倒すように戦って、やっぱりお客さんに喜んでもらえる試合はしたいです」
――仙三戦の前のマモル戦があれば、まったく違う心境で戦っていたかもしれないですね。
「正直、マモルさんと神酒選手の試合を見ていて、『俺なら一撃で倒せる。1Rで勝てる』と失礼なんですけど、そう思っていました。でも、上に来れば来るほどKOがなくなる――そういうこととか分かってきました」
――それがチャンピオンシップで敗れ、強くなるために学んだことでしょうか。
「そうですね。でも、まだ分からないです。次に勝たないと。自分は前回の負けがあったから、ここまで来たんだと言えるようになるためにも次は絶対に落とせないです。死ぬ気で……死ぬ気でというか、前回よりも燃えています」
――若松選手の試合の後に、佐藤天選手のタイトル戦が控えています。勢いをつけるためにも負けられないという気持ちはありますか。
「絶対に負けられないという気持ちはあります。でも、今は自分のことしか……勝つことしか考えていないです」
――敗北から考えたこと、従来持つ思い切りの良さ。この試合から若松選手のMMAは変わってくるのでしょうか。
「はい、絶対に変わります。多分(笑)。まぁ、自信はあるんですけど、前の試合でも言っていたことなので。でも次にできなければ、僕はそこまでの選手。自分はそのつもりでやってきたので、次は絶対に死んでも落とせません」
――今はあまり口にできないことかも知れないですけど、タイトル戦前と目標は変わらないですか。
「変わらないです。ただし、次に負けたらないと思っているんで。今はまだ前回の試合だけだと、評価はまだ落ちていないと思います。でも、次に勝たないとそれ幻になってしまうので。前回は外に出していたモノを内に秘めて戦います。
TTMに来るトップ選手も皆、落ち着いているので。前回まで、僕は喧嘩だと思ってやっていました。気合でいかないといけないと。それも必要ですが、MMAのトップ戦線で戦っている人は皆、穏やかで冷静に見えます。
なので、今回は僕も少し大人になって、そういう部分を隠しながらやっているので、当日楽しみにしてください。新しいモノを見せることができるので」
■Pancrase297対戦カード
<ウェルター級KOP王座決定戦/5分5R>
佐藤天(日本)
グライコ・フランサ(ブラジル)
<ライト級/5分3R>
久米鷹介(日本)
アントン・クイバネン(フィンランド)
<フェザー級/5分3R>
マモル(日本)
若松佑弥(日本)
<バンタム級/5分3R>
TSUNE(日本)
瀧澤謙太(日本)
<フライ級/5分3R>
小川徹(日本)
タテキ・マツダ(日本)
<女子フライ級/5分3R>
ライカ(日本)
クセニヤ・グーセヴァ(ロシア)
<女子バンタム級/3分3R>
東陽子(日本)
直DATE(日本)
<フェザー級/3分3R>
滝田J太郎(日本)
木村 一成(日本)
<ストロー級ネオブラッド決勝/3分3R>
御代川敏志(日本)
野田遼介(日本)
<フライ級ネオブラッドT準決勝/3分3R>
鈴木千裕(日本)
猿飛流(日本)
<フライ級ネオブラッドT準決勝/3分3R>
赤崎清志朗(日本)
杉山廣平(日本)
<バンタム級ネオブラッドT準決勝/3分3R>
平岡将英(日本)
野村優眞(日本)
<バンタム級ネオブラッドT準決勝/3分3R>
大橋悠一(日本)
小川 準也(日本)
<フェザー級ネオブラッドT準決勝/3分3R>
齋籐拓矢(日本)
DARANI DATE(日本)