【UFC225】抜群のTDディフェンス誇る世界王者ウィティカーに対し、ロメロの取るべき手段は??
【写真】ロメロのテイクダウンを狙う回数、どこまで倒すことを狙うのかが勝敗の鍵を握って来るメインだ (C)Zuufa LLC/Getty Images
9日(土・現地時間)、イリノイ州シカゴのユナイテッド・センターでUFC 225「Whittaker vs Romero 2」が開催される。メインはイベント名にあるようにUFC世界ミドル級王者ロバート・ウィティカーに、ヨエル・ロメロが挑戦する──再戦だ。
王者ウィティカーは昨年7月に、ロメロを判定で破り暫定世界王座に就き、GSPの王座返上を経て正規王者となった。2月にルーク・ロックホールドの挑戦受ける予定だったが負傷欠場し、彼の代役としてロメロは暫定王座決定戦でロックホールドと戦うことに。ところがロメロは体重を落とせず、この一戦はロックホールドが勝利した場合のみ、暫定王座に就くという変則タイトル戦に変更された。
その結果、KO勝ちを収めたロメロが──体重オーバーの試合で勝利し挑戦権を獲得したわけだから、暫定王座決定戦だろうが、変則タイトルマッチだろうが勝てば官軍が証明されたようなものだ。ロックホールドにとっては気の毒でしかない半スポーツ的な流れで、今回の世界戦は行われることとなる。
そんな背景が存在するが、両者のマッチアップを純粋に解析にするには、やはり昨年7月の試合を振り返る必要がある。あの夜、ロメロはえげつない関節蹴りとテイクダウンを織り交ぜるファイトで、序盤からペースを握りに掛かった。ここでウィティカーが想像以上のテイクダウン防御力の高さを見せ、例え倒されてもスクランブルに持ち込み、ラウンドが進むごとに尻餅すらつくことがなくなっていった。
ウィティカーが倒されて、背中をマットにつけたのは、2R終了間際と4Rのみ。前者はすぐにタイムとなり、後者はスイープからウィティカーがスクランブルに持ち込んでいる。確かに序盤の2Rはロメロが攻勢だった。ただし彼はポイントを得る以上に、この2つのラウンドでスタミナをロスしてしまう。3Rからウィティカーは右前蹴り、左右のパンチを要所で決め、ロメロにダメージを与え流れを変えることに成功した。
それでもロメロはひたすら、テイクダウン狙いを続けいよいよ動きが落ちてしまう。迎えた最終回、ついにかするような左を被弾しキャンバスに崩れたロメロはパウンドで決定的なポイントを失い、ベルトはウィティカーの腰に巻かれることとなった。
ロメロの敗因は一番の武器である、テイクダウンに拘り過ぎたこと。過去7つのKO勝ちがあるように、パワー溢れる打撃の持ち主でもあるロメロが、なぜテイクダウンばかり仕掛けるのか。それは、彼のパンチやヒザ蹴りは再現性は乏しいからに他ならない。ロメロのKO勝ちは、パワー溢れるパンチやヒザ攻撃を繰り出した時に、タイミングが合ったという結果で、確実な根拠をもって当てているようには見えない。
だからこそ、頼るべきはテイクダウンであり、疲れても──いや疲れてからこそ、ロメロはテイクダウン狙いを繰り返したに違いない。よって今回の世界挑戦、ロメロがテイクダウンを自重し、無理に倒しにいかずポイントメイク的にレスリングを使うことができれば、彼の勝率は確実に上がるはずだ。そして、倒さずとも組みは強い。パワーもある。組んでケージに押しこみ、そこで殴って離れるというゲームに徹すれば、ウィティカー以上に疲れることはなく、打撃が当たる数も増えることが考えられる。
対して、ウティカ―は卓越したMMAストライカーといえる。そこに剛柔流空手の経験が生きているのかは不明だが、非常に近い距離でハイキックを放つことができるのも彼の特徴だ。レスリング&ボクシングが軸のMMAファイターには、見えない距離で下から右足が振り抜かれ、一発で試合を決めることとなる。ただし、ロメロを相手にするならば組まれて倒されることを考慮し、今回の試合でもハイはそれほど見せない公算は高い。
前回同様に、サウスポーのロメロ相手に右の前蹴りを効かせて、スタミナをさらに奪い──ダウンを取った左が大きな武器となるだろう。ウィティカーはフックを打っても腰が回らない。回転でパワーを伝えるのではなく、スピードと重さでパンチを打つ。よって、ラウンドが進んでも軸が乱れることが少ない。
何よりも正面を向いた状態でパンチを打てるために、打った直後のテイクダウンを防ぐことができる。つまり、ロメロは数打てば当たるとテイクダウンから脱却し、効率良い攻撃を仕掛けることができなければ、前回同様にスタミナを切らしベルトは遠のくこととなる。
■ UFC225対戦カード
<UFC世界ミドル級選手権試合/5分5R>
[王者]ロバート・ウィティカー(ニュージーランド)
[挑戦者]ヨエル・ロメロ(キューバ)
<UFC暫定世界ウェルター級王座決定戦/5分5R>
ハファエル・ドスアンジョス(ブラジル)
コルビー・コビントン(米国)
<女子フェザー級/5分3R>
ホーリー・ホルム(米国)
ミーガン・アンダーソン(豪州)
<ヘビー級/5分3R>
アンドレイ・オルロフスキー(ベラルーシ)
タイ・ツイバサ(豪州)
<ウェルター級/5分3R>
CJ・パンク(米国)
マイク・ジャクソン(米国)
<ヘビー級/5分3R>
アリスター・オーフレイム(オランダ)
カーティス・ブレイズ(米国)
<フェザー級/5分3R>
ミルサッド・ベキッチ(米国)
リカルド・ラマス(米国)
<女子ストロー級/5分3R>
クラウジア・ガデーリャ(ブラジル)
カーラ・エスパルザ(米国)
<ヘビー級/5分3R>
ラシャド・コールター(米国)
クリス・デラロチャ(米国)
<ライトヘビー級/5分3R>
ラシャド・エヴァンズ(米国)
アンソニー・スミス(米国)
<フライ級/5分3R>
セルジオ・ペティス(米国)
ジョセフ・ベナビデス(米国)
<ライト級/5分3R>
シャーウス・オリヴェイラ(ブラジル)
クレイ・グィダ(米国)
<フェザー級/5分3R>
マイク・サンチアゴ(米国)
ダン・イゲ(米国)