【ACB86】ACB最大のビッグショー、メインはフェザー級統一戦マラット・バラエフ×ユーサップ・ラソフ
【写真】正規王者バラエフと暫定王者ラソフ、42歳と22歳という年の差20歳の王座統一戦となる(C)ACB
5日(土・現地時間)にロシアのモスクワ、オリンピスキでACB86「Raisov vs Balaev」が開催され、3階級のタイトル戦や国際戦が組まれ、ACBトップファイターが大挙出場する。
超実力者集団、ロシアのエリートMMAファイターの祭典というべき今大会はモスクワ五輪の際に建てられたロシア最大の屋内競技場=オリンピスキで開かれ、キャパ3万5千人を誇る同会場で1面を潰し、2万人規模の収容人員でとり行われる。
ACB最大のビッグショーといっても過言でない今大会はフェザー級、フライ級、そしてライトヘビー級と3階級のタイトル戦、海外勢はブラジルから元ジャングルファイトのウェルター級王者シロ・ホドリゲスが初参戦、BELLATOR&Road FCベテランのトニーニョ・フリアが2度目の出場となり、さらにベラトールからロシア系米国人で元WSOF世界フェザー級王者ジョージ・カラキャニャンがある意味、凱旋帰国マッチを行う。
また北米メジャー経験者=アルメニアのアコップ・ステパーリャンと、コンバットサンボ世界王者のカザウスタン人ファイター=アルマン・オスパノフのマッチアップなど、非常に楽しみな戦いが連続する。
そんなモスクワ大会のメインはフェザー級王座統一戦、正規王者マラット・バラエフと暫定王者ユーサップ・ラソフの再戦という、勝負論だけ争点となるタイトル戦が用意された。両者は2016年12月にザビット・マゴメドシャリポフが返上した王座を賭けて戦い、バラエフが判定勝ちを収め、チャンピオンの座に就いている。
その後、バラエフはアドラン・バタエフを相手に初防衛に成功し、昨年12月にルイス・パロミーノら海外勢に連勝していたラソフの挑戦を受ける予定だった。しかし、バラエフは負傷欠場。ラソフはアレクサンドル・ペドゥソンをRNCで倒し暫定王座を手にした。
そんな両者の王座統一戦。暫定王者のラソフはオーソの構えから左の蹴りを多用し、左ジャブ、左リードフック、そして右ストレートやアッパーと綺麗なキックボクシングを駆使する。グラウンドでもスクランブルに強く、トランジッションの合間にはパウンドを効かせた上で、キャリア12勝のうち6試合を絞めでフィニッシュしているようにサブミッションも得意なラソフは、高レベルなウェルラウンダーだ。
しかし、前回のバラエフ戦では初回こそ打撃で突き離すことに成功したが、2R以降は打撃の圧力に負けず、徹底してテイクダウンを狙ったバラエフがシングルからテイクバック、あるいはダブルとシングルのコンビネーションでテイクダウンを奪うようになる。組まれてもテイクダウンに耐え、倒されてもスクランブルに持ち込んで即立ち上がっていたラソフは、受けの場面が増え一気にスタミナを消耗していった。
結果3R以降は簡単にテイクダウンを許し、パスからバックコントロールとポジション&スクランブルでバラエフの後塵を拝すようになる。途中、ギロチンとガードからの腕ひしぎ腕固めで逆転のサブミッションを狙ったが、これを凌がれるとバラエフにコントロールされ続けベルトを獲り逃してしまった。
当時41歳間近でキャリア6勝0敗というフリースタイルレスラーだったバラエフは、ベルクート・ファイトクラブ所属で21歳のラソフにACBが用意した噛ませ犬的存在だったに違いない。
そんなラソフ・アップの空気のなか、徹底したレスリングで期待の新鋭を潰した正規王者は現在42歳に対し、ACB首脳の期待を一身に背負うラソフは、前回と同じ轍を踏むことは決して許されない。そうならないためには、もっと泥臭くテイクダウン&レスリングゲームに付き合うか、バラエフに組みつかせない間合いで戦うことが必要だ。
前回は真っ向からバラエフを倒しに行って、レスリングの餌食となってしまっただけに2度目の正直となる今回の対戦で、距離間に優れた右アッパーをまずヒットさせ、バラエフのテイクダウン狙いのファイトに楔を打ち込むことは欠かせないだろう。ラソフは全ての局面で大会点数を稼げるようなウェルラウンダーぶりを発揮し、レスリングという一面が極端に秀でたバラエフを封じるこめるファイトが必要だ。
■ACB86 対戦カード
<ACBフェザー級王座統一戦/5分5R>
[正規王者]マラット・バラエフ(ロシア)
[暫定王者] ユーサップ・ラソフ(ロシア)
<ACBフライ級選手権試合/5分5R>
[王者]アスカル・アルカロフ(ロシア)
[挑戦者]ラスル・アルバスカノフ(ロシア)
<ACBライトヘビー級選手権試合/5分5R>
[王者]バルタス・アグナエフ(ロシア)
[挑戦者]ドブレジャン・ヤギュシュムラドフ(トルクメニスタン)
<ウェルター級/5分3R>
シロ・ホドリゲス(ブラジル)
ベスラン・イサエフ(ロシア)
<ライト級/5分3R>
アリ・バゴフ(ロシア)
トニーニョ・フリア(ブラジル)
<フェザー級/5分3R>
ムラッド・マチエフ(ロシア)
ムハメド・ココフ(ロシア)
<フェザー級/5分3R>
アコップ・ステパーリャン(アルメニア)
アルマン・オスパノフ(カザフスタン)
<ライト級/5分3R>
ラスル・ショフロフ(ロシア)
アンドレイ・コシュキン(ロシア)
<フェザー級/5分3R>
ジョージ・カラキャニャン(米国)
アレクセイ・パルプニコフ(ロシア)
<ウェルター級/5分3R>
ガジムラッド・ヒラマゴメドフ(ロシア)
シャラフ・デフラトムロドフ(ロシア)
<ミドル級/5分3R>
ムスリム・マゴメドフ(ロシア)
アシルザン・バジジャウリ(カザフスタン)
<フェザー級/5分3R>
デニス・シウバ(ブラジル)
アブドゥルラフマン・テミロフ(ロシア)
<ライト級/5分3R>
ジニス・カナコフ(ロシア)
アブドゥルアジム・バデクシ(アフガニスタン)