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【UFN128】底を見せていないブレット・ジョンズ×底なし沼ファイト=アルジャメイン・ステーリング

28日(土・現地時間)、ニュージャージー州アトランティックシティのボードウォーク・ホールで行われるUFC Fight Night128「Barboza vs Lee」。佐々木憂流迦と中村K太郎が出場し、それぞれがマゴメド・ビブラトフとトニー・マーチンと対戦する。


米国東部在住のファイターが多く出場する今大会で、その中の1人アルジャメイン・ステーリングが、注目のウェルシュ・ファイター=ブレット・ジョンズと対戦する。

ウェールズ南部の都市スウォンジー出身のジョンズは1992年2月生まれの26歳で、MMAデビュー以来15連勝中という注目の選手だ。

英国のCage Warriorsと米国のTitan FCでバンタム級王者になりUFCとの契約を勝ち取った。15勝のうち8試合が判定勝ち、スプリット勝利も2試合あり競り合いでの強さが信条ながら、ジョンズはオクタゴン3戦目となった前回のジョー・ソト戦でカーフスライサー=ヒザ固めにより30秒で一本勝ちというインパクトを残している。

ジョンズの特徴は決してキレがあるわけでないパンチで距離を詰め、組んでテイクダウンからパウンド&コントロール、そしてスクランブルのなかでバックを狙うというもの。その打撃だが、UFC初戦となったクァク・グァンホを相手に的確にパンチを当て、間ができると飛びヒザに移行したように、相手が攻めづらい独特のリズムを持っているのかも知れない。

ヒザ固めを極める閃きを持つジョンズのMMA、その深淵をもっと見極めたいと思わせるファイターだ。対してステーリングも一時はキャリア12連勝の破竹の勢いを感じさせていた時期があった。ブライアン・キャラウェイ、ハファエル・アスンソンという海千山千のベテランに判定負けを喫したものの、水垣偉弥をRNCで下している。

連敗後もアウグスト・タンキーニョ、さらに元世界バンタム級王者ヘナン・バラォンを倒したが、去年の12月にマルロン・モラエス戦ではテイクダウンを狙った先に、モラエスが放った左ミドルを狙い、そのヒザが顔面を直撃しKO負けを喫してしまった。

それ以前にアッパーでダウンを喫しており、順調だったキャリア再構築もまたやり直しを強いられ、ジョンズ戦を迎えこととなった。ステーリングの強さはD-3オールアメリカンを獲得したレスリングとマット・セラ譲りの柔術の融合、そのグラップリングに持ち込むためレイ・ランゴに授けられた組むための打撃を駆使する点にある。

真っ向勝負でなく、相手の距離で戦わず自らの打撃もダウン狙いではない。ないないづくしのストライキングは、あくまでも組みつくためのもの。その先もテイクダウンダウンを奪えなくとも、この攻防を繰り返し相手を削っていく。

一旦寝技に持ち込めば、相手の動きに合わせてポジションを奪い、バックを制してRNCかスクランブルでギロチンというフィニッシュにつなげるステーリングは相手の長所を消すのが持ち足だ。その一方でステーリングは対戦相手が同じ土俵で勝負してくると、競り負けるという側面も見せて来た。

打撃で独特のプレッシャーを持つジョンズと、相手のプレッシャーをすかして自分の戦いに持ち込むステーリング。その部分でジョンズは粘ることと同時に、MMAのコアにない攻撃を仕掛けることもできる。互いに持ち味がある両者の対戦、ジョンズがまだ穴を見せていないだけに、勝負の行方は読めず──が非常に興味深い。

■ UFN128対戦カード

<ライト級/5分5R>
エジソン・バルボーサ(ブラジル)
ケビン・リー(米国)

<フェザー級/5分3R>
フランキー・エドガー(米国)
カブ・スワンソン(米国)

<ヘビー級/5分3R>
ジャスティン・ウィリス(米国)
チェイス・シャーマン(米国)

<ミドル級/5分3R>
デヴィッド・ブランチ(米国)
チアゴ・マヘタ(ブラジル)

<ミドル級/5分3R>
ジョン・フィリップス(英国)
チャールズ・バード(米国)

<バンタム級/5分3R>
ブレット・ジョンズ(英国)
アルジャメイン・ステーリング(米国)

<ライト級/5分3R>
ジム・ミラー(米国)
ダニエル・フッカー(ニュージーランド)

<ウェルター級/5分3R>
ライアン・ラフレアー(米国)
アレックス・ガルシア(カナダ)

<フライ級/5分3R>
マゴメド・ビブラトフ(ロシア)
佐々木憂流迦(日本)

<ウェルター級/5分3R>
シアー・バハドゥルザダ(オランダ)
ルーアン・シャガス(ブラジル)

<ライトヘビー級/5分3R>
パトリック・カミンズ(英国)
コリー・アンダーソン(米国)

<女子バンタム級/5分3R>
アスペン・ラッド(米国)
レズリー・スミス(米国)

<バンタム級/5分3R>
リッキー・シモン(米国)
マラブ・デヴァリシビリ(米国)

<ウェルター級/5分3R>
トニー・マーチン(米国)
中村K太郎(日本)

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