【Special】月刊、青木真也のこの一番:番外編─なぜ、1月の月間・青木賞該当者がいなかったのか
【写真】若い選手の活躍が、日本のMMAの発展に欠かせないと青木は常に言っている (C)MMAPLANET
過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。
背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい……という月刊、青木真也のこの一番だが、今回は2月の一戦を前に──abema TVの月間・青木賞を与えられる若いファイターが、1月に表れなかったことをまず尋ねたい。
格闘技界で大きな話題となった番組スタートから2カ月目で、早くも訪れた該当者なしの理由とは。
──1月の月刊、青木真也が選ぶ一番に国内若手の試合がなく、abeme TVの月間・青木賞がいきなり該当者無しという結果になりました。
「1月は難しかったです。田丸匠×ライリー・ドゥトロ戦で勝っていれば田丸選手だったのですが……負けたのに加えて内容も良くなかった。伝わるものがなかった。
あの日の修斗の興行からあまり響くものはなかったですね。そのなかで齋藤曜選手が内容的に凄く良かったけど、年齢的に33歳というのがネックになりました。そこが無ければ本当は彼になるべきだったけど、しょうがない問題で……。悩みに悩んだ結果、1月に無しにしましょうということで、無しになりました」
──実質1月はプロ修斗の後楽園ホール大会と大阪のGladiatorという2大会から選ばないといけない状況で、若い選手がベテランファイターを結果&内容で上回ることができなかったということになります。
「そこはですね……。月間・青木賞は成り立ちが若い子がいなくて、モチベーションも保てないからピックしようという話で始まったのだから、若い子を探してもいないんですよね(苦笑)。
田丸×ドゥトロでいうと……あんまり伝わるものがなかった。本当に凄く勢いがあるなら、技術的に劣っていようと関係なく超えるだろうし。格闘技者として素晴らしかったら、競り勝っていただろうし。個人的には前者の圧倒的な勢いと才能で越えていってくれないかなって期待はしたのですが、そういう結果にならなかったです。なので、少し落胆はありますよね」
──根本としてベテラン選手が多いなかで若い選手に光を当てようという企画で今、青木選手が言われたように若い選手が少ない。それなら競争相手も少ないのだからチャンスでもあるかと思うのですが。
「めちゃくちゃチャンスですよね、それはありますよ。今のこの状態で若い子が打撃だけでなく組む要素もあるMMAをやっている時点でマイノリティだと思っています。だからこそ、凄くチャンスです。絶対論でなく相対論で考えると、トップになりやすいですから」
──月間・青木賞に年齢制限がなく、頑張って良い試合をして訴えかけられるものがあったということなら、たくさん当該者が存在するかと思います。
「そうなんですよ。30歳を過ぎてやっている奴らは皆、好きだから。圧倒的に好きですからね。その好きだっていうパワーに勝てないですよ。言い方は悪いけど、何かを捨てている。それだけ好きなんだから、強いですよ。
メインカードに入って来る20代がいないんだから。日本の格闘技界の現状を考えると、1月という時期自体が大晦日、年末に頂点を持ってくるながれで大会自体が少ない。お正月明けで財布のひもも堅くなるから、勝負カードも組めない。
そういう状況で、実際に修斗とグラジエイターしか興行がなかった。グラジエイターも頑張ったのは岸本(泰昭)と濱村(健)、オーバー30なんです。そういう月もあるし、それが時世ですからね」