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【ADCC2017】最大激戦区88キロ級─01─、豪州のクレイグ・ジョーンズがレアンドロ・ロから一本勝ち!!

Jones vs Lo【写真】ノーギとはいえ、ロが豪州人グラップラーに一本負けをするとは全く予想できなかった (C)SATOSHI NARITA

9月23日(土・現地時間)と24日(日・同)の2日間、フィンランドのエスポーにあるエスポー・メトロ・アリーナでアブダビコンバットクラブ(ADCC)主催の世界サブミッション・レスリング選手権が行われた。

2年に1度のノーギグラップリングの世界最高峰の舞台で行われた戦い。今回は88キロ級で大躍進を果たしたクレイグ・ジョーンズの1回戦、2回戦──歴史に残る大物食いを果たした2試合の模様をレポートしたい。


01<88キロ級一回戦/10分1R>
クレイグ・ジョーンズ(豪州)
Def. 6分00秒by RNC
レアンドロ・ロ(ブラジル)

今年こそ無冠に終わったものの、それ以前は3階級に渡り5年連続ムンジアルを制してきた怪物レアンドロ・ロ。ノーギでは全日本で圧倒的な強さを見せたことがあるものの、ノーギワールドで2012年の無差別準優勝が最高の戦績となっている。

そんなロの初戦の相手は豪州のクレイグ・ジョーンズとなった。ジョーンズは1991年7月生まれの26歳の黒帯柔術家だ。当初はMMAファイターを目指していたが柔術の目覚め、アデレードからメルボルンのアブソリュートMMAに移籍し、ラクラン・ジェイルズの下で急成長を果たした。ADCCでは前回大会、弱冠紫帯にしてアジア・オセアニア地区の代表として参戦し、一回戦でホムロ・バハウのキムラの前に一本負けを喫した選手だ。今年の3月にはEBI (エディ・ブラボー・インターナショナル)では準決勝まで勝ち上がるなどノーギに力を入れている。

02開始早々座り込むジョーンズに対し、ロは得意のニースライド等のパスを試みるも下から足を効かせて巧みに対処される。さらにジョーンズは、ロの右足を下からデラヒーバフック&アキレス腱固めのグリップで捕獲すると、バランスを崩して足狙いで攻め込む場面を作ってゆく。ロはさすがに極められこそしないものの、隙あらば右足をデラヒーバ&アキレスで捉えてくるジョーンズ相手に思うように攻撃の形を作れない。

03やがて5分が経過してポイント加算の時間帯に入ると、ジョーンズはまたしても下から足を絡めてロのバランスを崩していき、ヒールを仕掛ける。

ここでロがマットに背をつけ対応しつつ、ポイントを許すまいとロがスクランブルを狙ったところで、ジョーンズは迅速にバックテイク。04そのまま右腕をロの喉元に食い込ませたジョーンズは、RNCをセットアップしていく。必死に体をずらそうとするロだが、完全に腕を組まれてしまい万事休す。

恐らくはほとんどのファンや専門家がノーマークだったジョーンズが、怪物ロから大番狂わせの一本勝利。世界を震撼させた新黒帯は、もう一人のレジェンド=ムリーロ・サンタナとの試合に駒を進めたのだった。

<88キロ以下級準々決勝/10分1R>
クレイグ・ジョーンズ(豪州)
Def.1分15秒 by 三角絞め
ムリーロ・サンタナ(ブラジル)

世界最高峰のプレッシャーパスの持ち主であるサンタナは初戦でジェイムス・ブラスコを下し、2回戦=準々決勝に歩を進めてきた。そのサンタナ相手に、ジョーンズはここでもすぐに座り込む。サンタナはいつものように低く圧力をかけてゆくが、半身から足を効かせてそれを跳ね上げたジョーンズは、初戦と同じようにサンタナの足首を掴んで引き寄せながら上を奪取する。

すかさず反応してシッティングを取ったサンタナは、そのまま立ち上がろうとする。と、このタイミングでジョーンズは跳びつき三角へ。深く足を組んで四の字を完成したジョーンズは、さらに立っているサンタナの右足を内側から抱えてバランスを崩して万全の体勢に。僅か1分15秒──道場スパー世界最強の異名を持つサンタナがたまらずタップしたのだった。

05ロ&サンタナという世界屈指のパスガードの名手の攻撃を、シッティングからニーシールドを効かせた半身の構えで迎撃。デラヒーバ&アキレスグリップで下から足首を取って崩すという独特の戦法から勝機を切り拓いたジョーンズ。

2試合続けての衝撃のアップセットは、どこまで進化しても新しい技術が出てくる、サブミッショングラップリングの奥の深さを実感させてくれるものだった。

なお、このブロックのもう一つの山からは優勝候補の一人キーナン・コーネリアスが順当に勝ち上がり、ジョーンズと準決勝で対戦することとなった。

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