【ADCC2017】最大激戦区88キロ級─02─、ダナハー門下ゴードン・ライアン&シャンジが準決勝へ
【写真】立たれてからの対応が素晴らしかったシャンジの腕十字 (C)SATOSHI NARITA
9月23日(土・現地時間)と24日(日・同)の2日間、フィンランドのエスポーにあるエスポー・メトロ・アリーナでアブダビコンバットクラブ(ADCC)主催の世界サブミッション・レスリング選手権が行われた。
2年に1度のノーギグラップリングの世界最高峰の舞台で行われた戦い。今回はクレイグ・ジョーンズの活躍もあり、最大激戦区となった88キロ級のBブロック準々決勝2試合の模様をお伝えしたい。
<88キロ級準々決勝/10分1R>
シャンジ・ヒベイロ(ブラジル)
Def.9分03秒 by 三角絞め
ルスタム・チェシエフ(ロシア)
前回大会3位のロシアンレスラーのチェシエフ相手に、1分30秒ほどスタンドに付き合ってから引き込んだシャンジ。半身からニーシールドを駆使してチェシエフの進行を止める。時にクローズドガードに引き込んでくるシャンジに対し、チェシエフは頭を下げさせられ動けずに守る場面が多い。
やがて残り2分ごろ、またもクローズドガードを取ってチェシエフの頭を下げさせたシャンジは、その右肩を対角線に流し崩すと、体を横にずらし徐々にバックに登ってゆく。チェシエフが腰を上げて立ち上がって対処しようとしたところで、孤立した右腕を伸ばしての腕十字へ。シャンジは足をすくって転がせてタップを奪う。タイトで隙のない仕掛けから、相手がどう反応しても逃げ道を塞ぐ詰め将棋の如き攻撃で、ロシアンレスラーを見事に仕留めてみせた。
<88キロ級準々決勝/10分1R>
ゴードン・ライアン(米国)
Def. 3分37秒by RNC
ホムロ・バハウ(ブラジル)
ゲイリー・トノン、エディ・カミングスを輩出したジョン・ダナハー軍団の22歳の新星、ゴードン・ライアンは最近ウェイトトレーニングに励み大増量を敢行。細長い手足と懐の深さを駆使して極めるタイプから、いかにもパワフルなグラップラーへと変貌を遂げている。一回戦は強敵ディロン・ダニスと対戦し、シングルレッグ狙いを切ってバックに付きかける等の攻撃でレフェリー判定勝ちを得て、初戦でキット・デールを下した──13年の本大会優勝のレジェンド=ホミーニョとの一戦に駒を進めた。
この試合、ライアンは開始早々にシングルレッグでバハウの右足を捕獲すると、回してテイクダウンに成功。バハウはバタフライガードを使おうとするが、低い重心でそれを防いだライアンは、バハウの上半身を固める。やがてデミアン・マイアばりに頭と両足の三点バランス状態を作ったライアンは、ニースライドからあっさりサイドを奪取して、そのまま抑え込んでいった。
しばらく動けなかったバハウが、やっと距離を作ることに成功。すぐにライアンは横に飛んで再びサイドへ。ここでバハウはスクランブルを試みたところで、ライアンが飛びつくようにバハウのバックに回り、四の字フックを完成してみせた。そこからのチョーク狙いをしばらく防いだバハウだが、やがてライアンが深くマタレオンを食い込ませて万事休す。なんと3分半でレジェンドに圧勝してみせたライアン。バハウのガードを封じ込めるプレッシャー、バックテイクからの極めの威力を見る限り、急激な肉体改造が功を奏しているようだ。
こうしてBブロックのもう一つの準決勝は、36歳にして技の精度が高まる一方のレジェンド・シャンジと新鋭ライアンの注目の一騎打ちが実現することとなった。
結果ADCC2017最大激戦区となった88キロ級の準決勝はキーナン・コーネリアス×クレイグ・ジョーンズ、シャンジ・ヒベイロ×ゴードン・ライアンの2試合──なんとブラジル勢が1人しか残らないベスト4となった。