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【ADCC2017】66キロ級。嶋田裕太、UFCファイター&ムンジ王者のタンキーニョに及ばず

Tanquinho vs Shimada【写真】延長までもつれ込んだが、柔術から気持ちが離れているようなタンキーニョを追い込めず無念の嶋田 (C)SATOSHI NARITA

23日(土・現地時間)と24日(日・同)の2日間、フィンランドのエスポーにあるエスポー・メトロ・アリーナでアブダビコンバットクラブ(ADCC)主催の世界サブミッション・レスリング選手権が行われた。

2年に1度のノーギグラップリングの世界最高峰の舞台で行われた戦いの模様を、まずは男子66キロ級から嶋田裕太×タンキーニョをレポートしたい。


<66キロ級1回戦/10分1R・延長5分>
アウグスト・メンデス(ブラジル)
Def. by 4-0
嶋田裕太(日本)

初戦でいきなり、ハファエル・メンデスを破って2013年にムンジアル・フェザー級優勝、そして現役UFCファイターのタンキーニョとの対戦となった嶋田は、低い体勢からしきりにテイクダウン狙いのフェイントを見せる。対する上背に勝るタンキーニョは、嶋田の首を取っては足を飛ばす。やがて左ワキを差したタンキーニョが横捨て身の要領で投げ、テイクダウンに成功する。

01まだポイントが付かない時間帯とあって、嶋田は無理して立たずに下から寝技で挑む姿勢だ。嶋田の足を捌き上半身の制圧を狙うタンキーニョと、下バタフライやハーフで足を効かせ、シッティングからの仕掛けも狙う嶋田の攻防が続いた。

02やがて5分経過し加点時間帯となると、タンキーニョは本格的に圧力とスピードを上げ、ニースライドや左右に動いてのパスのコンビネーションを仕掛けてゆく。嶋田は一瞬サイドを許すものの、すぐにうつ伏せにスクランブルしシッティングに戻すと、さらに背後に回ろうとするタンキーニョの足に組み付き、立ち上がった。

残り3分半、0-0からスタンドで再開。嶋田は運動量を上げて果敢に組もうとするが、タンキーニョが防御する。その後タンキーニョが、横捨て身からタブルレッグへの連携でテイクダウンへ。一瞬背中を付けさせられた嶋田だが、上半身を制されて押さえ込まれる前に立ち上がってポイントを回避。両者譲らないまま本戦の10分が終了した。

035分の延長戦が開始。嶋田は再三テイクダウンを仕掛けるが、タンキーニョは腰を引いて防御。やや疲れの見える嶋田に対し、今度はタンキーニョが飛び込むと、嶋田の右ヒザ裏に手を引っ掛けて抱え上げ、豪快にテイクダウン。場外側で嶋田の体を叩きつけると同時に、タンキーニョはサイドから胸を合わせて抑えてみせた。

04マット中央からの再開。嶋田としてはここで逃れてポイントを回避できるかが大きな勝負所だったが、タンキーニョは再開時に嶋田の首を殺して抑え、テイクダウン&パスの4点を先取した。その後嶋田は、マウントを狙ってきたタンキーニョの動きに合わせて足を入れて体勢を戻すし、足を効かせてシッティング等からの仕掛けを狙う。

ただし、タンキーニョは上のキープに専念。終盤は必死にシッティングから立とうとする嶋田の動きを、上半身の圧力を利用してことごとくブロックしてリードを守りきった。勝利を目指し積極的に仕掛けていった嶋田。立ち技&寝技で堂々と渡り合ってみせたものの、常に余裕を持って戦い、島田の動きが落ちた機を逃さずポイントを奪ったタンキーニョの勝負強さ&底力が一枚上手だった。

しかし、このタンキーニョは次戦の準々決勝で、今年のノーギワールズの茶帯世界王者にして新黒帯のパブロ・マントヴァーニのガードを攻略できず、また足の負傷もあってテイクダウンも取れずにレフェリー判定負けを喫した。そしてそのマントヴァーニもまた、準決勝にてAJアガザーム相手にポイントを取れずレフェリー判定負け。世界の層の厚さを思い知らされることとなった。

嶋田裕太
「タンキーニョからはキレなどそこまで感じませんでした。しかも2回戦で敗れているのですから、昔のような力強さはなかったです。来月UFCのブラジル大会に出場するそうなので、ADCCの練習には集中していなかったのかもしれないです。

僕も怪我はないのでニョーヨークに移動して練習を再開します。短期間なので、明確な目標を持って何か一つでもモノにしたいと思います」

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