【Pancrase289】ベルトを失った40歳、マモル 「道を作ってくれた人たちに恩返しはしたい」
【写真】大きく目の周囲が腫れ、カットもあったマモルだが快く取材を受けてくれた(C)KAORI SUGAWARA
20日(日)、東京都江東区のディファ有明で開催されたPancrase289のメインで、仙道に敗れフライ級のベルトを失ったマモル。
5R、全てのラウンドを取られた40歳のベテラン34冠王は、この敗北をどのように捉えているのか。進退を含め、仙三戦について尋ねた。
──ベルトを失ってしまいました。
「これが……今日の私の精一杯。体力、戦略、技術も含めて、ここまでが今日の結果です」
──かなりジャブを貰い続けていました。
「鋭かったですね。反応ができなかった? う~ん、現に貰い続けたということはそういうことでしょうしね。序盤に何発が効かされて。最初はダウンで、2度目はバランスを崩しただけだったんですけど、その後も効かされたパンチはありました。硬いパンチでした」
──ダブルレッグやシングルも2R移行は、ほぼ切られました。
「もう完全に仙三選手にペースを握られ、切り崩せなかったです。5Rを耐えるというような試合になり、パンチも数発しか当て返すことができなかったですしね」
──前回の対戦と一番違ったところは?
「攻撃的でした。パンチの届く一番遠い距離からヒット&アウェイを駆使して、私を懐に入れさせないという戦いを徹底されました。ミドルも外され、向こうの距離間が優っていましたね。私の方は当てられないまま、じり貧になりました。
気持ちも強くて、攻撃が入ってもひるまなかったです。お互いにそれは掛けているモノがあるので、そうなるのですが……」
──今日のマモル選手は、接近戦の打ち合いでも引かない、強いところを時折り見せてくれました。
「必要に迫られると、それはやらないといけない。だからできないことはないのですが……あの薄いグローブでバチバチやるリスクを考えると、ああいう展開を自ら作ることはないです。ただ、今日は3Rを先に取られたので、行くしかない。それでも、行き切れなかった。仙三選手が素晴らしかったと思うしかないです」
──マモル選手に勝つために、しっかりと仕上げていた。そんな風に映りました。
「それが勝負です。一戦、一戦と対戦相手に勝つことの積み重ねで。それが引き出しの多さにもなっていくのでしょうし。そういう意味でも仙三選手の方が執拗だった。私はここまでMMAをやってきて、勝ちたい気持ちは当然あるのですが、少し仕事感が出てしまっていたのかもしれないです。
相手より自分の方が強い。それを示したいという気持ちがないとできない。そういう部分も含め、今回の試合は仙三選手の方が強かった」
──40歳、プロスポーツとして恵まれた環境ではない。そしてベルトを失った。当然、進路というモノを考えないといけないです。
「もう、一つ一つの負けで身の振り方は考えないといけないです。完敗、フルマークの判定負けでした。ただ、ここまで自分の意思でやってきたので、ここで引退を考えるということはないです。仕事であり、ライフワークですから。この負けで『俺、終わっちゃったかな』という気持ちにはなれない。なっていたら、辞めています。
パンクラスに来て、周りも自分も納得できる勝ちが続いていたし、今日はベルトを取られたけど、もう1回という気持ちです。明日、明後日、3日後に『もう、十分か』と思ってしまう可能性もありますけどね(苦笑)。
今、試合機会を与えてくれるパンクラスさん、育ててくれた修斗、応援してくれる仲間、家族、サポートしてくださるモブスタイルさんに恩返しをしてから辞めたいという気持ちは常にあります。
負けが込むようなら続けないです。パンクラスは自分の流れを作ってくれた。そういう道を進める試合を組んでもらえたので……何が役立てるか分からないですけど、恩返しをしたい。格闘技をやる上で、そういう気持ちを持っていないといけない。金のことだけ考えたら、この年まで戦う必要はないですからね。
支えてくれる人達、道を作ってくれた人たちに自分なりの恩返しになるようなことはしたい。ジムに入って20年、格闘技に人生の半分を費やしてきたので、体が悲鳴を上げない限り、何かを返したいです」