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【RFC41】イ・イェジに逆転勝利、前澤智―02─「自分が生きた証を残したいです」

Tomo Maesawa【写真】見ているモノを元気にしてくれる表情だ (C)KAORI SUGAWARA

12日(土・現地時間)、韓国ウォンジュのウォンジュ総合体育館でRoad FC 41が開催され、イ・イェジに判定勝ちを収めた前澤智インタビュー後編。

「ザ普通」と自身を表現する前澤に、韓国での勝利を経て、その先に何が見えるようになったかを訊いた。

<前澤智インタビューPart.01はコチラから>

──練習量が少ないと感じる中、精神的には相当厳しかったかと。

「『やれる事をやろう』と思っていました。とりあえずその日の身体と相談をして、今日は寝技が行けそうだなという時は本当に軽くスパーをしたり、痛くなったらスパーリングを止めて自転車を漕いだりしていました。

ただ、チームのみんなが『日本から応援に行くから!!』と本当にいっぱい言ってくれて、『痛いけど、そうは言っていられない。やるしかないな』と思ってやっていました。一人じゃない心強さですよね」

──練習相手は女子選手が多いのですか。

「チームにはもう一人、DEEP JEWELSで活躍しているKAI選手がいます。いつもだったら1週間に1回はプロ練にも行っていますが、今回はそれが出来なかったので、KAIさんとずっとやり込んでいました」

──試合に怪我の影響は?

「もう全然大丈夫でした」

──イ・イェジ対策はしていたのですか。

「しなしさんが首投げを打っては、背中を取られているのを見て『イェジ選手は近代MMAをよく勉強しているんだなあ』と思っていました。東京に来てからはずっと『もし組むんだったらワキを差す。絶対に首投げはしない』と決めてやっています。柔道出身の選手だとバレているので、そこは気を付けていました。

あとは気持ちで負けないように。でも、初回は負けていたかもしれないですね(苦笑)。格闘技は個人競技なんですけど、チーム戦でもあると思います。金原代表を始め、アルファの人達は本当に心が繋がっているというか、皆の声が凄く聞こえて、後ろに皆が居てくれると思えました」

──今回ロードFCに初参戦し、韓国の女子MMAはどのように感じましたか。

「盛り上がっていると思います。バックボーンは色々あるとは思いますが、長身で打撃と気持ちが強いイメージがあります。日本人が弱いとは思わないですけど、あの負けん気の強さというのは尊敬しますね。

それに、こうやって街全体を上げて格闘技を盛り上げてくれるというのは日本人の選手からしたら夢のある国です。楽しかったですし、有り難かったです。来たいと思う選手はいっぱいいるんじゃないですかね。

昨日買い物に出た時も、自分の顔の旗が街中にあるのを見て『楽しい。嬉しい。また来たい!! また、ここに来るために練習したい』と思える待遇でした」

──前澤選手が参戦したアトム級のチャンピオンはハム・ソヒ選手です。

「そうですねえ。ハム・ソヒ選手と王座決定戦を戦った黒部選手と私は2回対戦をしているんですよね。意識してないわけではないですけど、ちょっとまだ高い山です。ただ、相手も同じ人間なので、登れるなら登りたい。

もう少し下積みを積んでからかな。私がそこに立てる価値があるかというのはまだ、これから段階を踏んで証明できたらなとは思います。

段階を踏めるほどの年でもないんですけど、まだ自分の次の世代に夢を託すような意識ではなく、自分が頑張りたいイメージがあるので。この想いの先にベルトだったり、ハム・ソヒ選手がいるのであれば、見てみたい。子供ができて『これはお母さんなんだよ』と言える……そんな風に自分が生きた証を残したいです。格闘技は生きているという実感が湧きます。『死ぬかもしれない。怖い。でも生きている』と、あのリングの上では思えます」

──選手ならではの感覚ですね。今日の試合結果を踏まえて、今後、選手としてどのようにしていきたいですか。

「私はキャラも濃くないし、ザ・普通なんです。だからこそ普通でも小さくても、頑張ることはできるんだということを示していければと思います。そうすれば、私のような体格の人も頑張ってくれるのではないかと。

それと柔道では県大会でも2位止まりで1番になったことがないので、何かで1位取ってみたいですかね。だから、体と心の限界が来るまではもう少し、自分を高いところまで連れて行きたいなと思っています」

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