【Japanese National BJJ2017】黒帯初優勝、鍵山士門 「世界選手権は来年、挑戦したい」
【写真】自撮り──と思いきや、鏡に映った姿を送って来てくれた鍵山 (C)SHIMON KAGIYAMA
15日、東京都墨田区の墨田区総合体育館で開かれたジャパニーズ・ナショナル2017で黒帯ライトフェザー級を制した鍵山士門。黒帯になり初めて表彰台の頂点に立った鍵山に初優勝を振り返ってもらい、今後について尋ねた。
Text by Takao Matsui
――ジャパニーズ・ナショナルは、前回に続き2回目の参戦でしたが見事に頂点へ立ちました。
「国際大会で結果を残せたので、嬉しかったですね。じつは、黒帯になってからトーナメントで優勝したのは今回が初めてなんです」
――そうなのですか。意外に感じます。
「これまでにワンマッチで勝ったことはあったんですけど、トーナメントで勝ち上がっての優勝は初めてです」
――1回戦は、ヴィトー・シャオリンBJJのアレックス・エクリン選手との対戦でしたね。
「バックをとられかけて最後はあおられたんですけど、相手の足が外掛けのような形になっていて、危険行為ということで反則勝ちになりました。すごく微妙な結末でしたね」
――気持ちを切り替えた決勝は、山田秀之選手との対戦となりました。かつての同門、ライバル対決ですが、何回も戦っている印象があります。
「山田選手が移籍したのは一昨年なので、実はそんなにたくさん戦ってはいなんです。今回で4度目ですね。昨年のジャパニーズ・ナショナルが初めての対戦で、この時は勝てましたが、アジア選手権ではバックを取られて負けました。その後のソウルオープンでは、パスガードを許しての敗北。今回、自分が勝てたので2勝2敗です」
――今回はアドバンテージ差での勝利というギリギリの試合に見えました。
「確かにポイントだけを見るとギリギリの勝負と思えるかもしれませんが、自分の中では落ち着いて戦うことができました。バックを取られかけたこともありましたが、最初から最後までトップで攻めていこうと決めていましたので、それは貫けたと思います」
――そこまで強く決意を持っていられたのは?
「茶帯時代はトップから攻めてパスガードを決めて勝つことが多かったんですが、黒帯になってからは、負けないように上手くやろうと意識し過ぎてしまい、それまでとは違う戦い方になっていました」
――結果を求めるあまり、気づいたら消極的になっていたのですね。
「そうかもしれません。膠着してカウンターを狙うという攻防が多かったです。下が苦手とかでは決してないんですが、トップからの攻めが少なく守りに入っていたように思います。黒帯になってからは、とにかく経験を多く積むために北海道で重量級の選手と対戦したり、大会にたくさん出場しました。
でも、ただ試合をこなしただけみたいになっていたように思います。練習をしている時は、止まらないで攻める動きができているのに、試合になるとそれが出ないと周りにも指摘されていました」
――道場の看板を背負っている立場でしょうから、少なからず影響はありそうですね。
「山田選手がトライフォースへ移籍して強くなり、試合で自分が負けてしまうと、道場で教えていたことが間違っていると生徒に思われるかもしれない。そんなことを考えてしまっていました。
生徒からは『鍵山先生、考え過ぎですよ』と言われましたが、結果を出せるかどうかは、指導する立場からするととても大切ですからね」
――相手がトップクラスの選手ばかりですから、勝ち負けは仕方ないと思います。でも指導する立場からすれば、道場の運営も含めて勝敗は大きいのでしょうね。
「それはついて回るので、仕方ないと思っています。今回、もしも負けたら出場する階級を考え直そうと考えていました。減量は、他の選手に比べればそこまで厳しくないのですが、自分に合った階級へ出場したほうがいいので。でも、今回、自分から動けていたので、やはりこの階級が合っていることが分かりました」
――ライトフェザー級は、上下の階級から参戦してくる強豪選手も含めて層の厚い階級です。違う階級ならば……と思うこともあったのですね。
「確かにライトフェザー級は、層が厚いかもしれません。でも、どの階級でも強い選手と戦うことになるのは同じですからね。自分が動ける階級で勝負をするべきだと思います」
――世界の舞台で活躍するライバルたちのことは気になりますか。
「橋本選手は、昨年のジャパニーズ・ナショナルで負けているので気になると言えば、気になりますね。いつかは、また戦うことになると思いますのでリベンジしたいです」
――焦りはありますか。
「焦り……、そこまでないですね。もっと焦ったほうがいいよと言われるかもしれませんが、そこで無理をしてもケガをしてしまうかもしれません。やりすぎてしまう性格なので、休むことも大切だと思うようにしています」
――世界への挑戦についてはいかがですか。
「マニラ・オープンで結果を出せばポイントがたまるかもしれませんが、世界選手権は来年、挑戦したいと考えています。今年は6月の東日本選手権、8月の全日本選手権、9月のアジア選手権への出場を予定しています。あとは、10月のソウルオープンですかね。今回のジャパニーズ・ナショナルで良い感覚を掴んだので、結果を出したいです」
――世界との距離については、どう感じていますか。
「国内で勝ったり負けたりを繰り返している今の自分が、はたして世界選手権へ出場して結果を残せるのかとなった時に、そこまで胸を張れるほどにはまだなれていません。もちろん挑戦しないと何も始まらないなんですが、もっと強くなって、自信を持って臨めるように高めていきたいですね。そのためにも、たくさん経験を積んで世界選手権へチャレンジしていきたいです」