【PJJC2017】レアンドロ・ロ、ウルトラヘビー級優勝のホシャを足首固めで破り無差別も制する!!
16日から19日にかけて、カリフォルニア州アーヴァインのブレン・イベントセンターにてIBJJF主催のブラジリアン柔術パン選手権が行われた。世界選手権の前哨戦として、多くの強豪が顔を揃えた同大会。レビュー最終回は、アダルト黒帯の部のスーパーヘビー、ウルトラヘビー、そして無差別級の模様をお届けしたい。
【スーパーヘビー級】
圧倒的な極めの力で昨年一躍注目の的となったエルベース・サントスは、準決勝でロイド・アーヴィン軍の元チームメイトであるモハメッド・アリーと対戦。試合中お互い額を付け挑発し合い、場外でも激しくやり合いアリーが出血する激闘となったこの戦いは、上半身の煽りだけで一瞬でアリーの巨体をマットに叩きつける恐るべきテイクダウンをサントスが見せれば、アリーも執念のタックルで取り返す展開に。最後は懸命に抑えにゆくアリーを、サントスがラッソーからのスイープで返して試合終了まで上をキープ。レフェリー判定勝ちを告げられると咆哮したサントスが決勝に進出し、大ヴェテランのホドリゴ・カヴァカと対戦した。
<スーパーヘビー級決勝/10分1R>
エルベース・サントス(ブラジル)
Def. by 3-0
ホドリゴ・カヴァカ(ブラジル)
試合開始早々、カヴァカは飛びついてクローズドガードへ。さらにそこから反転してヒザ十字を狙ってゆくが、サントスは腰を落として対処。やがてカヴァカの腕を振りほどいて距離を取ることに成功したサントスは、改めて低く座り込んでカヴァカの右足をマットに押し付けると、それを乗り越えてのパスに成功して3点先取!
カヴァカを完全に抑え込んだサントスは上四方に回り、頭をまたいで横三角の態勢を作って完全にその動きを止める。そのまま腕を取ってのフィニッシュも狙える態勢だが、サントスは無理せず上をキープしたまま時間が過ぎてゆく。残り1分少しのところでカヴァカはなんとか頭を抜くことに成功。展開が生まれるかと思ったが、サントスは体重をかけて無理せず上四方をキープ。2つのマイナスアドバンテージを受けつつも時間まで抑え切って勝利した。
暴力的なまでの極めの力と、一度状態が固まったらペナルティが蓄積してもリスクを犯そうとしない極度の慎重さを併せ持ったサントス。とてつもない強さと不安定さと冷静さが同居した、興味深いファイターだ。
【ウルトラヘビー級】
両ブロックを勝ち進んだアレクサンダー・トランスとアドソン・ゴビが両者とも負傷のためか準決勝に出てこなかったため。残りのベスト4進出者であるガブリエル・ホシャとグスタヴォ・ディアズが自動的に決勝で対戦することとなった。
<ウルトラヘビー級決勝/10分1R>
ガブリエル・ホシャ(ブラジル)
Def. by
グスタヴォ・ディアズ(ブラジル)
立ち技での攻防がしばらく続く。ディアズの背負い投げを潰したホシャが上を取るが、ディアズはすかさずディープハーフを作る。そこからヒザで浮かせてのスイープを狙うディアズだが、逃れたホシャは自らの膝を入れてのニースライド・パスを狙う。これを耐えたディアズはうまく体をずらして再びディープハーフから同じスイープを仕掛けるが、ホシャは見事なボディバランスで上をキープし、そのまま背中に着く。
やがてシングルバックから両足フックを完成して4点を先制したホシャは、そのまま送り襟締め。巨体に似合わぬ俊敏な動きと優れたボディバランスを見せたホシャが優勝した。
【無差別級】
一つ目のブロックは、怪物レアンドロ・ロが順当に決勝進出。もう一つの準決勝は次の日ウルトラヘビーを制するガブリエル・ホシャ(ブラジル)が、やはり翌日スーパーヘビーを制するエルベース・サントスと対戦。試合開始早々の背負いを潰されてバックを奪われるピンチに陥るも、ディープハーフからスイープを決めると、サントスのヒザ十字狙いを潰してパスを奪い逆転し、マウントからの肩固めで一本勝ち。ヘビー級と最重量ウルトラヘビー級の覇者同士による決勝戦が実現した。
<無差別級決勝/10分1R>
レアンドロ・ロ(ブラジル)
Def. by 足首固め
ガブリエル・ホシャ(ブラジル)
ロが数年かけて体重を上げてきているとはいえ、だいぶ体格差のある両者。まずホシャはロの帯を掴んで引き込むと、そのまま跳ね上げてのスイープ! 際重量級離れした躍動感のある動きでロの体を見事に舞わせ、2点を先制してみせた。下になったロも、すぐにスイープ狙いで煽って距離をとって立ち上がる。
スタンドに戻るとホシャは背負いをみせるが、これを防いだロは引き込み。そしてすかさず内回りスイープで上をとって同点に。しかし、ここで両者の足は50/50の状態で絡んでいる。下から煽って上を狙うホシャだが、ロは持ち前のバランス感覚で足を抜く。ホシャはそこですかさず立ち上がって追いかけ、ロの背中についたところで場外に。ホシャにアドバンテージが加えられたが、すぐにこのアドバンテージは2点に変更された。
スタンドで再開されると、ホシャはすぐにロの背中を取りにゆく。するとすぐにロはすぐにガードに飛びついて対処。クローズドをすぐに開いたロは、再び内回りスイープを仕掛けて50/50で上の状態に。すると次の瞬間にロは、空いているホシャの足首をひねり上げるトーホールドに。ホシャは一瞬でタップ! ロがヘビー級と合わせてこの大会完全制覇を成し遂げた。
開始早々引き込みスイープをもらうと、その後はすぐに引き込むことで対処。そして一度は50/50の体勢からポイントを取られると、二度目には同じ状態からすぐに足首を極める。抜群の身体能力と技の切れに加え、試合中に即座に相手の戦い方に対応・修正できる柔軟性をも見せつけた怪物は、世界大会での4階級制覇に加え、無差別制覇まで成し遂げてしまうのではないか。そんな可能性すら感じさせるロの完全優勝だった。
■リザルト
【スーパーヘビー級】
優勝 エルベース・サントス(ブラジル)
準優勝 ホドリゴ・カヴァカ(ブラジル)
3位 ポール・アーディラ・イバラ(米国)
3位 モハメッド・アリー(ブラジル)
【ウルトラヘビー級】
優勝 ガブリエル・ホシャ(ブラジル)
準優勝 グスタヴォ・ディアズ(ブラジル)
3位 アドミルソン・ゴヴィ(ブラジル)
3位 アレクサンダー・トランス(デンマーク)
【無差別級】
優勝 レアンドロ・ロ(ブラジル)
準優勝 ガブリエル・ホシャ(ブラジル)
3位 エルベース・サントス(ブラジル)
3位 ニコラス・メレガリ(ブラジル)