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【Gladiator003】名前の持つ意味。今村豊と対戦、渡部修斗<01>「度胸、姿勢、強さが変わった」

Shooto Watanabe【写真】SBの会場で購入したRENA Tシャツの渡部修斗。ただし、彼自身は妹MIOのファンらしい(笑) (C)MMAPLANET

5日(日)、和歌山市の和歌山ビッグウェーブで開催されるGLADIATOR003にZSTでタイトル戦までたどり着いた渡部修斗が参戦する。

今村豊と対戦する渡部が、首都圏から和歌山へ出向いて戦う。なぜ、今Gladiatorなのか。そして、初代修斗ウェルター級チャンピオン渡部優一氏を父に、そして修斗の名を持つ彼にとって、MMA──格闘技はどのような存在なのか。

人に歴史あり、渡部修斗の肉声を訊いた想いがした。


──GLADIATOR003に初出場する渡部修斗選手です。これまで、キャリアのほとんどをZSTで戦ってきた修斗選手が、ここに来てFighting Nexus出場を経てグラジエイターに出場することになりました。

「今、Nexusの山田峻平さんにマネージメントをしてもらっているのですが、年が明けて今後の目標とキャリアの積み方について話し合いの場を持ちました。そこで、海外か国内どちらでやっていくかというところで、自分は国内で実績を積んで上へ行きたいという考えを話しました。

その時、『じゃぁどこかでベルトを狙おう』ということになり、山田さんからグラジエイターの名前が出てたんです。実は自分自身がグラジエイターが新しくなり、パンクラスやDEEPから強い選手ができるようになってレベルが上がったと興味を持っていたので、ちょうど話に出たので『ぜひ、出場させてほしいです』と伝えました。そして櫻井代表に話を通してもらって、今大会に出場できるようになったんです」

──首都圏から和歌山へ。都落ちと捉えられる向きもあるかと思いますが。

「そんなことは全く考えていなかったです。さっきも言いましたが、グラジエイターはレベルも上がっているし。ただ……」

──ただ?

「怖いなっていうのはありました(笑)。自分はずっとZSTで戦ってきていて、凄くファミリー的だったんです。もちろん、試合で戦う選手と気楽に話したりすることはないですが、そうでない時は皆の仲が良くて。

ずっとそういう雰囲気でやってきたので、パンクラス・ゲートやVTJに出た時に凄く殺伐としていて──怖かったんです(笑)。だからグラジエイターも怖いなって」

──なんとも(笑)。

「それと新しく動き始めた。なら、自分が頑張ればグラジエイターを自分の力で盛り上げることができる。ネクサスもそうですが、それが新しい団体で戦う良さだと思います」

──ZSTの王座をもう一度狙うという考えは?

「ZSTでチャンピオンになりたい気持ちはありました。ただ、それ以上に色々な景色が見たいと思ったんです。昨日で28歳になって(※取材は2月28日)、引退まであと何試合できるかなんて分からないですし。

山田さんにマネージメントをしてもらうようになり、色々な選択肢ができた。なら、そのチャンスをモノにしていきたいと思うようになりました。

ZSTに育ててもらったので、そこで戦う方が良いという考えもあったのですが、外に出てみたいという気持ちを抑えることができなくなりました。

ZST以外で、自分がどこまでできるのか。練習を色々な人とやっていて、決して自分は低い位置にいるわけじゃないと手応えを掴んできているので、今までの自分を超える意味でも、もっともっと色々なことに挑戦していきたいと思ったんです」

──なるほど。一皮剥けた感がありますね。

「会場に行き、控室にいたら怖いんだろうけど、でも挑戦したい気持ちが上回っています」

──以前から修斗選手はケージの方が合っているなと思っていました。

「アッハハハハ。自分もそう思います。ケージはVTJと中国の武林風で経験しています」

──中国で試合をしていたのですね。スイマセン、分かっていなくて。

「いえ、去年の3月に試合をして──結果はノーコンテストでした。完全に僕が勝っていたし、2Rの終了時にちょっとしたスラムがあって、それで意識を失ったって言われてTKO負けにされました。

でも、絶対に失神なんてしていないし。向こうは何か、9戦全勝のエース(※ゼン・ジュンフェン)だったんですけど、抗議文を出したらノーコンテストになったんです」

──そんな経験をしていれば、グラジエイターは怖くないのではないですか。

「う~ん、やはり経験は積めたと思います。VTJの頃の自分とは違います。度胸とか、格闘技に対する姿勢が変わり、強さも全然違うようになったと思います」

──そのような姿勢が変わったのは、2014年5月に所属先をネクサセンスからストライプル新百合ヶ丘に変えたことも関係していますか。

「ハイ。というよりも、自分自身ですね。あの頃は、ただ練習していれば取り敢えずそれで良いやって感じでした。もちろん、そんなんじゃ勝てないし。

ただクラスに出て、言われたことをやっていただけ。試合に勝ったら嬉しい、負けたら悔しい。その時だけで、先のことも何も考えていなかったです。いやいや練習していて格闘技が嫌いになってしまって……。

それが移籍して、練習仲間も変わって自分ができているって気持ちがあって、本当はMMAのこと、こんなに好きだったんだって分かったんです。今も練習はしんどいですけど、それ以上に勝ちたい、色んな技術を習得したいという気持ちの方が大きいです。もっと強くなりたいという一心で練習できています。

自分で考えて練習するようになりました。あの頃、植松(直哉)さんが言われていたことはこういうことだったんだって、気付くことがあります。ほんとフとした瞬間に『これだったんだ』って思うんです。

ただ、あの時の自分は未熟過ぎて、意味が分かっていなかったです。自由奔放で、言うことを聞いていなかったですし(笑)。『お前は自由だ』ってよく言われていました……今の自分があるのは植松さんに育てられたお陰です。それは凄く感謝しています。格闘技がないと生きていけなくなりましたから」

<この項、続く>

■GLADIATOR003対戦カード

<グラジエイター・バンタム級王座決定戦/5分3R>
バン・グヮンギ(韓国)
寒川慶一(日本)

<国際対抗戦ウェルター級/5分3R>
レッツ豪太(日本)
キム・ギョンピョ(韓国)

<フライ級/5分2R>
横溝和也(日本)
KAZUHO(日本)

<グラジエイター・ライトフライ級次期挑戦者決定戦/5分3R>
宮城友一(日本)
草信孝謙(日本)

<フライ級/5分2R>
加マーク納 (日本)
和田教良(日本)

<バンタム級/5分2R>
辻川力也(日本)
林優作(日本)

<国際対抗戦 フライ級/5分2R>
NavE(日本)
ヨム・ジャンウ(韓国)

<バンタム級/5分2R>
今村豊(日本)
渡部修斗(日本)

<国際対抗戦ウェルター級/5分2R>
別府敬祐(日本)
ムン・ジュンヒ(韓国)

<フライ級/5分2R>
大前健太(日本)
田代悠生(日本)

<ライト級/5分2R>
SHUNYA(日本)
松岡高史(日本)

<バンタム級/5分2R>
北崎拓実(日本)
三宅輝砂(日本)

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