【UFC205】ヨアナ、完勝もコバケビッチも大健闘の判定負け
<UFC世界女子ストロー級選手権試合/5分5R>
ヨアナ・イェンジェチック(ポーランド)
Def.3-0:49-46.49-46.49-46
カロリーナ・コバケビッチ(ポーランド/2位)
いつも通り、ケージにもたれて笑顔でコールを受けるコバケビッチ。ヨアナは思い切り拳を突き上げる。タッチグローブなく分かれた両者、素早い左ジャブを伸ばすヨアナに対し、コバケビッチはスイッチを織り交ぜる。ローを2つ入れ、ワンツーにつなげる王者のローにコバケビッチは右を合わせようとする。
チャレンジャーが構えを変えようがお構いなく、ローを蹴りこみ左フックから右ローと対角線コンビネーションをヨアナが見せる。コバケビッチの1発に、2発&3発&蹴りと回転力で勝るヨアナはパンチからローを打ち続ける。コバケビッチの前進をワンツーとローで止める王者は前蹴り、コバケビッチが組んでケージに押し込む。
体を入れ替えたヨアナは左ヒジ、コバケビッチは再びを押し返すがヒザを突き上げる。右エルボーを放って離れたコバケビッチは、ヨアナの対角線コンビネーションの壁をなかなか突き破ることができない。ミドルを入れて組み付いたヨアナはエルボーを打ち込むなど、初回を取った。
2R、左ジャブから左ローを蹴っていったヨアナに対し、コバケビッチは右から左を見せ、蹴り足をキャッチもテイクダウには至らない。コバケビッチの前進にエルボー、前蹴りを当てて距離をコントロールする王者はほとんど攻撃を被弾していない。構えを変えるたびに前足にローを被弾するコバケビッチも、下がることはなく蹴り足を掴んでシングルからアンクルピックへ。
左腕を差して防いだ王者はクリンチからヒジを入れる。コバケビッチは右ハイをキャッチも、ここもレッグリフトせずケージに押し込むにとどまり、テイクダウンを奪えなかった。やや気持ちで押されたているのか、組みは捨てているのか。そんなチャレンジャーに対し、ヨアナはスピニングバックフィストを見せる。
3R、コバケビッチのシングルを切ったヨアナが左右のロー、ワンツーから振り下ろすローを蹴りこむ。ただし、このようなキックボクシングマッチになると、女子格闘技特有のパワー不足と耐久力の強さで、決定的なシーンは訪れない。パンチをまとめられても前に出るコバケビッチが右ミドルを入れる。コバケビッチの攻撃がヨアナを捉える数も増えてきたが、いかんせん手数で圧倒的に王者が上回る。
ケージ際の組み合いでもヒジを入れる王者は、エルボーとヒザのコンビネーションで攻めたてケージに押し込む。態勢を入れかえたコバケビッチだが、ヨアナは脇をくくってバックを取るや後方からヒザを見舞う。胸を合わせた挑戦者、エルボーを被弾してワンツーを返すが空を切る。序盤の3R、ヨアナは問題なくとり続けた。
4R、素早い左右のローを軽快に蹴り続けるヨアナ。コバケビッチがショートの連打で前に出ると、王者が初めて自分のリズムでない展開で組みへ。ヒジを打ち合って離れた王者はロー。コバケビッチはスピニングバックフィストから、真正面に立ったヨアナに右をヒットさせる。腰が落ち、動きが落ちたヨアナにラッシュを掛けるコバケビッチ。打ち勝てない王者が、組んで寝技に持ち込むも、すぐにコバケビッチは立ち上がる。首相撲から離れた、コバケビッチが前に出て左をヒットさせる。
蹴り足を掴んでテイクダウン狙いのコバケビッチ、ヨアナはこの展開の方が助かるか。右エルボーを入れ、離れたチャンピオンの蹴りを掴んでパンチを振るう挑戦者は、右フックからワンツー。スピニングバックフィストを入れる。王者も同じ技を返すが空振りに、手数は衰えないヨアナだが、一発の威力はコバケビッチが初めてラウンドを取った。
最終回、逆転の期待を挑戦者がパンチの連打で前に出る。クリンチでいなすチャンピオンは、右をヒット。コバケビッチはローを当てられても前に出る。前蹴りからショートの連打を打ち込んだヨアナ。コバケビッチは4Rのような近づいた間合いを作れない。接近戦でヒジを受けても、ひるまず前に出て足を止めての打ち合いでチャレンジャーは絶対に怯まない。
右目じりを大きく腫らしたヨアナが、コバケビッチの前進には組みで対応する。ケージを使った文字通りのクリンチ戦で息を整えたヨアナは、蹴り足を掴まれても倒れずバックへ。そして、後方からヒザを突き上げる。エルボーを打ち込み、右フックへ。コバケビッチが胸を合わせると、左ハイを蹴っていったヨアナ。最後はパンチをかいくぐってバックへ。タイムアップと同時に、ヨアナはコバケビッチの健闘を称えてその手を挙げた。
手数とヒット数で4R以外は確実にポイントを取ったと思われる王者。結果、ジャッジ3者とも49-46で問題なく王座防衛に成功したものの、これだけ当ててダメージを与えられなかった要因はどこにあるのか。非常に興味深い、試合内容だった。
「それほど悪い一発じゃなくで、すぐに戦いに戻ることができた。カロリーナはタフで、彼女を相手にこんなにハードな試合になるとは思っていなかった」と王者は話し、敗れたチャレンジャーは「彼女はベストファイター。良い試合ができたことを誇りに思う。次はポーランドで戦いたい。作戦はスイッチして、打撃戦を続けることだった」とコメントした。