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【UFN34】菊野克紀 (03)「集中力と、勇気を出して前に行けるか」

2013.11.21

Katsunori Kikuno

【写真】海外の試合は初めての菊野。あまり問題視はしていない (C)MMAPLANET

1月4日(土・現地時間)、シンガポールのマリナベイ・サンズで開催されるUFN34「Ellenberger vs Saffiedine」でクイーン・マルハーンと対戦する菊野克紀インタビュー第3弾。

引き続き、沖縄拳法空手のMMAにおける有効性と、その探求。そしてUFCデビュー戦となるクイーン・マルハーンについて尋ねた。

<菊野克紀インタビュー、Part.01はコチラから>
<菊野克紀インタビュー、Part.02はコチラから>

──次の対戦相手云々ではなく、パンチのプレッシャーがメチャクチャ強い外国人選手と戦った時も、今の空手はMMAに応用しきれるという自信はありますか。

「そこは練習ですよね。プレッシャーがあった場合、良い動きはできなくなるので、そのために練習して、無意識に自分の動きができるように落し込まないといけないです。ピンチの時、プレッシャーを掛けられた時にこそ、稽古した動きができないといけないです。それは本当にこれから稽古をいかに積むかに掛かってきます。逆にいえば、それができないと勝てないですから。もちろん、その相手にボクシングで勝てるわけではないので」

──どんな相手だろうが、どのような状況になっても本来の動きを出せるように積んでいくと。

「ハイ、その通りです。まだ沖縄拳法を習い始めて、1年8カ月ぐらいなので、まだこれからです。8月にDEEPで戦った韓国のイ・ヨンジェ選手は長身で間合いを取る選手だったんですが、前の動きに戻ってしまったんです。チグハグになってしまってしまいまいた。上手くいかないときも、型通り動けないといけないので、今、一生懸命にしみこませています」

──沖縄拳法で学んでいる打撃は、自分から局面を打開する動きも含まれているのですか。それとも後の先のようなカウンターが主なのでしょうか。

「自分の方から動いて相手も崩せますし、後の先といっても基本、待ってはいけない。やはり出させた上で取らないといけないので、厳密にいえば後も『先』なんですよね。後手になってはダメです」

──それは下がってはいけないという部分にも、通じてくるのですね。

「下がったら、全ての力が失われますし、相手の攻撃も見えなくなります。攻めている時には見えているものが、守ってしまうと見えなくなる。武術ってとことん、人の反射だとか生理的な部分を研究し尽くしているので……。こないだもツイッターしたんですけど、山城美智先生が仰った凄くシンプルな奥義なんですけど、『ビビったら負け』、そして『無傷で勝とうと思うな』という二つの言葉、本当に胸にしみました。ビビった時点で自分の力も全てオフになるし、相手の動きも見えなくなる。無傷で勝とう――良い勝ち方をしようと思ったら隙ができる。本当に覚悟を決めて、勇気を出して入っていかないと、うん、ダメですね(笑)」

──いつでも勇気を持てるというのも、簡単ではないですよね……。

「そのための鍛錬です。それがまさに奥義であり、ずっと関わってくる命題ですね」

──そういう精神部分な面で、いつも通りに戦うことが大切になってくるなか、今回のシンガポールでの試合について、どのような気持ちでいますか。

「海外の試合は初めてなので、何とも言えないのですが、今まで僕もものすごくボロボロな状態で試合をしたこともたくさんあったので、そこは気にならないです。海外だとか国内っていうは関係ないと思っています。厳しい状況の方が良い勝ち方ができたことも多々あるので。結局はその時に集中して、勇気を出して前に行けるかってことだと思います。ハイ」

──UFCデビュー戦の相手クイーン・マルハーンですが、どのような印象を持っていますか。

「190センチ……まぁ、デカいっすよねぇ。寝技が得意な選手らしいですが、打撃もそこそこしっかりとしていました。ウェルター級から落してくる選手で、ジェイソン・ハイには負けたのですが、ボコボコにやられているという感じではなかったです」

──MMAはUFCが頂点に立ってから、米国文化、米国の習慣の下で成長してきました。米国の物量社会が基本にあり、体の大きな、肉体的な優れているファイターが、真っ向からやり合う。その体格面で菊野選手はリーチの長さや体の大きさでは優位には立てないです。その体格が沖縄拳法をやることで、利点にもなるのでしょうか。

「う~ん、まぁ物量が大きい、体が大きい方が有利なことは間違いないですよね。僕もよくフェザー級に落せと言われます。ただ、フェザー級に落したからといって勝てるわけではないですよね。僕のコンディショニングも大変になるし、相手のスピードも速くなります。階級を下げたからといって、相対的に強くなれるのかどうかも分からないですし。そこでストレスを感じるよりも……と。

まぁ、ライト級でお手上げになれば考えますが、お手上げになるまでは、今ここで勝負しても変わりないかと思います。それに彼らと物量勝負しても、無理だと思うんですよ」

──トイレの便器が高くて、子供用で済ませるなんてこともありますしね……。

「それは絶望感を感じますね(笑)。米国の技術を勉強して取り入れるのも大事だと思います。でも、やっぱり自分たちのオリジナルを考えていかないと、チャンピオンになるのは難しいのではないかと。もちろん、米国のこと研究したうえでのオリジナルということですが。まぁ、僕はそのなかで沖縄拳法という彼らとは違うもので勝負したいと思って、今、勉強しています」

──モルハーンはUFCのピラミッドでいえば、かなり下の方の相手になります。この位置からスタートについては、どのような意見を持っていますか。

「僕はまだ全然ピークではないので、後になればなるほど強くなれる自信があります。そう言う意味で段階を踏みたいという気持ちでいますし、今回、初めての海外の試合でもあるので、いきなりバケモノみたいな相手と戦うよりは、等身大の相手で良かったと思います」

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