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【UFN34】川尻達也「UFCには悪魔が棲んでいる……」

Tatsuya Kawajiri

【写真】大会終了後の会見では試合後の絶叫は、自然と口について出たと晴れやかな表情で川尻は語っていた(C)MMAPLANET

4日(土・現地時間)、UFC Fight Night34「Saffiedine vs Lim」でショーン・ソリアーノを下し、UFC初勝利を手にした川尻達也。

序盤の苦戦と、前に出る姿勢。最後はRNCで締め落とし、タイトル挑戦とボーナスの大絶叫アピールと川ちゃん劇場的なファイトで見る者にハラハラドキドキ、そして安堵感と今後の期待を高めた川尻の話をポスト会見終了直後に聞いた。

――最初のテイクダウンを防がれ、続いて右ストレートを被弾。直後のテイクダウン狙いの距離が遠かった時……。

「ハハハ。ビックリしたでしょ。ど素人みたいで(苦笑)」

――思わず、これはダメだと口に出てしまったほどでした(笑)。

「もう、負けることしか頭になかったです。1年ぶりの試合で、UFC、海外で。本当にネガティブなことしか頭に浮かんでこなくて」

――それは試合前に、ということですか。

「いや、オクタゴンに入っている時もです。『あぁ凄ぇ、相手強そうだ』って(苦笑)。意外と冷静なんですよ。昔は怖くて、『ウワェ』って切れないと試合に入れなかったんですけど、今は普通にコンビニに行く感じで入れてしまうんで」

――テイクダウンを切られてヒザを被弾したときなど、このまま相手のペースに巻き込まれてギルバート・メレンデス戦が脳裏を掠めました。

「UFCには悪魔が棲んでいると思っていたので、これがあの噂の『自分の実力が出せないってやつか……』って戦いながら思っていました。そんな風にそこでも冷静に、練習のように戦っていたんです」

――冷静にネガティブになる……。ただし、あそこからガムシャラに組み続けてテイクダウンを狙っていきました。

「下がっていると勝てないので。作戦的にも綺麗に勝とうなんて思っていなくて、テイクダウンを1度切られれば2回目を狙うし、10回切られれば11回行く、100回切られれば101回目を狙うのでドンドン煽ってくれってセコンドにも伝えていました。もう攻め続けて、切られても何回でもチャレンジするっていう作戦だったので。

まぁ、テイクダウンを切られても攻め続ければ削ることもできるし、そうこうことも含めて自分への挑戦というか……。児山(佳宏)がこの間の修斗(※12月15日新宿FACE大会)で、そんな戦いをしていたので彼に刺激を受けて、攻め続けないといけないって思っていました」

――1R、ようやくテイクダウンを奪い一気にバックマウントへ。そこからRNCを仕掛けて、一気に行けるかと思うと、またソリアーノがディフェンスも巧みでした。

「いや、やっぱり強かったです。本当に。まだ、UFCデビュー戦ですけど、これまでにも言っていたように誰もが最初はデビュー戦なんで。今のメレンデスとかエディ・アルバレスだって経験の少ないところからやって来たんだし。向かいあって、本当に強かったです。決してイージーな相手ではなかったですね」

――ソリアーノが亀になって、川尻選手が懸命に伸ばしに掛かっていたのですが、ここで下に振り落されたら、また展開が変わり試合の流れが変わるかもしれないと怖かったです。

「返されても、返されても攻めるつもりでした。15分間、何回でもチャレンジして絶対に諦めないつもりだったので、その辺は……うん、作戦通りにはできたかなって思います。でも、最初のタックルが余りにも酷かったですね(苦笑)」

――良い意味でなくドキドキ、ハラハラしました。

「ちょっとプレッシャーをかけて……。前に出よう、下がったら負けると思っていたんですが、何か合わないなぁとは感じていたんです。だから途中からプレッシャーを掛けつつ、相手の攻撃に合せて、攻撃してくるのを待ってからカウンターでパンチを入れたり、誘ってテイクダウンに行こうと切り替えました。そこからいつも通りに戦えました」

――ソリアーノの最後は失神。落ちるまで我慢するということは、彼も心は折れていなかった?

「そうですね、ハイ。あれでキャリア8戦ですからね。本当に気が滅入りますよ。これからバケモノみたいなトップ10ファイターと絡んでいくことを考えると。今のままでは敵わねぇって感じです」

――一点、今日の川尻選手の動きを見て、UFCのトップ10ファイターが『カワジリは大したことない』って思ってくれれば、それはそれで良いのかと。

「ハハハ。でも、安心したでしょうね」

――でも、本当の川尻達也はこんなものじゃないと。

「まぁ、1年振りだし本当にきつかった。もう、負けたら終わりだと思っていたので。こんな緊張したのは、いつ以来だって……」

――契約云々ではなく、トップを目指す上で首がつながった勝利だった?

「ホント、そうですね」

――次こそは本領発揮できることを期待しています。

「ハイ、スパンをあけないで戦いたいです」

――次戦はいつぐらいを希望しますか。

「春までには戦いたいと思っています。今度は米国本土に乗り込んで」

――3月1日のマカオ大会というのは?

「いやぁ……、やっぱりPPV大会に出たいですね。そこに食い込んでいきたいです」

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