【AJJC2016】アダルト紫帯フェザー級出場、宇野薫<03>「このドキドキがあるから挑戦する」
【写真】護身の技術指導に見入る宇野薫。今、MMAで最も柔術を駆使しているデミアン・マイアもセルフディフェンス として柔術の重要性を説いている一人だ(C) MMAPLANET
10&11日(土・日)に東京都足立区の東京武道館で行われる国際ブラジリアン柔術連盟=IBJJF主催のアジア柔術選手権2016(Asian Jiu-Jitsu Championship 2016)に出場する宇野薫インタビュー最終回。
アダルト紫帯フェザー級に出場する宇野にとって、この3年でブラジリアン柔術は本当に身近な存在となった。それこそ柔術の有り方を示す。技術云々でなく、MMAのパイオニアだからこそ宇野は柔術の原義を直感的に捉えているのかもしれない。
<宇野薫インタビューPart.01はコチラから>
<宇野薫インタビューPart.02はコチラから>
──楽しみでもあるのですね。
「MMAも結局、そういう部分があるじゃないですか? そんな危ないところに飛び込まなくても良いのに、そういうところに身を投じてみたくなる。チャレンジしたくなる自分がいるんですよね。
まぁ、今回マスターの部に出られないのは仕事の関係もありますが、紫という帯の色にしてもアダルトに出るのも植松君の決めたことに従っている形なので。僕としては出たいと思っても、自分が紫帯を巻いてもらえるとも思っていなかったですし、もちろん僕の方に紫にしたいといえる権限もない。
師匠である植松君がその指示をしてくれたところで、僕がベストを尽くす。それがこのタイミングになった。だから、試合に出たいと言ったことで、今回のタイミングで紫帯になった形です。
一応、規定でプロMMAファイターは白帯で出場してはいけないことになっているようですし」
──いや、それは危ないですよ。心技体揃って格闘技。技へ習熟度は同じであっても、宇野選手のフィジカル、精神面は白帯の柔術家とは到底思えないですから。
「でも、『紫じゃなくて青で良かったよ』って今は思っています(苦笑)」
──ハハハ。また笑ってしまって、重ねて謝らさせてもらいます。MMAだと、その緊張している宇野選手を笑うなんてことはできないのですが、今回のケースはとても微笑ましいです。
「いや、もう本当に怖いです。でも、このドキドキがあるから挑戦するのかもしれないですし」
──格闘求道者ですね。ところで試合用に道着を着た練習は増やしましたか。
「週に2回することもありますが、技術的に自分の動きが急に変わることはないでしょう。柔術的な動きに対処、対策をしてはきましたけど、競技は違います。でも、競技が違っても──やはり勝ちたいという気持ちがあります」
──週に2度、それ以外はどのような練習を?
「いつもと同じです。OTOKOGIやグランドスラムでスパーリングをしています」
──それは当然、ノーギなわけですよね。
「ハイ。MMAとグラップリングの練習ですね」
──では、道着を着た宇野薫選手の得意技は何になるのでしょうか。
「得意技……? 何でしょうね。絞め技は襟を掴むんじゃなくて、首の方にいってしまうかと思います。それこそ、慧舟會で守山(竜介)さんに教わった柔道技も僕の一部になっていますし、そういうモノも出せたらなと思うところもあります」
──それはどういった部分で、ですか?
「内緒です(微笑)」
──その内緒が、MMAが話題の時よりも楽しそうですね(笑)。
「いえいえ、そんなことないですよ(笑)」
──ではトーナメント、結果として狙いはどこにありますか。
「なんか30人ぐらいエントリーしていて、しかもグアム、韓国、台湾や豪州だけでなく、ヨーロッパからも外国人選手の出場が多い(※18名)そうで……。でも、表彰台に登りたいという気持ちではいます」
──MMAと違い、ある意味リラックスして宇野選手がどこまでできるのか楽しみに見させていただこうと思います。
「いやぁ……、何もできずに負ける可能性もあるし……。柔術に出たMMA選手からは『全く違うから』って聞いているので、本当に不安です」
──植松さんからは何かアドバイスはありましたか。
「いつも通りに──と言われています」
──今後は柔術らしく、親子参加なども期待できますね。
「それが柔術の素晴らしいところなんですけど、ウチの子供たちは柔術よりゲームの方が楽しいみたいです。でも、ホントそういう風に出られている人もいますよね?」
──それこそ元プロ修斗世界ライトヘビー級王者だった須田匡昇さんが今年の4月にドゥマウの関西に出て、息子さんとW優勝をしています。
「本当に柔術は生活のなかに取り込むことができて、それが良さだと思います。それこそホイラーと稽古をさせてもらった時は分かっていなかったのですが、柔術にはグレイシー柔術らしい護身術も含まれていますし。植松君のところでは競技柔術もそうだし、護身術も習っていて凄く楽しいです。それこそこれまでにサウロ・ヒベイロやマチャド、ホイラーと練習させてもらったのに、そこまで柔術が分かっていなくて。だから、今度は柔術アカデミーを巡る旅とかしてみたいですね。一度、ケニー・フロリアンと練習するのにジムを貸してくれたアルバート・クレーンともSNSでつながっていて、また彼のところにも行ってみたいと思っています。MMAとは違う世界が見られるんじゃないかって。それぐらい今は柔術が楽しいですね」
──なるほど、では最後にMMAの方はいかがなのでしょうか。
「今日は柔術のことで話をさせていただいているので、MMAに関してはノーコメントです(笑)」
──出たぁ。得意のノーコメントですね(笑)。
「ハハハ。それはMMAの選手として現役でやっていますし、4月からMMAの試合は少し空いてしまっていますが、その間に練習できることもあるので。そして、グラップリングや柔術の試合に出る機会もあり、そういう風に自分の格闘技人生として良い形で回っているので、今はそういう時期だと捉えています」
──押忍。ありがとうございました。では今週の土曜日、楽しみにしています。
「ありがとうございます。頑張ります」