【JBJJF】福本BOSS吉記、レアンドロ草野。全日本マスター優勝からのネクストチャレンジへ!!
【写真】実力、年齢に則したコンペティションに挑めるのが柔術の最大の特徴であり、ここからまた年齢を超越した挑戦が始まる (C)TSUBASA ITO
草野レアンドロ・デ・ソウザと福本吉記。7月3日(日)に愛知県武道館で開催された「第1回全日本マスター柔術オープン」で2階級制覇を飾ったふたりは、ともに道場を主宰する立場でもある。プレーヤーとして輝きを放った両雄にとって、今大会にはどんな意義があったのか。
Text by Tsubasa Ito
マスター1黒帯ミディアムヘビー級と、同オープンクラスを制した草野は、傍らに愛息を連れ、首から下げたふたつの金メダルを誇らしげに掲げた。「いい柔術を見せたいといつも思っています。苦しい場面もあったけど、今回はいい勝負ができました」と笑顔で語る。結果だけではなく内容が伴っていたことも、明るい表情を見せた理由だったのだろう。
とくにアサオ・エベウトン・ラモスとのオープンクラス決勝戦は、クローズドガードからスイープ、マウントポジションへ移行するアサオの必勝パターンをシャットアウト。逆にスイープとパスガードを決め、最後はヒザ十字固めで一本勝ちを収める会心の内容となった。
今大会で得た自信を胸に、今後は再びアダルト戦線に打って出る考えもあるという草野。アジアオープン2012で優勝を飾るなど、アダルトでも実績を残しているが、2013年にヒザの手術をして以降は痛みが残り本調子に遠かったため、マスターを主戦場としていた。34歳の復調は、アダルト戦線に新展開を生むかもしれない。
また、今大会には草野をはじめ多くの日系ブラジル人が出場し、活躍を見せた。「(ミケヤス・トシオ・)アサダ先生とかが連盟をマネジメントして、最近はブラジル人が増えました。これからもっと増えていくと思います。JBJJFはいいプランを考えていますね」と草野。『KUSSANO TEAM』の代表という立場から、日本のブラジリアン柔術の未来を見据えた。
一方、『クラブバーバリアン』と『CBインパクト』の“BOSS”福本は、マスター5黒帯フェザー級と同オープンクラスを制覇。「ひさしぶりに参加させていただいたんですが、とにかく楽しかったです」と、およそ3年ぶりとなる柔術の試合をエンジョイした。
8月にDEEPで総合格闘技の試合を控えていることもあり、体をつくる中でタイミングが合ったことから今大会への出場を決めたという。とても52歳とは思えぬコンディションの良さを見せたが、その裏にはある出来事があった。
今年5月、唯一の家族である愛犬が交通事故で突然この世を去った。悲しみを振り払うため、大好きな酒を控え、マラソンを始め、サーキットトレーニングなどの練習に没頭。週2回、早朝に行なわれるスパーリングでは「若手にボコボコにされながら一緒に打ち込みました」と笑った。フェザー級決勝戦は、相手選手の反則により不完全燃焼に終わったが、オープンクラスでは練習の成果を披露。決勝戦ではアライブの和田肇に対し、スイープを2度、パスガード、ニーオンザベリーで9ポイントを奪い、完勝を収めた。
「会員さんや選手には『自分に勝てない人は相手に勝てない』とか厳しいことも言うので、まずは自分がちゃんとしなければという意識があります。いろいろな面でカッコいいおじさんを目指しているので、できればずっと現役でいたいですね。うちの会員さんも、それに触発されてくれればいいなと思います」
アンチエイジングを体現する福本は、自らが先頭に立つことで道場生にさまざまなことを示してみせた。これからも柔術と総合格闘技を股にかけ、活躍を見せてくれるだろう。ふたりの戦う道場主は、それぞれが選手としての目標も持ち、ギラギラと輝いていた。