【Strikeforce】体重超過のサイボーグ、赤野を下すも…
■第7試合 女子フェザー級145ポンド契約/3分3R
クリス・サイボーグ(ブラジル)
Def.3R35秒/TKO
赤野仁美(日本)
【写真】プロとして受けた試合なので、致し方ないかもしれないが、プロモーションがこのような試合を行う必要があるのなら、コミッションは抑止能力を持つべきだろう。現在のままでは、アスレチック・コミッションは抜け穴だらけ。スポーツとしての公平性を維持できる機関ではない (C)Tom Casino/Strikeforce
サイボーグの契約体重無視で、実現が危惧された一戦。赤野はジョシュ・バーネット&藤井惠をセコンドにヘキサゴンへ。この試合に勝利し、米国が求める×ジナ・カラーノ戦を実現させたいサイボーグに、「プロとして7ポンドもオーバーするなんて、馬鹿げている」と解説のパット・ミレティッチも辛口のコメントを残したが、心情的にも赤野の腕十字が炸裂することを期待したい。
「サイボーグは、今夜は166ポンドはあるだろう」と憤りを隠せないミレティッチの解説とは裏腹に、hpパビリオンの観客は大きな声援を彼女におくる。試合開始早々、突進するサイボーグの打撃を受けながらも、投げを狙う赤野。バックをとったサイボーグはバックスローでテイクダウンを奪う。
直後にガードから腕十字を狙った赤野だが、サイボーグはこれを察知し腕を引き抜く。クローズドガードで距離を潰す赤野。サイボーグは両腕で赤野の顔をマットに押し付け、スペースを作ると強烈なパウンドを落としていく。
試合がスタンドへ戻ると、赤野のミドルを掴んだサイボーグが放り投げるようにテイクダウンを奪う。グラウンドへはいかないサイボーグ、組みついて打撃戦を避けたい赤野だが、押しつけるようなパンチを浴びてしまう。
「技術でなくパワー」とあくまでも辛口なミレティッチ。2R、赤野はローから果敢に組みつこうとするが、強烈なハイキック、パンチ、ローを受ける。と、テイクダウンを狙った赤野だが、足を引き抜きグラップリング対策は十分のサイボーグは余裕で打撃戦へ持ち込む。
首相撲からヒザを受けた赤野は、ここでパンチに合わせて飛び付き腕十字を見せる。起死回生の攻撃も功を奏さずガードを強いられ、必死にクローズドガードで耐える赤野に容赦なくサイボーグのパウンドが落とされていく。それでも腕十字を狙う赤野に、足を払ったサイボーグはサイドを奪う。腕を固めてパウンドを落とすサイボーグという場面で2Rが終了する。
3R、「赤野はアメージングだ」とミレティッチは、彼女の戦いを絶賛するが、サンノゼの観客は引き込む赤野に容赦のないブーイングを浴びせる。蹴り+右ストレート、ヒザを受けた赤野は、そのまま後方からのパンチの連打を受け、ここでレフェリーは試合をストップ。直後にSHOWTIMEのカメラは、ヘキサゴンサイドのジナ・カラーノを抜いて映す。
中継陣は体重差のある試合について、否定的な見解を最後まで解き続ける。女子MMAがメジャーになるために、スポーツとしてのMMAを否定したサイボーグの振る舞いも許されてしまうのか。「計量ミスはもう絶対にしないとファンのみなさんに約束します」というサイボーグだったが、なんともいえない後味の悪い一戦になったとしかいいようがない。