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【Interview】エディ・ブラボー(02)「柔術の後にMMAを見ていた」

Eddie Bravo

【写真】柔術とMMAの関連性について、ようやく火がついたようにエディ節が聞かれた(C)MMAPLANET

プロ柔術「Metamoris Pro Invitational」の第3回大会で、ホイラー・グレイシーとの対戦が発表されているエディ・ブラボー・インタビュー第2弾。

グレイシーへのリスペクト発言や家族を第一という発言で、俺様エディも丸くなったという印象を残した前回のインタビューから一転、柔術のポイント制についてエディ節が返ってきた。

<エディ・ブラボー インタビューPart.01はコチラから>

――ここはやはりホイラーであって、現役に復帰に当たって他の若い選手と戦おうという気持ちにはなれないものなのでしょうか。

「リマッチだからな。ホイラーは、俺がラッキーだから勝てたと言ってきた。なら、俺は何度も繰り返し彼に勝ってやる。それに多くの人達が俺たちの試合を見たいと思っているだろう。そういう意味では、俺とホイラーの再戦に関し、色んな人々がエキサイトしてくれるなら、柔術というスポーツのためになる。史上最高の柔術マッチだってね」

――では、20分間、ノーポイントのメタモリス柔術ルールの印象を聞かせてください。

「サブミッション・オンリーはベスト・ルールだ。俺はポイントなんて構っていないから。ポイントは好きじゃない」

――下の人間が上にいる人間を返し、トップを取り返す。リバーサルの攻防は柔術にとって、サブミッションに並ぶエキサイティングなシーンだと思うのですが、ポイントがないことで簡単にひっくり返されるのは、柔術の醍醐味の一つ失ったような気がします。

「なるほどな。ただ、メタモリス以外の何百、何千というトーナメントではリバーサルのポイントが認められているんだから、一つぐらいリバーサルのポイントがない柔術があってもいいだろう?  俺が柔術を始めてから、ずっとリバーサルだけでなくポイントルールのなかで戦ってきた。だから、何年たっても柔術はTV中継もされない。

誰もTVで柔術を見ようとは思わない。柔術会場を見ても、観客席はコンペティターだけだ。実際、柔術の試合を見に来ている人間なんていやしない。日本でもの凄く大きな柔術トーナメントがあっても、誰も米国から見に行く者はいない。なぜか? ポイントのせいだ。

ポイントを取った選手が、ストールするからだ。動かないで固めて逃げにかかるからなんだ。そういう選手の戦いは、スポーツを台無しにしてしまう。トーナメントになると、アカデミーでもポイントで勝つ練習ばかりになる。まぁ、いいだろう。そういうのも。でも、もう十分にそういうトーナメントはこの世に存在しているんだから、柔術界には何か違うモノが必要になってくる。もっとエキサイティングな柔術が、な。

誰かがパスやリバーサルしたから勝った――なんて柔術でなくて、本当は柔術の試合に置いては、誰が一番極めに強いかが知りたかったはずなんだ。そのためにはポイント制をなくすしかない。ポイント制はトレーニング方法までも変えてしまった。どうやって極めるかというトレーニングから、どのようにその態勢に入るかという練習をするようになり、次はどうやってそんな風に動くのかっていう練習になってしまった。それは人が見たいというスポーツの要素を奪い取ってしまい、柔術にとって非常にネガティブな点を残してしまったんだ。

ノーポイントの採用によって、柔術はもっとエキサイティングになって、人々の間で広まる。そして人気がでるはずだ。柔術って、本当はもっとエキサイティングなモノなんだ。1995年以来、ポイントシステムを強化した柔術になって、誰も見たくなくなってしまった。もっとも退屈なスポーツに落ちぶれてしまった、柔術は……。そう伝説と化した柔術家たちですら、試合を見なくなってしまったんだ。

黒帯柔術家たちが、ムンジアルを見なくなってしまった。コーチとチームメイトだけだ、ムンジアルを見ているのは。そんな状態が、このスポーツにとって良いわけがない。ポイント制があるから、レフェリーだってミスをする。いろんなプレシャーを受けるからな、柔術会場は。ポイントがなくなれば、レフェリーは関節が極まるどうかに集中することができる」

――つまりエディは、IBJJFが世界に広めた柔術ルール、スタイルがお気に召さないわけですね。

「ノー。嫌いだ。柔術はノーポイントになるべきだ」

――それでもIBJJFのトーナメントには、今も素晴らしい柔術家が集まっています。

「で、グレイシー・バッハの柔術王者からMMAのチャンピオンになる人間は出て来たか? MMAが柔術を世に送り出したんだ。UFCがあったから、柔術は世界に広まった。UFCが皆を柔術に導いたんだ。このスポーツを練習しないと、UFCでは戦えないとね。俺がそうだった。

俺はUFCで戦うために柔術を始めた。柔術の後ろにMMAを、UFCを見ていた。なぜ、俺が道着を脱いだのか、それは俺の教え子がMMAに備えることができるようにするためだ」

――道着を着た柔術は、MMAには役立たないという意見には賛否両論あると思いますが、道着を着た柔術で頂点に立っていたホジャー・グレイシーが、MMAではトップでないことは確かです。

「なぜ、ホジャーは寝技でティム・ケネディを相手にして仕留めることができなかった? 道着があれば、10秒で仕留めていたはずだ。MMAではノーギでパンチがある。練習内容から見直さないといけない。ホジャーはずっと道着を着て練習してきたから、あんな事態に陥ってしまったんだ。カーロス・バヘットがデイブ・ベネトゥーに負けた時から、その事実に変わりはない。

カーロス・バヘットが寝技で何も出来なかったけど、道着があればベネトゥーはあっという間にやられていたに違いない。ノーギのトレーニングを積んでいたなら、彼はパスをしてもっと試合を簡単に戦えた。あんな試合、自分の生徒にさせたくない。10thプラネットでは、もっとMMAの準備をさせている」

――エディ、あなたはツイスターやラバーガードで柔術に革命を起こしました。では、今の柔術の潮流というべきダブルガード、50/50、ベリンボロについて、どのように思っていますか。MMAを見据えた柔術として、ノーギの柔術を標ぼうするエディの考えを教えてください。

「退屈だ。ただし、ベリンボロはノーギでも使えるぞ」

<この項、続く>

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