この星の格闘技を追いかける

【Pan BJJ】ミドル級でヤゴ・デ・ソウザが台頭。MヘビーはロがTDでホミーニョ下す

Mid Heavy【写真】6月の世界大会へ向け、Nsブラザーフット勢がミドルとミッドヘビー級で優勝。スイープもパスがなくても、ホミーニョに勝ってしまうロがやはり凄い(C)IBJJF

17日(木・現地時間)から20日(日・同)にかけて、米国カリフォルニア州アーヴァインのブレン・イベントセンターにてIBJJF主催のブラジリアン柔術パン選手権が行われた。世界選手権への前哨戦として、多くの強豪が顔を揃えたこの大会の男子アダルト黒帯の部レポート。第3弾は中量級2階級の模様を紹介したい。 

Middle<ミドル級決勝戦/10分1R>
ヤゴ・デ・ソウザ(ブラジル)
Def. by 4-4 アドバンテージ 2-0
ヴィトー・オリヴェイラ(ブラジル)

強豪ひしめく最激戦区のミドル級。そのなかでも優勝候補最右翼の一人とみられたオリヴェイラは、準決勝でJTトレス(アトス)に6-0で完勝し、階級上の実力を見せつけた。もう一つの準決勝は、昨年黒帯を取得し、先日のヨーロピアンのこの階級を制したヤゴ・デ・ソウザ(Nsブラザーフッド)が、元世界王者のオターヴィオ・ソウザ(グレイシー・バッハ)に競り勝つという殊勲。脂の乗り切ったベテランのオリヴェイラが、新星を迎え撃つ決勝戦となった。

試合開始早々に引き込むとともにスイープを仕掛けたソウザ。そのまま上になりかけて見事に先制のアドバンテージを得る。さらに改めて引き込んだソウザが、片手はスパイダー・グリップ、もう一方の手では相手のズボンを掴むオープンガードを取ると、長い足を伸ばしたスパイダーでオリヴェイラを崩し、スイープに成功する。2点を先制したソウザに対し、オリヴェイラだがすかさずラッソー・ガードを作るとスイープでお返ししてポイントは2-2に。さらにオリヴェイラは立った状態からパスを仕掛けるが、ソウザのスパイダーを解除せずに前に動いたところで、足を下に潜らせたスイープを決められ再び2Pのリードを許す。そのままレアンドロ・ロの如くニースライドパスの体勢を作ったソウザだが、オリヴェイラも膝を抜かせない。逆にソウザの裾を下から取って立ったオリヴェイラがタックルに移行して返し、アドバンテージを先行されているもののポイントは4-4の同点に追いついてみせた。

ここでまたしてもスパイダーガードを取ったソウザは、オリヴェリラを前に崩してもうひとつアドバンテージを奪取。残り時間が少なくなって来たので、強引にパスを試みるオリヴェイラだが、ソウザのスパイダーを超えられない。そのうちソウザは下からオリヴェイラの左足を引き出し、50/50を作ることに成功。オリヴェイラはパスの仕掛けを作れないまま試合は終了した。

下からは難攻不落のスパイダーガードからのスイープと、隙あらば相手の片足を引き出して攻撃。上を取ったら強固なニースライドパス。ともに新しいチームを作った先輩レアンドロ・ロ譲りのダイナミックな柔術で、パン大会を制した新星ヤゴ・ソウザ。6月の世界大会に新たな優勝候補が現れた。

<ミディアムヘビー級決勝戦/10分1R>
レアンドロ・ロ(ブラジル)
Def. by 2-0
ホムロ・バハウ(ブラジル)

進化を続ける世界3階級制覇の怪物ロ(Nsブラザーフッド)と、世界柔術&ADCCの世界二大グラップリング大会を制したベテランのバハウ(グレイシー・バッハ)いう、本命二人が順調に勝ち進んだこの階級。ファンが待ち望んだ夢の対決が実現した。

試合開始後すぐにガードを取ったロは、バハウの右足首をがっちり左腕でホールドしている。そのうち離れてシッティングに移行したと思いきや、一瞬にして飛び込んでのダブルレッグの奇襲でテイクダウンに成功――先制の2点を奪ってみせる。

下になりながらもバハウはオモプラッタの体勢を作るが、ロは腕を抜く。ならばとばかりに得意のスパイダーの形を作ったバハウは、そこからデラヒーバに移行するもの、そこでもロが横にダイブしてのパス狙い。なんとか足を効かせて守ったバハウだが、ロにアドバンテージが与えられた。

体勢を立て直したバハウは、代名詞のスパイダー・グリップからのスイープや三角で反撃の機会を伺う。鉄壁のディフェンス能力を残るロは、逆に横に回ってのパスを仕掛ける。と、今度はバハウが付いてゆき足を効かせて守る――という、バハウの世界最高峰のスパイダーガードと、ロの世界最高峰のトップゲームが交錯する見応えのある攻防となった。

その後バハウはロの右足を引き出すことに成功。シングルレッグエックス(外側からの足絡み)の体勢を作ってスイープを狙うが、ロは崩れない。ならばとばかりにバハウはロの両方の足首を掴んで下から煽っても、ロは左手をマットにポストしてバランスキープ。残り時間が少なくなるなか、バハウはさらにスイープを試みる。ロはリーチと強靭な肉体とボディバランスをもって上をキープ。結局試合終了までトップを保ち続けたロが、夢の対決を制した。

試合開始直後のテイクダウンの奇襲で奪った先制点を守ったロが、それを守り切っての快勝。ロにパスを許さず下から揺さぶり続けたバハウもまた、改めてその底力を見せつけたと言える。世界柔術でまた再戦が見たくなるような、両者による頂上決戦だった。

PR
PR

関連記事

Movie