【UFC193】女王ロンダ・ラウジーに挑む、ボクシング界の女帝ホーリー・ホルム
【写真】女王ロンダ・ラウジー、圧倒的な賭け率の差が出ている試合だが、勝負の行方はホルムの圧力によって分からなくなってくる(C)MMAPLANET
15日(日・現地時間)、UFCにとって初めて豪州でのスタジアム・ショーとなるUFC193「Rousey vs Holm」が、メルボルンのエティハド・スタジアムで開催される。
5万人の観客が集まることが予想されるビッグショーのメインは世界女子バンタム級選手権試合=ロンダ・ラウンジーにホーリー・ホルムが挑戦する一戦だ。
今や男女の垣根を乗り越え、このスポーツを代表するスーパースターに君臨するロンダにとって、これがMMAキャリア13戦目にして7度目の同王座防衛戦。当時の女子MMA界最高峰だったStrikeforce女子バンタム級世界戦を含めると、キャリアの2/3がワールドタイトル戦となる。
ご存じのようにロンダは北京五輪女子柔道70キロ級銅メダリストからMMAに転向し、その腕十字の強さで1Rフィニッシュを続けてきた。鉄板の払い腰は彼女がMMA界に広めたといっても過言でない。ここ4試合、その時々のトップコンテンダーの挑戦を受けながら66秒、16秒、14秒、そして34秒という秒殺防衛を続け、常に人々の想像の上をいくロンダ。そのフィニッシュも腕十字ではないことは特筆されるべき点だ。
つまりロンダはMMAファイターとして、完成度が上がっていることとなる。打撃は緩急をつけるのではなく、常にフルスイング。これで相手がのけ反ると、一気に距離を詰めて胸を合わせる。こうなると、もうロンダ・タイムの始まりだ。右を差しても、左を差しても払い腰、そして大内刈りにつなげることで、寝技に持ち込むことができる。
そんな女王ロンダに挑むは女子ボクシング世界13冠、UFCでは2連勝、MMA全体でいえば9連勝中のもう一人の女帝ホルムだ。ただし、残念ながらホルムは女子ボクシング界の女帝であり、MMAにロンダと肩を並べるだけの存在感を示していない。
UFC出場前の期待値は、皮肉にも世界戦を控えた今現在よりも高かった。しかし、ラケル・ペニントンとマリオン・ルノー戦では、大きなインパクトを残せず、そのリスク管理の高い安全圏で戦うファイトで逆に評価を落としてしまった。ホルムの不幸は、UFCと契約する前に、その手の内を曝け出していた点にあるといっても過言でない。
ボクシング界の女帝は、実はMMAにおいては非常に有効にキックを使いこなす。サウスポーの構えからのサイドキックで相手を遠ざけ、同様に前蹴りを駆使して自らの間合いを確保する。ここで制空圏を創っておいて、右ジャブを繰り出すと、このパンチに反応した相手の顔面に左ハイを突きさす。そんな衝撃的なKO劇をLegacy FC参戦時に披露してしまい、よりレベルの上がったUFCファイターは徹底的に彼女の距離を研究した。
対戦相手はホルムの弱点であろう組み技の展開に持ち込んでくるという前提で、この鉄壁のキック・スタイルは出来上がっていた。しかし、UFCでは相手が組みに来ない。自らのレンジの外にある相手をより突き放す必要がなく、ホルムは詰めるという手段をこうじることができないファイトに終始していた。
そこでロンダだ。ロンダがこれまで通り、あのフルスイングでホルムの懐に飛び込んでくれば、ホルムは完成度の高い打撃が生きる可能性も見いだせる。ただし、ボクシングやMMAという境界線を抜きにして、ロンダのフィジカルはホルムがこれまで戦ってきた相手よりも高いだろう。ロンダの勢いに上体が高くならず、真っ直ぐ下がらないにようにホルムが立ち位置を取ることができれば、勝敗の結果がどうであれ、ロンダのネクストステップが見られる試合になる。
秒殺ロンダも良いが、より強くなったロンダをそんな場面で見てみたい一戦。そのためにもホルムの頑張りが必要。打撃でプレッシャーを与えることができるかが、注目される。
■ 対戦カード
<UFC世界女子バンタム級選手権試合/5分5R>
[王者] ロンダ・ラウジー(米国)
[挑戦者] ホーリー・ホルム(米国/7位)
<UFC世界女子ストロー級選手権試合/5分5R>
[王者] ヨアナ・イェンジェチック(ポーランド)
[挑戦者] ヴァラリー・レターノー(カナダ/9位)
<ヘビー級/5分3R>
マーク・ハント(ニュージーランド/8位)
アントニオ・ペイザォン・シウバ(ブラジル/11位)
<ミドル級/5分3R>
ロバート・ワイッタカー(豪州/14位)
ユライア・ホール(米国/10位)
<ヘビー級/5分3R>
ステファン・シュトルーフ(オランダ/14位)
ジャレッド・ロショルト(米国)
<ライト級/5分3R>
ジェイク・マシューズ(豪州)
アクバル・アレオラ(メキシコ)
<ウェルター級/5分3R>
カイル・ノーク(豪州)
ペーター・ゾボタ(ドイツ)
<ライトヘビー級/5分3R>
アンソニー・ペロシュ(豪州)
ジャン・ヴィランテ(米国)
<フライ級/5分3R>
リッチー・ヴァスリック(豪州)
ダニー・マルチネス(米国)
<ウェルター級/5分3R>
アントン・ザフィア(豪州)
ジェイムス・ムンタスリ(米国)
<ウェルター級/5分3R>
リチャード・ウォルシュ(豪州)
スティーブ・ケネディ(豪州)
<ミドル級/5分3R>
ダン・ケリー(豪州)
スティーブ・モンゴメリー(米国)
<フライ級/5分3R>
ベン・ウェン(米国)
ライアン・ベノイ(米国)1.24キロ)