【on this day in】8月11日──2012年
【写真】ベンソン・ヘンダーソンがいけないということではなく、この形を取った選手がその身を守れるのは果たして格闘技なのかと…… (C)GONGKAKUTOGI
UFC150
@コロラド州デンバー、ペプシ・センター
「MMAはルールのあるスポーツであり、競技であり、ファイティング・エンターテイメントだ。だからルールがある限り、ルールを活かした戦いは有りであり、否定できない──とは思っている。いって見れば立ち技格闘技の10カウントだって、ポイント空手の寸止め、あるいはフルコンの顔面殴打無しも、身を守るためのルールだ。反面、観客やテレビの視聴者に見せてエンターテイメントとして成立させるために身を守る術を無効にしているのも、現行のMMAルールだ。ダメージがあったり、疲れた選手が寝技でガードワークを取る。そこで相手の攻撃を封じ込んで息を整えようという攻防にはブレイクが掛かる。クリンチでケージに押し込んで休むとブレイクが掛かる。マラソンだと疲れて──勝利を諦めたとしても──スピードを緩めることが認められているが、MMAはダメージのある選手に対し、『アクション』という冷酷な指示が飛ぶ。それも膠着すればブレイクが掛かるというルールが存在するが故。でも、ルールだから仕方がない。これがプロモーターからの恣意的な要求だと──八百長に通じてしまう。そんなブレイクとは逆に、技術ではなくルールで体を守る術がMMAには存在する。それが、がぶられた時に手をマットについて、グラウンド状態とし頭部へのヒザ蹴りを相手に出させない動きだ。ジャッジが裁定を付ける際、スイープやサブミッションを仕掛けることができるガードを取った選手が不利になるのであれば、ルールによって身を守っているこのポジションを取った選手も、スコア的に明白に不利になるという規定が欲しい。格闘技は危険だから、身を守るためのルールが存在する。繰り返すが、身を守るためのルールであって、ルールによって身を守るのではない。自分の身は自分の技術で守るのが格闘技のはずだ。だから、3年前の夜のベン・ヘンの判定勝ちはなし。フランキーこそ、ベルトを巻くに相応しいファイターだったと今も思っている」
on this day in──記者生活20年を終えた当サイト主管・髙島学がいわゆる、今日、何が起こったのか的に過去を振り返るコラム。自ら足を運んだ取材、アンカーとして執筆したレポートから思い出のワンシーンを抜粋してお届けします。