【on this day in】6月13日──2009年
【写真】戦う場所がどこであろうが、宇野薫の試合前の大の字は変わららない(C)MMAPLANET
UFC99
@ドイツ・ケルン、ランクセス・アレーナ
「ドイツのコロングって、どこですか? 一報はそんな風だったと記憶している。コロング?? 全く聞き覚えがない。SEG時代じゃないのだから、日本の誰も知らないような場所でUFCの開催はないだろう。綴りはCologne。『全く分からん』。検索してみると、分かった。ケルンだった。いや、神戸の人間だったら大概知っている──(三宮から東の住民だけかもしれない)ケルンの綴りはKOLNでしょ。今もケルンのドイツパンとラスクが大好きな僕は6年前、宇野薫が5年9カ月振りにUFC復帰を果たした当日、初めてケルンという街を訪れた。奇しくもイベント名は『The Comeback』。世間的にはセミに出場したミルコを考慮したモノと思われるが、ズッファ首脳の宇野へのリスペクトは相当なモノだし、彼の復帰も配慮していたに違いない。思えば、この宇野の再登場から北米MMAでどうすれば日本人選手が結果を残せるようになるのか本気で考えるようになったような気がする。宇野はTV格闘技時代を引っ張った選手だ。それ以前に格闘技はいかつい男だけがやるものじゃない。普通の男の子でも、オシャレを考える若者でも夢中になれるモノ──という認識をルミナと共に世間に与えた。宇野とルミナ、桜庭選手こそ現代MMAにあってレジェンドとされる日本人ファイターであることは間違いない。そんなレジェンドのなかで語弊を恐れずに書き記すなら、時代に抗い、強さに拘りを持ち続けたのが宇野だ。6年前に再登場となったオクタゴンでは、もう彼の姿を見ることはないかもしれない。それでも僕らは彼の戦いを追うことができる。クラブチッタ、大宮ジム、後楽園、下北、横浜文体、NKホール、MGM、ランクセス・アレーナ、大田区、そしてフェイスで彼の佇まいを追うことができたように。悲しいかな『格闘技の危険な部分』がクローズアップされることが増えてしまった昨今、決して遠くない、その日以降を見据える彼の眼が格闘技界には大切になってくる」
on this day in──記者生活20年を終えた当サイト主管・髙島学がいわゆる、今日、何が起こったのか的に過去を振り返るコラム。自ら足を運んだ取材、アンカーとして執筆したレポートから思い出のワンシーンを抜粋してお届けします。