【on this day in】3月12日──2005年
【写真】その後、UFCファイターになったトム・ニーニマキとWECには出場したベンディ・カシミールの試合は痛み分けドロー。リングもドローも身近に感じていた10年前だ (C)Magnus Weimer
Shooto Sweden Second Impact
@スウェーデン・ストックホルム、フライシュセット
「この大会は、2015年の僕にとっては大きな節目に感じられる。プロ修斗スウェーデン大会で3階級の欧州王座決定戦が組まれ、ウェルター級でヤニ・ラックス、ミドル級でデヴィ・バロン、ライトヘビー級でダービド・ビエルクヘイデンがチャンピオンになった――からではない。この大会の前日、東京で佐藤ルミナが環太平洋ウェルター級王決定戦を戦っていた。ルミナの腰に修斗のベルトが巻かれる姿を、いや勝つか負けるかは分からない剛術との戦いだからこそ、この試合を見届けたかった。同時にオランダというキック大国ながら格闘技は日陰者でしかない国に、アマから修斗を持ち込み、その輪を欧州全般に広めたマルタイン・デヨング。彼の存在の努力の結晶のようなスウェーデン大会を見ないでどうするという気持ちに揺れた。『ルミナの試合は多くの記者が集まり、記事にする。なら、自分がその場を訪れないと読者の目に届かない試合を見よう』とスウェーデン行きを決めた。しかし、渡欧前夜に高熱が出て、フライシュセットにも後楽園ホールにも足を運ぶことができなかった。この3年前にフィンランドで出会って以来、姉さんと呼ばせてもらっている塚本薫さんにレポートを送ってもらい、アンカー的に同大会の記事をまとめた。そのレポートが95年1月からズブの素人で、フリーという立場だった僕を育ててくれた格闘技通信で書いた最後の記事となった。ルミナの戴冠、衰えを感じた海外取材の断念、いつか縁があると甘いことを考えていた格闘技通信との決別。10年後の僕は、10年前を振り返っていた今日をどう振り返るのだろうか。当時も今も、出たとこ勝負(笑)。明日は明日の風が吹く」
on this day in──記者生活20年を終えた当サイト主管・髙島学がいわゆる、今日、何が起こったのか的に過去を振り返るコラム。自ら足を運んだ取材、アンカーとして執筆したレポートから思い出のワンシーンを抜粋してお届けします。