【on this day in】2月22日──2012年
【写真】小気味良いミット打ちが奏でるサウンド、そして見たこともない角度とコンビネーション。フランキーの公開練習にその場に居合わせたメディアは目を奪われた (C)MMAPLANET
Frankie Edgar in UFC144 Open Work Out
@東京都渋谷区、ゴールドジム原宿
「その場に居合わせたスポーツ新聞や一般マスコミの記者の人たちは、囲み取材に追われてフランキー・エドガーとマーク・ヘンリーのミット打ちどころではなかった。彼らにとって記事のネタはUFC世界ライト級王者ではなく、山本KID徳郁であり、秋山勲成。岡見勇信のコメントを拾ってくれるだけで、格闘技メディアとしてはありがたい。それにしても、目の前で行われているミット打ちの見事さといったらなかった。余りのリズムの良さに、まずTVカメラが食いついた。そして、囲み取材を終えた一般マスコミも『うん、なんだ?』というような感じで興味を持ち始める。明らかにボクシングとは違う間合い、いやズッファ体制にとなって初めて日本にやってきたUFCに出場する他の選手が見せたミット打ちとも全く別物だ。そのうえ、とにかく汗をかきたかったのか、流してコメントを残すお仕事として公開練習を行うファイターが多い中、フランキーは誰よりも長く、誰より速く、誰よりも美しく動き続けた。やがて受け手のマークの額に汗が光るようになった頃、フランキーはグローブを外し、バンテージを解き始めた。その刹那、ミット打ちを眺めていたマスコミから感嘆の声、ため息、最後に拍手が沸き起こった。こんなこと、初めての経験だった。UFCは彼らを通して、いわゆる一般層にも通じる。そんな僕の手応えは……、まだこの手には僅かながら残っている」
on this day in──記者生活20年を終えた当サイト主管・髙島学がいわゆる、今日、何が起こったのか的に過去を振り返るコラム。自ら足を運んだ取材、アンカーとして執筆したレポートから思い出のワンシーンを抜粋してお届けします。