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【Pancrase 264】11秒でTKO勝ち、コンボイ升水「ボクシングやキックの練習はやっていない」

Convoy Masumizu【写真】キャリア5戦5勝、超個性派が2015年を飛躍の年とするか(C)TAKUMI NAKAMURA

1日(日)東京都江東区のディファ有明で行われたPancrase264でコンボイ升水が齊藤曜を1Rわずか11秒でマットに沈めた。

Masumizu def. Saito<バンタム級/3分3R>
コンボイ升水(日本)
Def.1R0分11秒 by TKO
齊藤曜(日本)

昨年2月にバンタム級チャンピオン石渡伸太郎の持つベルトに挑戦した齊藤。対する升水は昨年のネオブラッド・トーナメント王者にして、パンクラス戦績4戦4勝の新鋭だ。試合は升水が齊藤に挑む図式の一戦だったが、予想外の結末を迎えた。

入場から緊張する素振りもなく、笑みすら浮かべていた升水は、試合開始のゴングが鳴ると、一気にパンチで突進する。齊藤もミドルを蹴って距離を取ろうとするが、升水が左フックを打ち抜くと、そのままマットにバッタリ。升水が追撃のパンチを落としたところでレフェリーが試合をストップし、升水が戦慄の秒殺勝利で会場を騒然とさせた。

タイトル挑戦経験のある齊藤をパンチ一発で倒すアップセットを起こした升水は試合後のマイクでも存在感を示す。マイクを持つや「ヨー、チェケラッチョ」を連発すると「どうも今年、パンクラスでチャンピオンになるコンボイ升水です」と挨拶。「コンボイ升水の秘密、その一。普段はペットショップで働いています」と普段の仕事について話だし、「僕のおススメはモモンガです」で締めくくり、ざわつく会場を去って行った。

試合内容でもマイク(?)でもインパクトを残した升水だが、実は20年以上の柔道歴を誇り、あの石井慧とは同級生(※同じ1986年生まれ)。升水自身もオリンピックの強化指定選手になったこともある柔道の猛者だ。「たまたま紹介してもらったジムのチラシに所英男選手とDJ.taiki選手が載っていて、2人に会いたくてジムに行ってみた」という理由でマルワジム横浜に入会。総合格闘家としての道を歩み始めたという。

バンタム級離れしたパワーで“コンボイ”と呼ばれ、柔道出身ながら荒々しいパンチで相手を殴り倒す姿も印象的なバンタム級の注目株に話を訊いた。

――見事な秒殺勝利を収めた升水選手です。試合を振り返っていかがでしたか。

「相手が緊張しているのが分かったので、最初から行ってやろうと思いました。でもあれはラッキーパンチじゃないんで。ずっと練習していて狙っていたパンチで、それが始まってすぐ当たっただけです。まぁ…正月返上で練習したのに11秒で終わっちゃって、出し切れなかったことは気に障りますけど、勝ててよかったです」

――齊藤選手の組み技を警戒しながら打撃でKOする。予想通りの試合展開だったわけですね。

「こっちは組み技なんて一切やるつもりはなかったんで。自分はあんまり総合格闘技のことは分からないんで、そこはセコンド陣にすべて任せていて、セコンドの作戦通りに戦えたと思います、たった11秒しかやってないですけど(笑)」

――試合前に笑顔がこぼれるほど精神的な余裕も感じたのですが、試合で緊張することはないのですか。

「ないですね。試合前もぐっすり眠れるし」

――タイトル挑戦経験がある齊藤選手を秒殺し、これでプロ戦績が5戦5勝(不戦勝含む)となりました。この成績をご自身ではどう感じていますか。

「本当に周りのおかげっすね。他のジムはどうか分からないんですけど、うちのジムは勝ちから逆算して戦い方を考えるんですよ。周りのトレーナーや先生たちが僕の強いところと弱いところを分かった上で戦い方を考えてくれます。だから勝負するところとしないところをはっきりさせるジムなんです。それが他のジムとは少し違うのかな、と。自分はもともと柔道から総合に転向して、体力的には十分にあったので、あとは勝ち方・戦い方を教えてもらって、それで結果が出ているんだと思います。だから…まぁ、自分の実力でもあるんですけどね、ハハハハハ」

――もともと升水選手は柔道で強豪選手だったとお聞きしています。

「柔道歴は4歳から始めて約20年ですね。高校は東海大相模で、それから東海大に入って、社会人になってからも実業団でも柔道を続けました。中学・高校の頃はずっと県大会で優勝していて、全国体育系大会優勝、韓国ジュニア国際大会3位、バンクーバー国際優勝、講道館杯5位…オリンピックの強化指定選手にもなりました。石井慧とは同じ1986年生まれの同級生です」

――そんな升水選手がなぜ総合を始めようと思ったのですか。

「一番はルールが変わったことですね。自分は肩車が得意技だったんですけど、それが禁止技になっちゃって。それでこれはもう柔道やっていても勝てないなと思って、柔道はやめました。総合には前々から興味があって、自分が今も働いているペットショップの人がジムのパンフレットを持って来てくれて、そのパンフレットに所英男選手とDJ.taiki選手が載っていて『このジムに行ったら2人と会えるんだ』と思って、ジムに入会しました。そしたらもう2人ともジムにはいなかったっていうオチがあるんですけど(笑)」

――では気軽に始めたのがきっかけだったのですね。

「はい。試合になんて出るつもりはなかったし、趣味でやろうと思っていました。でも初めて寝技のスパーをした時に会長に一本取られたんですよ。それがすごく悔しくて、それからのめり込んだ感じですね。決して自分は飲みこみが早い方だとは思わないですけど、最短距離で強くなることを教わって、それで結果が出せているって感じですかね。自分は今までボクシングやキックボクシングの練習って一回もやったことないんですよ」

――そうなのですか!?

「はい。総合の練習しかやってないです。僕がやっているパンチはボクシングやキックボクシングじゃ当たらないですよ。でも総合だったら当たる。そういう総合格闘技で当たる打撃を教えてもらっていて、別に自分は総合格闘技でボクシングやキックボクシングをやるつもりはないです」

――齊藤選手に勝ったことでランキングも上がるはずですし、このまま勝ち進めばタイトルマッチのチャンスも巡ってくると思います。

「ランキングの上位には海外勢もいるので、一つ一つ目の前の相手をぶっ倒していくだけですね。まぁ自分は誰が相手でも緊張しないんで、このまま勝ち上がってチャンピオンになっちゃおうかなと思います。あっ! あとアマチュアの時にJMLの全日本大会で村田康大選手に一本負けしているんですよ。だからプロのリングで村田選手にリベンジして、過去の負けを帳消しにしてチャンピオンになりたいですね」

――試合後のマイクでも強烈な個性をアピールしていましたが、もっともっと注目を集める存在になりたいですか。

「もちろん! 僕が働いているペットショップコジマもよろしくお願いします(笑)」

■Pancrase264試合結果

<ウェルター級/3分3R>
マンモス谷部(日本)
Def.3-0:30-27, 29-28, 29-28
川和真(日本)

<ライト級/3分3R>
林源平(日本)
Def.2R2分9秒 by KO
小林裕(日本)

<フェザー級/3分3R>
近藤孝太(日本)
Def.2-1:29-28, 28-29, 29-28
河村康博(日本)

<バンタム級/3分3R>
合島大樹(日本)
Def.3-0:30-27, 30-27, 29-28
井関遼(日本)

<KOPフェザー級選手権試合/5分3R>
ナム・ファン(米国)
Def.2-1:30-27, 29-28, 28-29
タクミ(日本)

<フェザー級 5分3R>
ウィル・チョープ(米国)
Def.3R4分6秒 by RNC
稲葉聡(日本)

<フェザー級 5分3R>
ガイ・デルモ(米国)
Def.2-1:30-27, 29-28, 28-29
田村彰敏(日本)

<バンタム級/3分3R>
才賀紀左衛門(日本)
Def.1R2分40秒 by TKO
亮AKB(日本)

<ライトフライ級(-52.2kg)王者決定T/5分3R>
阿部博之(日本)
Def.2-1:30-27, 29-28, 28-29
江泉卓哉(日本)

<ライトフライ級(-52.2kg)王者決定T/5分3R>
宇都木正和(日本)
Def.3-0:29-28, 29-28, 29-28
松永義弘(日本)

<フライ級/3分3R>
神部建斗(日本)
Def.1R終了時 by TKO
下川雄生(日本)

<バンタム級/3分3R>
コンボイ升水(日本)
Def.1R0分11秒 by TKO
齊藤曜(日本)

<バンタム級/3分3R>
藤井伸樹(日本)
Def.2R1分57秒 by TKO
なおKING(日本)

<ライト級/3分3R>
長岡弘樹(日本)
Def.3-0:30-27, 30-27, 29-28
網潤太郎(日本)

<ミドル級/3分3R>
一慶(日本)
Def.3-0:30-27, 30-27, 30-27
KEI山宮(日本)

<スーパーフライ級/3分3R>
清水俊一(日本)
Def.3-0:30-27, 30-27, 29-28
小宮稔大(日本)

<フェザー級/3分3R>
ユータ&ロック(日本)
Def.2-1:30-27, 29-28, 28-29
中原由貴(日本)

<スーパーフライ級/3分3R>
仙三(日本)
Def.1R0分53秒 by KO
カツオ(日本)

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