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【Interview】上田将勝(前編)「磨いてきたローシングルは、蹴られない」

2012.10.07

Ueda

【写真】3Rに仕掛けたローシングル、確かにソン・ミンジュンのパンチに対し、虚を突いたような形で入っており。これだとサッカーボールキックも怖くない!? (C) MMAPLANET

6日(土・現地時間)開催のOFC06「Rise of Kings」で行われたバンタム級GP初戦で、韓国のソン・ミンジュンを下し準決勝進出を決めた上田将勝。

一度は最後の挑戦として挑んだBFCバンタム級トーナメントで初戦敗退を喫した彼は、アジアの地で再生に懸けることとなった。そんな試合を、口下手な上田に加え、セコンドを務めた鈴木洋平氏の言葉を添えてお届けしたい。

――ソン・ミンジュン戦の勝利、おめでとうございます。

「ありがとうございます」

――4月にベラトールで『最後の挑戦』と言っていた試合に敗れ、今回のOFCでのファイトは相当プレッシャーが掛かったのではないでしょうか。

「4月の試合で負けて、でも、このままじゃ終われないと思い、現役を続けることを決めたのですが、なかなかチャンスが巡ってこなくて。そのなかでも、自分を応援してくれた人たちに感謝の気持ちでいっぱいです。

戦う場所がないときは、目標も立てられないまま『何をやっているんだろう』という気持ちでいたのですが、オファーをくれたマット・ヒュームさんとOFC、それをまとめてくれた人たちのためにも頑張ろうって思っていたので、ホントにホッとしています。全てを失っていたような感じだったので……」

――試合がないという現実に焦りを感じていたようですね。

「焦りもありました」

――では、その分も昨夜の試合ではナーバスになっていたのではないですか。序盤だけでなく、最後まで動きが固いように見えました。

「ナーバスにはなっていました。ただ、それ以上に絶対に負けられないんだっていう気持ちがあり、何が何でも諦めないつもりで戦っていました。

確かに序盤は固かったと思います。最終ラウンドも動きがそういう風に見えたのは、スタミナをロスしてしまっていたからだと思います。3Rは気持ちだけで戦っていました」

――スタミナを失った原因はどこにあると思いますか。

「分からないですが……やっぱりリングと金網の違いじゃないかと……。そこが克服していく部分ですね」

鈴木「相手のプレッシャーが強かったので、試合が途切れることがなくて、自分で思っている以上に体力をロスしていたようです」

――打撃系の選手なのでスプロールが強かったですね。

「力は強いと思いました。ただ、一番は闘争心が凄いなって思いました」

――それでも左ミドルは手応えがあったのではないですか。

「一度、完全に入ったので倒しにいったのですが、逆にそこから前に出て来られて……。効いてなかったのかなって思い、倒しにいけなくなりました」

――対して、上田選手はパンチが当たっても様子を見ていることが度々ありました。

「ハイ、怖くて行けなかったんです。気持ちが……」

――このサッカーボールキック有りのルールで、あのローシングルは、蹴りがこないかと見ていて冷や冷やしました。あれは上田選手の自分の形ということで、自信を持って仕掛けることができるのでしょうか。

「自然と体が動きます」

鈴木 ローシングルから、スッと踵を取るのは体に沁みついた動きで絶妙なんです。踏みつけられる、蹴られるというリスクを越えたところで作ってきた技なので。1Rは打撃をしっかりとやろうと思っていたので、圧されてしまったのですが、途中からは相手がパンチを振り回す際にポンポン入れていいたので、そこは問題なかったです」

――1Rは相手が切って、鉄槌を落としてきたシーンがあり、あそこで向きを変えられて蹴られると怖いなと感じました。実際、一度蹴られそうになったことがありましたね。

「練習を繰り返してきたので、ローシングルから足首を取る攻撃なら、蹴りはもらわないと予想していました。あの蹴られそうになったときは、見えたので『危ねぇ』って思い、避けることができたんです」

――ああいうシチュエーションで本気で蹴ってくるという練習はできないですよね。

「練習では無理です。ビデオを見て、意識するようにしていたのですが、今回、試合に出て実際に経験することが、かなり勉強になりました」

(この項続く)

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