【NDC】仏でカリム・ベノーイに挑む卜部功也「MMAの打撃は参考になる。最近はディラショーが好きです」
【写真】PRIDEからスタートし、現在ではUFCもチェックしている卜部。過去にアンケートで好きな選手をGSPと答え、今回のインタビューでもTJ・ディラショーについて語った(C)TAKUMI NAKAMURA
22日(土・現地時間)、フランス・マルセイユで開催される「LA NUIT DES CHAMPIONS 2014」(NDC)。日本からも選手が参戦するフランスのビッグイベントにK-1甲子園出身・現在はKrushで活躍するISKA世界ライト級王者の卜部功也が参戦し、元IT’S SHOWTIME世界-61kg級王者カリム・ベノーイと対戦する。
昨年のISKA世界タイトル獲得をきっかけに、今年5月にフランスで初防衛戦を行っている卜部。この試合が評価され、今大会では地元フランスの超強豪ベノーイと敵地で対戦することになった。インタビュー<前編>ではキックボクサーながらMMAにも精通する卜部にMMAファイターの打撃について語ってもらった。
――22日(日・現地時間)、フランス・マルセイユで行われる「LA NUIT DES CHAMPIONS 2014」でカリム・ベノーイ戦を控える卜部功也選手です。今回はMMA PLANETでの取材ですが、卜部選手はよくMMAを見るそうですね。
「はい。中学生の頃にPRIDEブームで、当時はPRIDEにのめり込んでました。すでに空手を始めていたのですが、空手の練習の休憩時間に兄(卜部弘嵩、Krush-60kg級王者)とPRIDEごっこみたいなことをやっていました。たいていは僕が兄にやられるんですけど(笑)」
――PRIDEでは誰が好きだったのですか。
「僕はアントニオ・ホドリゴ・ノゲイラが好きでした」
――空手をやっていたにも関わらずヴァンダレイ・シウバやミルコ・クロコップのようなストライカーではなくノゲイラが好きだったんですね。
「はい(笑)。ノゲイラはどんなに劣勢でも最後は関節技で逆転勝ちするじゃないですか。その姿をかっこいいなと思って見ていました」
――卜部選手はUFCもチェックしているそうですね。
「PRIDEの選手たちが出ていたというのもあって、PRIDEの流れからUFCも見るようになりました」
――以前、卜部選手はアンケートで「好きな選手=GSP」と回答していましたが、GSPのどこが好きなのですか。
「GSPの賢い戦い方、クレバーなスタイルが好きなんですよ。しっかりジャブを当てて、間合いを測って、それからタックルでテイクダウンするっていう。技術もそうなんですけど、そういう戦い方が好きです。でも最近は緻密な技術・戦略に加えて粗削りな部分を持っている選手がチャンピオンになっているじゃないですか。だから世界の頂点に立つような選手は巧さや賢さだけではなくて、どこかで荒々しい部分を持っていなければいけないんだなと思います。それはキックも同じで、いい意味で喧嘩っぽいところがないとトップにはなれないですよね」
――最近のUFCの動向もしっかり把握していますね。キックボクサーの卜部選手から見て、MMAファイターの打撃のどこが参考になるのですか。
「MMAの選手は打撃が普通に上手いので、MMAの試合を見て真似することもあります。MMAの選手は距離感がすごくいいじゃないですか。僕も近い距離で足を止めて打ち合うのではなくて、距離感を大事にして戦うタイプなので、距離を取った状態でのフェイントのかけ方なんかは参考にしています。だから逆に僕はあんまりキックの試合をあまり見ないんですよ」
――そうなんですか!?
「はい。僕が見るのはボクシングとMMAですね。Youtubeでムエタイの試合を見ることはほとんどないし、それだったらボクシングかMMAを見ます。例えばヨーロッパのキックだったらガードを固めて距離を詰めたところから相手の攻撃を受けて自分の攻撃を返して、という試合が多いじゃないですか。ああいう戦い方は個人的に好きになれなくて、距離感を大事にするタイプの僕にはあまり参考になりません。ムエタイはムエタイで自分たちとは次元が違うし、ムエタイには独特のリズムがあって、その中で技術を交換するものだから…また自分たちがやっている競技とは別物なんですよね。それだったら駆け引きやフェイントが多いボクシングや距離感を大事に戦うMMAの方が好きです」
――MMAでは見ている方が思いもよらない攻撃をする選手もいますが、そういったところからインスピレーションを受けることはありますか。
「MMAの選手の方が変則的ですよね。ちょっと前だったらスーパーマンパンチをやる選手が多くて、最近だと顔面前蹴りとバックキック。ああいう攻撃を当てる選手が多いのですごいなと思います」
――ちなみに最近のUFCで気になるファイターはいますか。
「どの選手も好きなんですけど、特にTJ・ディラショーは好きですね」
――ディラショーですか! ここでディラショーの名前が出てくるというのは、いかに卜部選手がしっかりUFCをチェックしているのかが分かります。
「ありがとうございます(笑)。でもディラショーはボクシングの技術もしっかりしているし、綺麗な打撃をするので好きですね」
――ディラショーのように構えを頻繁にスイッチするスタイルについてはどう感じていますか。
「さすがにあれは真似できないです(笑)。でも僕はサウスポーに構えるので、MMAファイターのサウスポー×オーソドックスのプレッシャーのかけ方は真似します。五味(隆典)選手も前手のプレッシャーのかけかたが絶妙だったので、あれはキックでも使える技術ですね」
■「LA NUIT DES CHAMPIONS 2014」対戦カード
<スーパーファイト/K-1ルール/62キロ/3分5R>
カリム・ベノーイ(フランス)
卜部功也(日本)
<スーパーファイト/K-1ルール/63キロ/3分5R>
トーマス・アダマンドポウロス(フランス)
ハビエル・エルナンデス(スペイン)
<70キロトーナメント出場選手/K-1ルール/3分3R>
ブルース・コドロン(フランス)
アブデラ・エズビリ(モロッコ)
アブデラ・マーベル(フランス)
シッティチャイ・シッソーンピーノン(タイ)
<70キロトーナメントリザーブファイト/K-1ルール/3分3R>
ジュリアン・ソウブ(フランス)
ミカエル・ピグノロ(フランス)