【UFN52】中井りんと対戦ミーシャ・テイト 「お金を持っていない私には2つしか選択肢がなかった」
【写真】その美貌で注目されることが多いミーシャ・テイトだが、強さが彼女の美をより際立たせており、MMAへの取り組み方においても彼女の評価は絶対的だ(C)TAKUMI NAKAMURA
20日(土・現地時間)さいたまスーパーアリーナで開催される「UFC FIGHT NIGHT JAPAN 2014」で中井りんと対戦するミーシャ・テイト。先月26日「UFC FIGHT NIGHT JAPAN 2014」応援イベントに急遽来日したミーシャにインタビュー、かなりタイトなスケジュールだったため限られた時間のなかでの取材となったが、ミーシャの女子MMAへの真摯な取り組みが伝わる言葉が聞かれた。
――今回はかなりタイトなスケジュールでの来日だとお聞きしました。UFCで試合をする上でPRイベントも重要な活動の一つだと考えていますか。
「私はこういうイベントに参加することは本当に必要なことだと思っているの。特に日本において女性のMMAのファンベースを拡大していく必要があると思うし、女子MMAのパイオニアの一人として尽力できるのであれば、喜んで参加するつもりよ。いずれは女子のMMAも男子と同じように認知度を上げたいと思うから、どんなにタイトなスケジュールでも今回のようなイベントには参加することは必要だと思っているわ」
――試合まで一カ月を切っていて、スケジュール調整など難しい部分はないですか。
「もちろん試合前にこうしたイベントに参加することで調整は必要になるわ。いつも日曜日は体力を回復させるためにトレーニングは休みにしているんだけど、今週はスケジュールが変則的で、日曜日もトレーニングをして、今朝も4時半に起きてエアロバイクを漕ぎ、トレッドミルを走ってトレーニングしたの。本来であれば体を休めるための時間を飛行機の中で過ごして、こうして取材を受けている今はアメリカで夜中の2時過ぎだから(苦笑)。
でも今は試合に向けて、とても重要な時期で、イベントのスケジュールがタイトだからと言ってトレーニングを疎かにすることはできない。多少はハードになっても、ちゃんとトレーニングする時間は確保しているの」
――ミーシャは昨年3月のUFC JAPANにセコンドとして来日しましたが、大会後に横浜のグランドスラムで練習したそうですね。
「小さなジムで驚いたけれど、いいトレーニングパートナーに恵まれたわ。今、ラスベガスに住んでいて、チームメイトにもなったロクサン・モダフェリともグランドスラムで出会うことが出来たから」
――グランドスラムの勝村(周一朗)代表から、ミーシャはチョークで落とされるまでタップしなかったという話を聞いたのですが、それは本当ですか。
「本当よ。まぁ……ちょっと居眠りしただけね(笑)。あの時はグランドスラム以外にもAACCにも行ってメグミ・フジイやヒトミ・アカノとも練習したのよ」
――AACCは日本のトップ女子選手が多く在籍しているジムですが、そこで練習してどんなことを感じましたか。
「非常にレベルが高いと感じたわ。ヒトミとは2010年に試合をして、その数年後に日本で一緒にトレーニングして旧交を温められたことは素晴らしい体験だった。またメグミとも肌を合わせることが出来て、私にとってメグミはずっとアイドルのような存在だったから、メグミと一緒にトレーニングできたことも非常にいい思い出になったわ。それにメグミはとても親切で、トレーニングのあとにコリアン・バーベキューに連れて行ってくれたのよ(笑)」
――今大会で対戦する中井選手も日本の女性選手ではトップの一人です。彼女は試合後に体操選手のようなバック宙を披露するなど、運動神経の高い選手ですが、どんな印象を持っていますか。
「確かにリンは強敵だと思うけど、今まで私が見たことがないような技や試合展開をすることはないと思う。私はこれまでのキャリアの中でベストなファイターと戦ってきた経験がある。十分に対応できる準備はしているし、私の実力で戦えると思うわ」
――中井選手は地方在住でタウン・コミュニティ誌に男女問わず練習相手を募集という広告を打ち、トレーニングパートナーを探しています。ミーシャもジムの前にキャンピングカーで寝泊まりするほど練習熱心だったようですが、中井選手の現状とご自身が重なり合う部分はありませんか。
「私とリンの状況は違っていて、共通点があるとは思っていないわ。大きな違いは当時私が住んでいたのはモータータウンと呼ばれる、いわゆるトレーラーハウスだったの。それを止めていたのがジムの駐車場で、お金を持っていない私には2つしか選択肢がなかったのよ。他に仕事をして若干贅沢をしてアパートを借りて住むか。それとも貧しい生活だけどジムの駐車場に止めたトレーラーハウスで寝泊まりして1日2~3回トレーニングするか。そこで私が選んだのは後者だったということ。だからトレーニング環境面で苦労をしたということは一切なかったわ」
――練習環境に困っていたわけではなく、1分でも1秒でも長くトレーニングするための選択だったんですね。
「その通りよ。当時も生活のために必要最低限のアルバイトはしていたけれど、とにかく無駄な時間を少なくしたかったの。だから可能な限りジムに近い場所に住んでトレーニングする、その代わりに貧しい生活に耐える。それが当時の私が選択したことね」
――ミーシャは再びロンダ・ラウジーの持つ世界のベルトを目指していると思いますが、そのためには中井戦の勝利は絶対で、その後、誰と戦い倒すことが、タイトル再挑戦の近道になると思いますか。
「キャット・ジンガーノね。彼女には一度負けているし、私のプランでは9月にリンに勝って、次はキャットとリマッチで戦わなければいけないと思っている。それが私にとってロンダが持つベルトへの近道だと思うわ」
――それでは最後に日本のファンにメッセージをいただけますか。
「私の試合を見てくれた人たちに女子でも素晴らしい試合が出来ることを証明したい。日本大会のベストファイトだと言われるような試合をするから絶対に見逃さないでね!」
■UFN52対戦カード
<ヘビー級/5分5R>
マーク・ハント(ニュージーランド)
ロイ・ネルソン(米国)
<ライト級/5分3R>
マイルズ・ジュリー(米国)
五味隆典(日本)
<ウェルター級/5分3R>
秋山成勲(日本)
アミール・サダロー(米国)
<女子バンタム級/5分3R>
ミーシャ・テイト(米国)
中井りん(日本)
<バンタム級/5分3R>
金原正徳(日本)
アレックス・カサレス(米国)
<バンタム級/5分3R>
堀口恭司(日本)
ジョン・デロス・レジェス(グアム)
<ウェルター級/5分3R>
ストラッサー起一(日本)
リチャード・ウォルシュ(豪州)
<フェザー級/5分3R>
菊野克紀(日本)
サム・シシリア(米国)
<ウェルター級/5分3R>
イム・ヒュンギュ(韓国)
佐藤豪則(日本)
<バンタム級/5分3R>
田中路教(日本)
カン・ギョンホ(韓国)
<ライト級/5分3R>
徳留一樹(日本)
ジョニー・ケース(米国)
<フェザー級/5分3R>
マキシモ・ブランコ(ベネズエラ)
ダン・フッカー(ニュージーランド)