【Lion Fight16】米国代表ロスが豪州代表トンプソン破り戴冠
4日(金・現地時間)アメリカ・ネヴァダ州パームス・カジノリゾート内のザ・パールにてLion Fight 16が開催された。
ライオンファイトは2010年に設立された米国発のキックイベントで、ヒジ打ち&首相撲が認められたフルムエタイルールを採用している。これまでヨーセングライ・フェアテックスなど海外で活躍するタイ人選手を招聘し、昨年GLORYミドル級トーナメントを制したジョー・シリングも参戦、日本からはK-1MAX2010-63kg級日本王者& WBCムエタイ インターナショナル スーパーライト級王者の大和哲也が出場したこともある。また今年3月にクリス・サイボーグがムエタイルールに挑戦した大会としてライオンファイトの名を耳にしたMMAファンも多いはずだ。
そのライオンファイトがUFCと共催という形で、7月5日(土・同)のUFC175、6日(日・同)のTUF19 フィナーレというUFC初の連戦をメインとしたUFC’s International Fight Weekの初日=4日にLion Fight 16として大会を開催した。
5日&6日にはマンダレイイベンツセンターでUFCファン・エキスポが開かれ、その一環として5日に米国最大のグラップリング競技団体=Grapplers Questが柔術&ノーギ・グラップリング・トーナメントが行われており、ムエタイイベントであるライオンファイトがUFCの名の下に同ウィークに名を連ねたことになった。
同大会のメインイベントに組まれたのがライオンファイト世界スーパーライト級選手権試合=ケビン・ロス×マイケル・トンプソンの一戦だ。ロスはWBCムエタイインターナショナル スーパーライト級王座の戴冠歴がある米国在住の軽量級ムエタイファイター。センチャイ・シンビジムやサゲッターオ・ペットパヤタイらタイのスーパスターたちと拳を交え、昨年からはライオンファイトを主戦場に戦っている。
対するトンプソンは豪州のムエタイファイターで、ISKAやWKNなど様々な団体でタイトルを獲得してきた。過去の戦績を振り返ると、2012年に豪州でで行われた「Caged Muaythai2」(OFG着用&ケージで行われるムエタイ・イベント)で元ルンピニースタジアム王者&MVPの“ムエタイ爆撃機”ポンサネー・シットモンチャイに勝利した試合が光る。
米国と豪州を代表するファイターによる王座戦は序盤から地元のロスが試合のペースを握った。ロスはフック主体で攻めるトンプソンに対し、高いガードからジャブと左右のロー、足払い。さらに左ボディのカウンターを当て、中盤以降は自分からプレッシャーをかけて前に出る。2R開始直後にはロスがアッパー気味の左フックと右テンカオ、左フックを強振してトンプソンのバランスを崩す。トンプソンもアグレッシブに左右フック、右ヒジで反撃を試みるが、ロスは右ローのような足払いでトンプソンをマットにこかし、終了間際には首相撲でトンプソンを豪快に後方に投げ捨てた。
3R、完全にペースを掴んだロスは右ストレートからパンチをまとめ、トンプソンの左ミドルをキャッチしてマットに押し倒す。トンプソンが前に出てくれば右ヒジと右ロー、パンチを左手を伸ばして右手でブロックするムエタイガードで弾き返す。4R、距離を詰めてパンチで前に出るロス。左右のハイキックを飛ばし、右アッパーから左フックを返す。劣勢のトンプソンもロスのローにワンツーを合わせ、思い切ってヒジで飛び込む。ロスがプレッシャーをかけてヒジを振ってもしっかりとブロック。右ハイキックを受けて右ストレートを返し、左アッパーの打ち終わりにワンツーを合わせて、左のテンカオ、右ヒジを叩き込み、攻勢を印象付けた。
5R、ロスはジャブで距離を取りつつ右ロー、トンプソンの左フックを空振りさせて右ハイキックを狙う。蹴りで距離を作るロスはタイミングよく右ストレートを当て、終了間際には飛びヒザ蹴りでトンプソンをダウン寸前に追い込んだ。接戦が予想された一戦はロスがほぼトンプソンを完封。ジャッジ1名がロスにフルマークをつけ、残り2名も3ポイント差をつけて、ロスが判定勝利でライオンファイトのベルトを手にした。
5月にはコネチカット州マシュタケットのフォックスウッズ・カジノリゾートで大会を開催しており、東部初進出を果たしているライオンファイト。昨年9月にライオンファイトでロスに勝利している大和哲也も自身のtwitterで「もう一度ケビン・ロスとやる日が来ることを願う」とライオンファイト再登場とタイトルをかけての再戦をアピールしている。現在はWBCムエタイの世界王座を目指している大和だが、ライオンファイトでタイトル戦線に絡むことになれば、日本人キックボクサーがアメリカのムエタイイベントで成功するという、これまでにない道が開けることにもなる。UFCとも協力体制を敷いた米国発のムエタイイベントがどう発展・展開していくのか。今後の動向を注目していきたい。
■Lion Fight 16 試合結果
<Lion Fight世界スーパーライト級王座決定戦/3分5R>
ケビン・ロス(米国)
Def.3-0:50-45,49-46,49-46
マイケル・トンプソン(豪州)
<女子フライ級/3分5R>
ティファニー・ヴァンソースト(米国)
Def.5R0分56秒 by TKO
シンディ・ヒューアー(イタリア)
<ライト級/3分5R>
ルンラウィー・サシプラパー(タイ)
Def.3-0:48-47,49-46,49-45
エイドリアン・モリラ(フィリピン)
<ウェルター級/3分5R>
ガストン・ボラノス(米国)
Def.1R終了時 by TKO
タイラー・トナー(米国)
<ミドル級/3分5R>
ケーシー・パレット(米国)
Def.2-1:48-46,46-48,49-45
ジョシュ・シェパード(米国)