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【ADWP】アブダビプロ無差別級:決勝進出はブシェシャとホドウフォ 

17日(木・現地時間)から19日(土・同)にかけて、アラブ首長国連邦アブダビのザイード・スポーツシティ内のFBGアリーナで開催されたアブダビ・ワールド・プロフェッショナル柔術。今回は大会の目玉、優勝賞金3万ドルを賭けた黒帯アダルト無差別級の準決勝までの模様をリポートする。

【準々決勝】
キーナン・コーネリアス(アトス)
Def. 2-0
ブラウリオ・エスティマ(バッハ)

階級別の準決勝の再戦。94キロ以下級の戦いでは、僅差でエスティマが勝利しており、コーネリアスにとってはリベンジのチャンスだ。試合開始直後にブラウリオがジャンピングガードを仕掛け、体がマットに着地した瞬間にコーネリアスのバランスを横に崩して上を取り、見事な先制攻撃で2Pを奪ってみせた。下になったコーネリアスも、得意のオープンガードから反撃開始。エスティマの裾を引き出し、エスティマの右膝の裏を通して抱える自身が「ラペルガード」と呼ぶ形を作る。

この形からスイープやベリンボロ狙い等、さまざま仕掛けてゆくコーネリアスだが、エスティマも左手をマットに付けるなどして体勢を保ち、アドバンテージこそ取られたもののポイントは許さない。残り時間が少なくなるなか、コーネリアスは裾のグリップを保持したまま、エスティマの左手を掴むことに成功。これで左手を支点にしてバランスを取ることができなくなったエスティマを前方に崩し、ついにスイープに成功、逆転してみせた。下になったエスティマは膝十字を狙うが、コーネリアスがそれを未然に防いで試合終了となった。

相手の裾を引き出してスパイダーを作るという「ギャラクシーガード」の考案者のエスティマを、また別のオリジナルな方法で裾をコントロールし、さらにそこにベリンボロ等「モダン柔術」の要素を組み込んだコーネリアスが制する。ギあり柔術の技術進化の最先端を見せつけた一戦だった。

【準決勝】
マーカス・アルメイダ(チェッキマット)
Def. 2-2 アドバンテージ 1-0
キーナン・コーネリアス(アトス)

100キロ超級優勝のブシェシャことアルメイダは試合開始早々に引き込むと、前転しながらのトルネードスイープでコーネリアスの体勢を前に崩す。と、ベリンボロの要領で相手に背後から足を絡めてバックへ。コーネリアスがなんとかフックを許さず前方に落とそうとすると。腕十字に移行するブシェシャ。ほとんど腕が伸びかけたかに見えたが、コーネリアスが動き続けて防ぐとブシェシャはすかさずオモプラッタに移行する。これも防いだコーネリアスが逆にバックを狙うと、今度はブシェシャがコーネリアスを前に落として上になり、アドバンテージを獲得した。嵐のようなブシェシャの猛攻と、それを凌いだコーネリアス。両者の凄みが存分に見えた序盤の攻防だった。

その後、2人は50/50の体勢で上を取り合うなどの一進一退の攻防を展開。積極的に上からダイナミックなパスを狙ってゆくブシェシャに対して、コーネリアスも準々決勝のエスティマ戦で見せた、裾を膝下から通して掴んでのラペルガードから仕掛けてゆく。しかし、体格でも二周り大きいブシェシャのベースを崩すことはできず、健闘空しくアドバン差で敗退した。

【準決勝】
ホドウフォ・ヴィエイラ(GFチーム)
Def. 袖車絞め
アンドレ・ガルバォン(アトス)

100キロ以下級優勝のホドウフォと88キロ以下級優勝ガルバォンの対戦となった、もう一つの準決勝。試合開始早々、右手でガルバォンの襟をがっちり引きつけたヴィエイラは、下にレベルチェンジすると同時に左手でガルバォンの右膝裏を抱えて前進してテイクダウン。まさに問答無用といった感じで、腰の強いガルバォンがなすすべもなく倒されてしまった。そこからヴィエイラはパスの猛攻。得意の横に飛んでの形とニースライドを組み合わせて攻め続ける。ガルバォンも強固な両腕のスティッフアームなどを用いて懸命に守るが、ヴィエイラの攻撃は止まらない。

やがて右に回ったヴィエイラは、小さく左に飛んでガウヴァオンの足を超えて完全にパスに成功。相手に逃げる隙を与えない圧巻のパスだった。下から抵抗するガウヴァオンの動きに合わせて体勢を変えつつも、圧力をかけ続けたヴィエイラはやがてマウントへ。ガルバォンが懸命に片足を戻してくるのも意に介さず肩固めの体勢に移行する。低く重く上半身に乗られてしまい、まるで虫ピンで固定されたかのようにまったく動けないガルバォンを、最後は袖車絞め(肩固めの体勢から入る、小室宏二も得意とする形)で仕留めた。

現ADCCスーパーファイト王者にして、先日のパン選手権でも最重量級と無差別級を制したガルバォンに、何の攻撃もさせずに圧勝。ヴィエイラの底知れぬ強さが際立った試合だった。

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