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【ADCC2013】サイボーグ、ブシェシャに雪辱。世界の頂点に

19-20日(金~土・現地時間)、中国の北京でアブダビコンバットクラブ(ADCC)主催の世界サブミッション選手権のレポートも最終回。大会のハイライトといえる無差別級、99キロ超級決勝の再戦を制し、2013年度サブミッションレスリングの頂点に立ったのは、ブラジルのホベルト・アブレウ。彼の勝利で2009年のスペイン・バルセロナ大会以来、ブラジル勢が全階級を制覇、10度目の開催で2度目の快挙は今も柔術、ノーギ・グラップリングシーンで柔術の母国が圧倒的な強さを示していることを明らかにした。

【無差別級】
優勝  ホベルト・アブレウ(ブラジル)
準優勝 マーカス・アルメイダ(ブラジル)
3位   キーナン・コーネリアス(米国)

出場希望者のうち、選ばれた16人のみがエントリーできる無差別級。日本からは99キロ以上級で1回戦突破を果たした関根秀樹がエントリー。初戦で、前回大会99キロ以下級覇者にして足関節の名手ディーン・リスターと対戦した。

<1回戦>
ディーン・リスター
Def.byアンクル・ロック
関根秀樹

座り込むリスターに対して前転してのパスを試みた関根は、リスターの両足首を抱えて担ぐように体重をかけて、世界を代表するグラップラーからパスに成功する。慌てず騒がずエビでポジションを戻したリスターに対し、関根は大胆にも足関節を仕掛けるなど積極的に動く。が、さすがにこれはリスターには通じない。逆に上のポジションを取ったリスターはすぐさまアンクル・ロックに。関根もアンクルで対抗しようとしたが、結局極められてしまいタップアウトとなった。

<準決勝>
マーカス・アルメイダ
Def. 5-0
ディーン・リスター

シュレック関根を破ったリスターと準決勝で戦ったのは、最重量級を制したブシェシャことマーカス・アルメイダ。この大会を通して常にアグレッシブな姿勢で戦い続けたブシェシャは2回戦、ロシア人レスラーのルスタム・シェジエフから見事なヒップバンプスイープ(日本ではヒップスローと呼ばれる技)でマウントを奪って勝ち上がって来た。

この試合でも変わらぬ積極性をみせたブシェシャは、テイクダウンを奪ってはリスター相手に足関節を狙う。それを防ぐと、楽しそうに声をあげて笑うリスター。試合はやがてテイクダウン合戦に。リスターがブシェシャを倒して足を狙えば、ブシェシャもリスターからダブルレッグを取り、バックに付いて師のレオジーニョばりの前転を試みる。ならばと、リスターも足狙いから脱出する。

その後シングルレッグに入ったリスターは、ブシェシャを引きずり込むような形でグラウンドに持ち込む。そのまま背後に付いた後、ブシェシャを仰向けにして抑えにいきハーフ上を取りかける。しかし、ここでブシェシャがリバーサルでトップを奪取する。テイクダウンで上を取った者は、相手の背中をマットに付けさせ完全に抑えないと点が入らないが、それを返しきって抑えた者には点が入る」という、分かりにくいが筋が通っているといえなくもない仕組みでブシェシャに2点が与えられる。ブシェシャはそこからリスターのバックを奪い、3Pを加点。勝利を確定させた。

<準決勝>
ホベルト・アブレウ
Def. 6-0
キーナン・コーネリアス

99キロ以上級と99キロ以下級で3位に入った選手同士による準決勝。キーナンは得意の下からの仕掛けを狙うが、サイボーグことアブレウは噛み付きなど様々な方法でパスを仕掛けてゆく。5分を経過した頃、座るキーナンの頭と腕を両手で抑えたサイボーグは、車のハンドルをひねるような動きでキーナンをひねり倒しながらパスに成功する。上四方でキーナンを抑え込んだサイボーグ。ここを逃れたキーナンは、テイクダウンでポイントの挽回を図るがサイボーグは許さない。逆にキーナンのテイクダウン狙いを潰したサイボーグが、バックに付いてチョークを狙ったところで時間切れに。サイボーグが、柔軟性を活かし最新技術を駆使するキーナンのガードを見事に攻略した一戦だった。

<3位決定戦>
キーナン・コーネリアス
Def. 3-0
ディーン・リスター

リスターのテイククダウン狙いをキムラロックで返したキーナンは、そのロックをキープしたままバックへ。さらに三角に移行し、腕十字をトランジット。リスターはこれらのアタックを防いで楽しそうに笑う。上になったリスターは、すかさず必殺のヒールへ。しかし、キーナンは腕を使って最後のひと捻りを防ぐと、上になり肩固めの体勢に。そこから再び三角絞めに入るキーナン。体勢を低くして耐えるリスターを極めきれないと見るや、またもや腕十字に移行、ほとんど腕が伸びかけたがリスターだが、ここも脱出する。リスターは再び足関節を仕掛けるも、これも防ぎ切ったキーナンはトップを取るや、バックを奪取。このまま試合が終了し、攻め続けた若手のキーナン、ベテランの必殺技も防ぎきっての完勝劇で3位を獲得した。

<決勝戦>
ホベルト・アベレウ
Def. 10-0
マーカス・アルメイダ

最重量級準決勝の再戦となった決勝戦、99キロ以上級で敗れたサイボーグとしては雪辱戦だ。試合開始から積極的にテイクダウンを狙い合う両者。加点時間帯開始前にサイボーグは何度かブシェシャからサイドを奪うも、ブシェシャもそのたびに脱出しては、逆にテイクダウンを仕掛けてゆく。

加点時間開始後、ブシェシャのテイクダウン狙いを受け止めたサイボーグはそのままブシェシャの体をひっくり返してサイドで押さえ込む。体勢を戻したブシェシャだが、サイボーグは横に飛んでまたしてもパスに。さらにバックを狙っていくが、ブシェシャもオモプラッタを仕掛けて、両者スタンドに。

この時点で7-0とリードされたブシェシャは、スタンドでテイクダウンを仕掛け、場外まで追ってサイボーグを倒そうとするが、もつれたところでサイボーグに上になられてしまう。盛り上がる場外。スタンドに戻るとまたしても、ブシェシャは組みついていくも、サイボーグも投げ返して両者がもつれる。さらなるテイクダウンを狙うブシェシャを、サイボーグはまたもやひっくり返してサイドで抑え込み、点差を10-0とした。さらにサイボーグはそこから上四方に移行しノースアンドサウスチョークへ。これを逃げてみせたブシェシャだが、有効な反撃はできないままで試合終了。優勝を決めたサイボーグは歓喜のあまりマットに崩れ落ちた。

相手を豪快に返すトルネード・ガードが有名なサイボーグだが、この日はテイクダウンとパスガードの強さを見せつけての無差別級制覇。近年の柔術、グラップリングシーンで独走状態にあったブシェシャを見事に止めてみせた。サイボーグは2015年に行われる予定の次回大会にて、今大会のスーパーファイトを勝利したアンドレ・ガウヴァオンと戦うことが決定した。

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