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【DEEP131】交通事故~試合中止からの復帰戦、雅駿介「上手くいかない時期があったからこそ自信がある」

【写真】練習終わりから移動前の車中でインタビューに応えてくれた雅。この笑顔からもコンディションの良さがうかがえる(C)SHOJIRO KAMEIKE

5月4日(月・祝)に横浜市中区の横浜BUNTAIで開催されるDEEP131で、雅駿介瀧澤謙太と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

2025年に入り2連続KO勝ちを収めていた雅。続いて同年12月、平松翔戦を控えていた雅にまさかのアクシデントが発生した。事実上のバンタム級次期挑戦者決定戦と言われた一番の前日、計量会場に向かう途中で雅は交通事故に遭ってしまう。計量会場で佐伯繁DEEP代表は「命に別状はありませんが頭部を強打しており、平松翔との試合は中止とさせていただきます」と発表している。

事故と試合中止から5カ月、遂に雅が復帰戦を迎える。試合が中止となってしまったことを重く受け止めつつも、この期間をポジティブに捉えているという雅。今大会、平松は鹿志村仁之介との暫定王座決定戦に臨む。勝者との対戦も見据える雅が事故からの復帰ロードと、今回の瀧澤戦への想いを語ってくれた。


事故に遭った直後は、走ることすらダメで。それだけ頭に振動を与えることになる運動はできなかったです

――昨年5月の窪田泰斗戦以来1年振りの試合を控えている雅選手です。現在のコンディションはいかがですか。

「メチャクチャ良いですね。体重も順調に落ちていて、怪我もなく……ファイターって試合前は怪我があっても『怪我はない』と言うと思いますけど、リアルに怪我もなくて(笑)」

――アハハハ。確かに試合前のインタビューで負傷をアピールされたことはないです。

「しかも今回は慢性的な痛みがあった箇所も、バランス良く治っていて。いろいろな面でメチャクチャ良い状態です」

――試合前に負傷をアピールせずとも、キャリアを重ねれば慢性的な痛みと戦っているのもまたファイターの真実です。それが治ってきているというのは……。

「自分の場合はオーバーワークというか――たとえば午前中の練習が終わったあと『午後もこれだけやらないと勝てないぞ』というような気持ちで、いろいろと無理やり詰め込んでいた面があったんです。だけど自分も試合当日には32歳になるんですよね。年齢を重ねるとともに回復力も落ちてくることも考えないといけない。何より試合当日に一番良いパフォーマンスを出せないと意味がない。そこに焦点を当てた結果、良い意味で無理をしなくなったというか。

あとは当たり前のことですけど、しっかり睡眠を取る、食事のバランスを考える。そういうことを考えて調整すると、次第に怪我も減っていったり、慢性的な怪我も良くなったりしました」

――オーバーワークや調整ミスのために力を発揮できなかったのは、たとえばどの試合でしょうか。

「ひとつは谷岡選手との試合です(※2024年9月)。試合はサミングでノーコンテストになってしまいましたけど、自分はメチャクチャ調子が悪かったです。減量後のリカバリーがうまく行かなかったこともあって。

平松選手との初戦(※2023年7月、判定勝ち)も水抜きの途中に倒れてしまい、計量の時まで両足のふくらはぎが攣った状態でした。水分を摂ったら筋肉も緩和されましたけど、十何時間も足が攣った状態だったから十分には回復せず、両足が肉離れになったような状態で試合を迎えてしまいました。

そういうのって計量までのファイトキャンプの過ごし方とか、疲労を溜めすぎてうまく回らない部分はありましたよね。その2試合は悪い意味で印象に残っています」

――谷岡戦は、福田選手に敗れてからの復帰戦でどうしても『勝たなければいけない』という気持ちは強かったと思います。と同時に、昨年12月に発生した計量直前の事故も含め、格闘技界全体で減量については考え直さないといけない部分もあります。

「事故で試合を飛ばしてしまったことは、重く受け止めないといけないです。結局は自分の意識の問題で――最初は『運が悪かった』と思いました。でも、そもそも自転車で外出する行動に至ってしまったのは自分の責任であって。結果、試合に穴を開けてことは事実だし、対戦予定だった平松選手にも申し訳なかったです。楽しみにしてくださっていたファンの人たち、その場所を用意してくれたDEEPの関係者、練習に付き合ってくれた仲間や先生たちに迷惑をかけてしまい、反省しかないです」

――事故直後にDEEPからの公式発表として「命に別状はない」ということでした。とはいえ復帰するまでには時間が掛かったのですね。

「やはり頭部のことですからね。失神してKO負けした時ぐらいの脳の回復プロトコルに基づいて進めてきました。事故に遭った直後は、走ることすらダメで。それだけ頭に振動を与えることになる運動はできなかったです」

――えぇっ、走ることすら……。

「自分としては試合を飛ばしてしまったし、平松選手ともう一度対戦したいという気持ちが強く、焦っていた面もあったんです。ただ、石渡伸太郎さんはいろんな経験から脳の外傷にも詳しく、自分も徹底して回復プロトコルに基づいて行動しました。そこから割と早い段階で、5月のビッグマッチで復帰するという話が進んでいって。そこで復帰戦ができることを目指していこうと、しっかり回復させてきました」

――早めに目標が決まったことも良かったですね。目標がなければ、以前のように焦って練習してしまうかもしれない。

「はい、そう思います」

試合がないからこそ細かい部分を石渡さんと一緒に修正してきました。全体に底上げされている感覚はあります

――事故直後の12月はほぼ運動はできず、年明けの1月から2月にかけて、どのように過ごしていたのでしょうか。

「まず1月に入って走ってみる。その時に頭痛や眩暈などが起こったら一つ前のプロセスに戻る。そういう回復プロトコルに従って進めていました。1月に入ると走ったりトレーニングをやり始めて、2月になって組み技の打ち込みを増やし、2月の半ばから脳に衝撃を与えない組み技のスパーリングを始めて――という感じです。打撃でコンタクトのある練習ができるようになったのは、3月に入ってからだと思います。

自分は福田龍彌選手との試合でも失神KO負けしていますけど、そこから復帰する時よりも慎重にやってきました。今回は車との接触事故でもありましたし。おかげでダメージの自覚症状とかもない状態で復帰できたという状態ですね」

――それは本当に良かったです。一方で2月に組み技の打ち込みやスパーリングを始めた時、ブランクのために自身の動きが落ちているようには感じなかったですか。

「いや、結局はできることからやっていくしかないですからね。

それと……自分はずっと試合が続いていたじゃないですか。試合が決まると相手の対策に注力することになる。でも今回は試合がないからこそ、『ここの関節の動かし方が下手だな』とか『こういう体勢の時は、こっちにバランスが寄ってしまうな』といった細かい部分を石渡さんと一緒に修正してきました。おかげで練習に復帰した時に『動きが落ちている』という面はなかったですね。逆にプラスにできた期間でもあったかなと思います」

――その修正もコンディションの良さに結びついているかもしれないですね。逆に、以前よりも動きが良くなった部分はありますか。それこそ連勝していた時期と同じぐらいの状態に戻ってきたのか、あるいはそれ以上の状態なのか。

「それ以上、だと思います。だから自分も次の試合が楽しみで。去年の3月と5月に試合をして、コンディションが上がっていたまま12月に向かっていました。試合はなくなってしまったけど、やってきたことがゼロになるわけではない。さらに上乗せしていくことで、全体に底上げされている感覚はありますね。『試合当日は、どんなパフォーマンスができるんだろう』と楽しみです」

――今回、平松選手が暫定王座決定戦に出場します。たらればの話でしかありませんが、もし12月に平松選手と対戦して勝っていたら、暫定王座決定戦に出るのは自分だったのか……と思うことはないですか。

「……、……そう思うことはあります。でも試合できなかったことは事実だし、そこは気持ちを切り替えていくしかないですよね」

――正規王者である福田選手の動向についてはRIZINの試合も関係してくるでしょうし、分からない部分はあります。そんななかで暫定王座決定戦が行われる。それは「5月に復帰戦がある」という目標があったことと同じように、自身の中でモチベーションになりませんか。「次は自分だよな」と。

「そうですね。自分としては今回もフィニッシュして勝つつもりです。ただ、もうDEEPバンタム級戦線も一周していますし、自分が勝つと『他に誰がいるの?』という状態ではあると思うんですよ。

自分はDEEPのベルトを目指して、DEEPだけにこだわって出場してきた自負もあります。だから自分に任せてほしいと思うけど、説得力は試合で見せるしかない。今回のパフォーマンスと結果を見て、周りが『次は雅しかいない』と思ってくれたら実現すると考えています」

『タイトルマッチをやりたいなら、ちゃんと勝てよ』というメッセージをら送られていると思う

――タイトルマッチに向けて重要となる一戦、その相手が瀧澤選手となった時は、どのような印象を持ちましたか。

「先ほども言ったとおりDEEPバンタム級も一周しているので、そこしかないだろうとは思いました。相手は有名人で、自分よりも知名度がある。DEEP内での立ち位置でいえば、瀧澤選手はDEEPで一度しか勝っていないので、自分と戦うレベルにないと思っているんですよ。まずはこれまで僕が勝ってきた相手と対戦してからだろ、と。

ただ、自分は前回試合を飛ばしてしまっているので、断る選択肢はないと思ってオファーを受けました。この試合をしっかりとクリアして、美味しくいただこうと思っていますね」

――復帰戦で瀧澤選手を相手に、どんな試合を見せるのか。タイトルマッチに向けて、その点も見られているとは思います。

「自分としても『タイトルマッチをやりたいなら、ちゃんと勝てよ』というメッセージを、佐伯さんから送られていると思うし、それを自分がしっかりと受け止めないといけないですよね」

――瀧澤選手のファイターとしての印象を教えてください。

「打撃が強いなって感じですね。上手くいっている時期があり、今は伸び悩んでいるというか、上手くいっていない時期で。いろんな悩みや迷いが試合スタイルにも出ているのかな、とは思いますよね」

――雅選手はムエタイをMMAに生かす形で戦い続けてきました。それだけ「自分の型」を創り上げてきたことに対する自信はありますか。

「あぁ、ムエタイMMAを確立していると言ってもらえますけど、やっぱり自分としては上手くいかない時期があったんですよ。そういう時期を経て自分の戦い方、自分のMMAを見つけることができました。上手くいかない時期があったからこそ、今は自信があります」

――上手くいかない時期から自分のMMAを見つけることができたキッカケは何だったのでしょうか。

「試合で失敗したことを、次の試合が決まるまでに修正していく。試合が決まったら、その修正ができているかどうか確認する。そういう期間が大切だと思います。

自分はとにかく経験を積もうと、1年で5試合ぐらいやったことがあって。本当はMMAもアマチュアからやりたかったです。でもキックの経験があるし、いろんな流れもあって、いきなりプロデビューすることになりました。アマチュアで経験値を積むことができなかったから、とにかく必死こいて経験を積もうと思ったんですよね。

東京の大会だけでなく浜松大会や大阪大会にも出させてもらい、とにかく試合をするという時期がありました。やはり試合の経験値はデカいし、練習でも何度もトライ&エラーし続けてきたんです」

――なるほど。

「あともう一つはコーチとの関係性というか。自分は石渡さんに総監督として練習を見てもらっています。それと出稽古先として、MMAデビューする前からロータス世田谷で八隅孝平さんにお世話になっていたんです。ロータスの一般クラスに参加して、分からないことを八隅さんに全部訊く感じで。そこからロータスのプロ練にも参加するようになり、福田戦の頃から八隅さんにセコンドもお願いするようになりました。

そこで学んだことを石渡さんに融合してもらうようになったことも、2022年に5試合したあとの次のステップアップに繋がったんじゃないかと思います」

――福田戦の敗北後、ノーコンテストを挟み2連続KO中です。トライ&エラーの成果が出てきているということですね。

「そう思います。自分はDEEPのタイトルを獲ると決めているので、今回は良いパフォーマンスを見せてDEEPの25周年を盛り上げます。そしてしっかり勝ち、タイトルに繋げます!」

■DEEP131 視聴方法(予定)
5月4日(月・祝)
午後1時30分~U-NEXT、サムライTV、DEEP/DEEP JEWELS YouTubeチャンネル メンバーシップ

■DEEP131 対戦カード

<DEEPフェザー級暫定王座決定戦/5分3R>
牛久絢太郎(日本)
水野新太(日本)

<DEEPライト級選手権試合/5分3R>
[暫定王者] 大原樹理(日本)
[挑戦者] 倉本大悟(日本)

<DEEPフライ級選手権試合/5分3R>
[王者] 村元友太郎(日本)
[挑戦者] 力也(日本)

<DEEPバンタム級暫定王座決定戦/5分3R>
平松翔(日本)
鹿志村仁之介(日本)

<DEEPストロー級選手権試合/5分3R>
[王者] 杉山空(日本)
[挑戦者] 知名昴海(日本)

<ウェルター級/5分3R>
阿部大治(日本)
角野晃平(日本)

<59キロ契約/5分3R>
猿寿健太(日本)
関原翔(日本)

<バンタム級/5分3R>
瀧澤謙太(日本)
雅駿介(日本)

<フェザー級/5分3R>
中村大介(日本)
狩野優(日本)

<ライト級/5分3R>
泉武志(日本)
山本颯志(日本)

<水野竜也引退エキシビションマッチ/2分2R>
水野竜也(日本)
シビサイ頌真(日本)、上田幹雄(日本)

<メガトン級/5分3R>
赤沢幸典(日本)
金田一孝介(日本)

<バンタム級/5分3R>
窪田泰斗(日本)
小崎連(日本)

<メガトン級/5分2R>
誠悟(日本)
タンク内藤(日本)

<バンタム級/5分2R>
諏訪部哲平(日本)
石坂空志(日本)

<フェザー級/5分2R>
杉野亜蓮(日本)
ダイヤ(日本)

<アマチュア フライ級/3分2R>
今野連弥(日本)
武井大将(日本)

<アマチュア フライ級/3分2R>
ショウエイ(日本)
矢代光(日本)

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