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【Lemino Shooto02】西條英成、再起戦でバトルと対戦「見ていて『美しい』と思われる試合をしたい」

【写真】ONE FFでの敗戦を経て、改めて目標を修斗世界王座に定めている西條(C)TAKUMI NAKAMURA

19日(日)に沖縄市のミュージックタウン音市場で開催されるLemino Shooto02にて、西條英成がクルボン・バトルと対戦する。
Text by Takumi Nakamura

西條は今年6月にONE FFでカシム・マゴメドシャピエフに1R0分33秒でKO負け。試合後には進退について考えることもあったというが、周囲の支えもあって再び戦うことを選んだ。今回のバトル戦は修斗世界王座に向けた再出発の一戦となる。

また自衛隊出身、松根良太の存在と平良達郎の試合をきっかけにMMAの道に進むことを決意したという西條。自分の試合を通じて「勇気・希望・覚悟、そういったものを届けたい」と語った。


――2024年4月以来の沖縄での試合、Lemino修斗参戦が決まりました。

「前回ONEで試合開始早々にKO負けしてしまって(カシム・マゴメドシャピエフに1R0分33秒でKO負け)、その中でLemino修斗という大きな舞台、新しく立ち上がった舞台で、外国人選手を用意してくださって本当に感謝でいっぱいです」

――ウェルター級で戦う西條選手にとって国際戦は避けて通れないと思うのですが、マゴメドシャピエフと試合をしてどんなことを感じましたか。

「今まで外国人選手とは何度か戦っているんですけど、今までとは違うONEという舞台での試合で、場の雰囲気もそうですし、対戦相手の体の強さを感じたり、まだまだ自分に足りないところが多いなと率直に感じました」

――僕も当日試合を解説させてもらったのですが、マゴメドシャピエフは試合映像が古いものしかなく、どんなレベルの選手か分からないままでした。そういったやりづらさはなかったですか。

「相手はMMAの試合自体が1年ほど空いていて、過去の試合映像も1つ2つしかなかったので、なかなか分析しづらい部分はありましたね」

――あの敗戦を踏まえて練習面で取り組んでることはありますか。

「もともと私自身は松根(良太)代表のもと、リスクを負わない戦い方を常日頃から練習していたのですが、前回の試合は相手が未知なところもあったので、自分からガンガン攻めるような試合展開になってしまいました。今はまた初心に戻って、しっかりリスクの負わない戦い方を追求していくように練習しています」

――また西條選手にとって初の敗北となった住村竜市朗戦についても聞かせてください。あの試合はどこが敗因だったと感じていますか。

「あの時はタイトルマッチにいけるかどうかの試合で、自分的にはリスクを負わない戦い方をイメージしていたのですが、逆にそこを意識しすぎて、自分から攻めきれなかったところが一番大きな敗因だったかなと思います。なので今はリスクを負うところと負わないところのバランスを取りながらやっています」

――今大会ではクリスチャン・リー門下という情報もあるクルボン・バトルと対戦します。バトルにはどんな印象を持っていますか。

「今回の対戦相手もMMAの映像は1試合しかなくて、どういうレベルなのか未知な部分はありますが、基本的には打撃でガンガン前に出てくるような選手だと思います。そしておそらくレスリングにも自信があるのかなと。そこに自信があるからこそ前にガンガン来るスタイルなのかなと考えています」

――MMAPLANETとして西條選手の初インタビューとなります。これまでの経歴も聞かせてもらえますか。

「格闘技を始めたきっかけは、父親が空手の師範だったので物心がついた時から、道衣を着て空手をやっていました。それで18歳の時に自衛隊に入隊し、そこで日本拳法をやることになりました。初めてジムに入会したのは自衛隊の中の拘束術の1つでもある柔術、ブラジリアン柔術を学ぶことが目的でした。そこから1年ほど経って、チームメイトの平良達郎の修斗フライ級チャンピオンシップが大阪であって、それを現地観戦した際に、私もMMAをやりたいと思い、それから本格的にMMAの道に進もうと思いました」

――自衛隊を退職してMMAを始めたのですか。

「プロになってから退職した形ですね」

――それだけMMAをやりたいという気持ちが強くなっていたのですか。

「そうですね。あとは自衛隊そのものにも区切りをつけようと考えていた時期であり、そこで達郎の試合を見てMMAを始めたので、気持ちが大きくMMAに傾きましたね」

――西條選手は平良選手に帯同してエクストリーム・クートゥアで練習したこともあるんですよね。平良選手からどんな刺激を受けていますか。

「普段の生活面、練習に対しての意識、そういった精神的な部分から、当たり前ですが技術的な部分まで学ぶことはたくさんあります。それは達郎も然り、他の選手然り、チームメイトには本当に敬意を持って色んなものを学んでいますね」

――ジムの松根代表は西條選手にとってどんな存在ですか。

「自衛隊を退職するか悩んでいた時期、自分の人生をこれからどうしていくかって悩んでいた時期に相談に乗ってくれた方でもあり、私の人生を格闘技に導いてくれた存在ですね」

――もし松根代表のもとで格闘技を始めていなかったら、ここまで格闘技に人生をかけることはなかったかもしれないですか。

「私はもともとがプロになりたくてジムに入ったわけではなかったので、松根さんの存在と達郎のタイトルマッチが本当に大きいです」

――西條選手の理想のMMAスタイルはどんなものですか。

「ファイトスタイルで言うと、それこそ階級は違いますけど、達郎のようなファイトスタイルで、それはイコール松根さんから教わっているファイトスタイルですね。自分たちはそれを目標にやっているし、ああいう戦い方ができればなと思っています」

――西條選手の寝技はいい意味でウェルター級らしくなく、軽量級のように滑らかな印象があります。そこはご自身でも意識しているところなのですか。

「そうですね。基本的に自分はジムの中では周りに比べて体が大きい方なので、力でどうのこうというよりは、技術面を優先して練習を考えているんですね。寝技のタイトさだったり、テイクダウンだったり。そういう部分を大切なものとして考えながら日々練習してはいます」

――今回はLemino修斗での試合となりますが、今後のファイターとしての目標を聞かせてください。

「少し話は戻って、ONEに参戦した時は早く世界を目指したいという気持ちが強かったのですが、あそこでKO負けしてしまって、正直自分はもう戦えないんじゃないのかな、もう(格闘技を)できないんじゃないかなという気持ちになりました。ああいう舞台でチャンスをもらったにも関わらず、フルラウンド戦った判定負けなどではなく、1R開始直後にKO負けという結果だったので。でも色んな人の支えがあって気持ちも戻ってきて、今は修斗でベルトを巻くことを第一の目標にしています」

――周囲の声に励まされたのですか。

「周りに『自分はもうダメなんじゃないか…』という話をしたわけではないですが、自分の心の中ではそういった思いを持っていました。それでも変わらず応援してくれる方々がいて、自分が格闘技をやっていく上でのモットーが見ている人たちに勇気・希望・覚悟を届けることなんですね。それを達成するまでは格闘技をやめられないなと気持ちを切り替えることができました」

――久々の地元・沖縄での試合で、どんな試合をしたいですか。

「先ほどもお話した通り、私は自分の試合を通して勇気・希望・覚悟、そういったものを届けられるような試合をすることを一番に考えています。それこそ保守的になりすぎず、自分が攻められるところはしっかり攻めながら、相手の攻撃を流せるところはしっかり流して、見ていて『美しいな』と思われるような試合をしたいです」

――西條選手は「誰々に勝ってすごかったね」と言われるよりも「試合を見て勇気をもらいました」や「頑張る活力になりました」と言われる方がうれしいですか。

「そうですね。私自身が自衛隊を辞めるかどうか気持ちが揺らいでいる時期に、達郎の試合を見て勇気や覚悟をもらいましたし、次につながる希望を見せてもらいました。だから今度はそれを自分が見ている人たちに届ける側になりたいです」

■視聴方法(予定)
10月19日(日)
午後4時45分~ Lemino

■Lemino Shooto02対戦カード

<バンタム級/5分3R>
野瀬翔平(日本)
シンバートル・バットエルデネ(モンゴル)

<ウェルター級/5分3R>
西條英成(日本)
クルボン・バトル(ブラジル)

<フライ級/5分3R>
宮城友一(日本)
シモン・スズキ(日本)

<ストロー級/5分3R>
畠山隆称(日本)
ニシダ☆ショー(日本)

<フェザー級/5分2R>
内藤太尊(日本)
工藤圭一郎(日本)

<ストロー級/5分2R>
梅木勇徳(日本)
平良龍一(日本)

<バンタム級/5分2R>
ショージン・ミキ(日本)
水嶋敬志(日本)

<フライ級/5分2R>
砂辺光久(日本)
福島祐貴(日本)

<2025年度ストロー級新人王T準決勝/5分2R>
黒瀬恭平(日本)
賢人(日本)

<ジュニア修斗62キロ契約/4分1R>
髙松一喜(日本)
通事安朋(日本)

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