【Lemino Shooto02】ニシダ☆ショーと再起戦、畠山隆弥「今まで目を背けていた部分と向き合ってきた」
【写真】気持ちも新たに――笑顔のリクエストに応えてくれた畠山(C)SHOJIRO KAMEIKE
19日(日)に沖縄市のミュージックタウン音市場で開催されるLemino Shooto02にて、畠山隆弥がニシダ☆ショーと対戦する。
Text by Shojiro Kameike
畠山にとっては今年2月ONE FFでジェイソン・ミラルペスにプロ初黒星を喫してからの再起戦となる。初の海外試合であり初の国際戦を経て、畠山は何を掴んだのか。ファイターとして周りに気を遣ってばかりではいられない。「自分が目を背けていた部分と向き合ってきた」と語る畠山が改めて目指すものとは。
ミラルペス戦で冷静に戦えた瞬間は一度もなかったです
――試合までちょうど一週間、もう追い込みは終えた頃でしょうか。
「はい! 今日で終えました。今回は怪我もなく追い込みを終えることができて、前回の敗戦から学んだことも含めて、万全の体勢で再起戦に臨みます」
――前回は今年2月、ONE FFでジェイソン・ミラルペスを相手にプロ初黒星を喫しました。今振り返って、敗因は何だったと思いますか。
「僕の体の使い方やフィジカル面ですね。コアトレーニングといった部分は、ずっと『やらなきゃいけない』と思っていました。でも『やらなきゃ……』のまま続いてしまい、結局はそこから目を背けていた。そのことが試合結果に表れてしまって。
あとはテイクダウンについても、あまり打ち込むことができていませんでした。相手がストライカーだからテイクダウンの練習をするか――といった感じで。やっぱり常日頃から取り組んでいないといけない部分に、あまり時間を割けていなかったと思います」
――なるほど。
「僕は学童保育の仕事をしながらMMAの練習をしていたので、なかなかプロ練に出る機会が……。THE BLACKBELT JAPANは週2回、昼に県内の選手が集まって練習しているんです。なかなかその練習にも出ることができていなくて。今回は有給とかも使いながらプロ練に参加することもできました。おかげで試合に近い練習をすることができています。
自分で時間を工夫していけば、できることは本当に多くて。前回の敗戦をキッカケに、今まで自分が目を背けていたことに向き合うことができたし、おかげで練習の質も高くなってきたと感じています」
――これまで国内で戦ってきた相手と比較すると、まず運動量が全く違う。これまでの対戦相手と比べても、とにかく動き続けている。その相手をテイクダウンできたとしても、押さえ込めない。トップをキープし続けることができないという……
「そうですね。海外にはノンストップな感じの選手が多いとは思います。テイクダウンしても即スクランブルを発生させたりとか、常に動いている。一つのポジションで落ち着くことはない選手ばかりで」
――結果、日本人選手のほうが途中で疲労してしまう。畠山選手の場合もグラウンドでキープできずスタンドに戻って、一度肩を落とした瞬間があったように思います。
「……はい、ありました(苦笑)。ただ、あの時は試合中だけじゃなくて試合前から――まず会場が大きい。すごく高い場所までお客さんがいる。そんなことを試合前に考えちゃいけないのに、そう考えてしまったんです。
さらにリングインしたあと、ミラルペス選手がこちらのコーナーにまで挨拶に来たじゃないですか。それも『えっ、そんなことあるの?』なんて試合前に思っちゃいけないのに、そう思ってしまって。だから試合前から雰囲気に飲まれていたというか」
――そう聞くと、試合直前の挨拶もミラルペスが心理戦を仕掛けていたのかもしれないですね。
「試合直前にフワッとした状態になり、そのまま試合が始まって相手がガンガン動いてくる。『ヤバい、ヤバい』と感じながら、作戦通りにシングルレッグで入ろうと思ったんですよ。だけど普段練習しているほうとは逆の足を取りにいったりとか。中途半端な状態で組んでいるのに引き込んだものだから、気づけばマウントを取られかけていて。
すごくドタバタと試合をしていて『リカバリーしないと……』と焦ってくる。パウンドを受けて目も腫れたから余計に焦る。ようやくバックを奪えたのに、しっかりと足を組んでいないので前に振り落とされてしまう。あの試合で冷静に戦えた瞬間は一度もなかったです」
――……。
「あの試合を視た人からは『畠山らしくない』『本当に隆弥の試合だったのか』と言われるぐらいで。僕の中でも自分の力を1ミリも出すことができていなかったと思います」
自分の中では2月14日で止まったまま。次の試合で勝って、また動き始めたい
――そんなプロキャリア初の敗戦から、今回の試合まで約8カ月の間隔が空きました。それは自身でも一度休みたかったのか。あるいは、たまたま試合が組まれなかったのでしょうか。
「両方ですね。まずダメージがあって、練習に復帰するまで時間が掛かってしまいました。そこから練習に復帰して試合に出ようと思った時に――9月にLemino修斗の第1回大会がありましたよね。実は松根さんから『試合するか?』と声を掛けていただいて。
でも試合の1カ月前……8月は小学校が夏休みに入るので、学童の仕事が一番忙しい時期なんですよ。普段、学童の仕事は学校の授業が終わったあと、15時ぐらいから始まります。だから僕たちの出勤は午前11時ぐらいで。それが夏休みになると朝7時に始まって、子供たちが帰るのが16時30分ぐらいという毎日が続くんですね」
――学童の仕事は本当に大変だと思います。他の仕事がそうでないというわけではなく……学童の場合は小さい子供たちがたくさんいて、スタッフさんたちも常に目を離すことができない。そのぶん集中力も必要になるわけで。
「はい。そのなかでMMAの練習をするとなれば、睡眠時間を削らなきゃいけなくなる。仕事で疲れている状態では練習にも集中できないし、以前と同じように練習も出られない状態になってしまいます。反対に、MMAに集中することで仕事中、子供たちに集中できなくなっては迷惑を掛けるだけなので。その点を松根さんに説明して、10月の沖縄大会に出ようという話になりました。修斗沖縄大会からLemino修斗に変わる、このタイミングで再起戦をやらせてもらいます」
――これまで修斗沖縄大会として開催されてきたものがLemino修斗に変わる。それは選手の中でも意識が変わるものなのでしょうか。
「う~ん……選手の意識は変わっていないと思います。ちゃんとした試合を見せて、大会を盛り上げて勝たないといけない。その気持ちにブレはないので。
ただ最近はどんどん沖縄大会の注目度が増していて、選手としてはモチベーションも上がっているんですよ。さらに今回は国際戦も組まれていますし。沖縄大会に野瀬翔平さんが出てモンゴルの選手と対戦するなど、豪華なカードが目白押しですから」
――前回、ONE出場を選んだ理由の一つが「沖縄の練習仲間に同じ階級の選手が多く、練習仲間とは試合はしにくい」ということでした。その気持ちに変化はありませんか。
「正直、その気持ちは結構変化していて……。僕も松根さんから『お前も世界ランキング2位なのだから、今後の展望を考えていったほうが良い』と言われた時、やっぱり自分もベルトが欲しいと思ったんです。以前はその気持ちを自分の中で押さえ込んでいました。でも今は周りに気を遣うこともなく、自分もハッキリとベルトを目指してやっていきたいです」
――ファイターである以上、その意識も大切だと思います。
「やっぱり周りに譲ろうとするのは、ファイターとして矛盾しているんですよね。ただ、まずは次の試合に勝つことに集中しています。勝たないと何も始まらない。自分の中ではずっと――2月14日で止まったままなので。次の試合で勝って、また動き始めたいです」
――畠山選手が目指す修斗世界ストロー級のベルトを巻いているのは、田上こゆる選手です。その田上選手は11月、新井丈選手とのフライ級ノンタイトルマッチが決定しました。ストロー級のランカーとして「ちょっと待てよ」という気持ちはありませんか。
「それはないです。というのも、今の修斗を一番盛り上げることができるカードの一つじゃないですか。だから田上選手に対して『なぜ防衛戦をしないんだ?』という想いもないし、むしろこの試合で修斗がどんどん盛り上がってほしいですよね。そうやって注目が集まったなかで、僕は田上選手に挑戦したいと思っています」
――なるほどです。ではベルト挑戦に向けて再スタートとなる試合で対戦するニシダ☆ショー選手の印象を教えてください。
「みんなご存じのとおり、やっぱり三角絞めですよね。これまで何回も極めているので自信を持っているでしょうし、『寝技になって、この形までつくることができたら極められる』という自分の形も持っている選手です。そこで僕がどうアプローチしていくか。その形まで持っていかせないか、という戦いになると思いますね」
――確かに前回の高宮諒戦も、三角絞めのセットアップから極めるまで動きは鮮やかでした。砂辺選手と対戦する福島祐貴選手も三角絞めを狙うことが多く、まさにそれがBURSTの強みだと思います。ただ「この形まで……」ということは、その形がどういうものかは分かっているということですね。
「はい。この形が好きなんだろうな、というものは見えてきています。その点を踏まえて対策を練り、プランも立ててきました。今回は他にも面白そうなカードが並んでいますけど、僕は2月に応援してくれた人たちのためにも、何が何でも勝ちたいです。勝ってマウスピースを高く上げ、一発ギャグをするまでが僕の仕事だと思っているので」
――アハハハ。やはり勝てばギャグは見せるのですね。計量の時、選手挨拶の時、そして勝った時……。
「あとMVPに選ばれた時用のギャグも用意します(笑)」
――試合前に4つも!
「今回の選手挨拶は僕じゃないということで、まず一つ消えて3つになりました。あと計量の時は小道具芸なので創っていくとして――試合当日は必ず勝ち、MVPを取って2回ギャグをやります!」
■視聴方法(予定)
10月19日(日)
午後4時45分~ Lemino
■Lemino Shooto02対戦カード
<バンタム級/5分3R>
野瀬翔平(日本)
シンバートル・バットエルデネ(日本)
<ウェルター級/5分3R>
西條英成(日本)
クルボン・バトル(ブラジル)
<フライ級/5分3R>
宮城友一(日本)
シモン・スズキ(日本)
<ストロー級/5分3R>
畠山隆称(日本)
ニシダ☆ショー(日本)
<フェザー級/5分2R>
内藤太尊(日本)
工藤圭一郎(日本)
<ストロー級/5分2R>
梅木勇徳(日本)
平良龍一(日本)
<バンタム級/5分2R>
ショージン・ミキ(日本)
水嶋敬志(日本)
<フライ級/5分2R>
砂辺光久(日本)
福島祐貴(日本)
<2025年度ストロー級新人王T準決勝/5分2R>
黒瀬恭平(日本)
賢人(日本)
<ジュニア修斗62キロ契約/4分1R>
髙松一喜(日本)
通事安朋(日本)