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【Black Combat14】キム・ソォンジェの挑戦を受ける駒杵嵩大「僕のようなタイプは勝ち続けるしかない」

【写真】防衛戦のオファーは年明けすぐだったようで、とにかく試合を望む駒杵(C)SHOJIRO KAMEIKE

6日(火・現地時間)に韓国・インチョンのインスパイア・アリーナで開催されるBlack Combat14「End Game」で、同フライ級王者の駒杵嵩大がキム・ソォンジェの挑戦を受ける。
Text by Shojiro Kameike

昨年12月にユン・ホヨンを下し、ベルトを巻いた駒杵。1月のタイトルマッチでは計量オーバーのキム・ソンウンにペダラーダでKO負けを喫し、戴冠ならず。再挑戦で王座奪取に成功した。試合後にはアナウンサーにキム・ソンウンとのラバーマッチを煽られたが、今回の挑戦者には、そのキム・ソンウンを下しているキム・ソォンジェが選ばれた。渡韓直前、駒杵がユン・ホヨン戦で得たMMAファイターとしての成長と、韓国での防衛戦について語ってくれた。


ユン・ホヨン戦は100パーセントの力を使わないように意識していた

――戴冠から約4カ月が経ちました。ベルトを巻く前と、巻いてから今までで何か気持ちが違う部分はありますか。

「ベルトは形として一つ残せたという感じで、他は特に特には変わっていないですね。練習もそうですし、生活自体も変わるようなことはなくて。ただ『もっともっと強い相手に勝っていきたい』『大きな舞台でも戦っていきたい』という気持ちはあります」

――……と今は落ち着いて喋っていますが、試合直後は大興奮でしたね。

「アハハハ。1月にベルトを獲れなかったので、『ここで獲らなきゃいけない』という気持ちが強かったです。結構プレッシャーもあったし、ブラックコンバットという舞台では『テンションを上げたほうが良いかな』とは思いました(笑)」

――ベルトを巻いたユン・ホヨン戦では試合は序盤、駒杵選手がテイクダウンに成功するも、中盤からトップを奪われる場面もありました。その時は「スタミナが切れたのか?」とも思われましたが……。

「あの試合では100パーセントの力を使わないように意識していたんです。5分3R戦うつもりでしたし、下になっても怖くないという印象もあって。全然心配なく試合を進めることはできていました」

――テイクダウンの攻防で、無理をして力を使い過ぎないようにしよう、と。

「はい、そうです。実は試合前に負傷があったんですよ」

――えっ、そうだったのですか!?

「試合2週間前ぐらいまでは、あまり練習もできない状態でした。だけど2週間を切ったところで、負傷と付き合いながら練習するしかない。そこで負傷したところに負担が掛からないよう力の使い方を考えながら練習したおかげで、試合でも体力が全然減らなかったんです。結果、負傷したことがプラスに働いたといいますか。もともと地力だけで通用する自信もありましたし、このやり方を今後も続けていこうと考えています」

――それは良かったです。駒杵選手といえば、試合では開始早々からフルスロットルで極めに行くスタイルが特徴的でした。もしかして練習でも最初から全てフルスロットルだったのでしょうか。

「はい(苦笑)。一緒に練習している子たちを見ても、ガンガンやり続けていると少し痛むところも出てきますよね。今は僕が『そこは力を抜いたほうが良いよ』ってアドバイスできるようにもなっています」

――どんどん練習から変わってきていますね。試合中は痛みもなかったのですか。序盤からガンガン投げに行っていましたが……。

「力を使っていなかったので、痛みはなかったです。やっぱり柔道時代から足技のテクニック、体の使い方は染み込んでいますから」

――まず柔道式の投げが立体的で、かつ倒した直後のポジション獲りがスムーズでした。どんどん自身の柔道をMMAに落とし込むことができているように感じます。

「そう言っていただけると嬉しいです。佐藤将光さんに指導していただいて、UFCでも足技を使うファイターのテクニックを取り入れています。去年あたりから『グラップリングでは誰にも負けない』という自信はありますね」

いつもどおりフィニッシュできる。技術的には自分のほうが一段も二段も上

――それだけに昨年1月の敗戦は悔しかったと思います。体重超過の相手にペダラーダでKO負けを喫しました。

「僕が負ける時って、そういうパターンが多いんですよ。キャリア序盤で竿本樹生選手に負けた時(2018年8月に判定負け)は、まだ練習も経験も足りなかったです。次に杉山廣平選手に負けた試合(2021年9月)は打撃の間合いとか気にせず、自分ガーッと行って。そこにパンチをもらって自分が崩れていった結果、判定負けでした。

本田良介戦(2021年12月)も序盤に自分がテイクダウンを奪っていたのに、そのあと雑に組みに行ったところにヒザを合わされてKO負け。雑にやったり、強引に行くと負けることが多いような気がしています。

1月のキム・ソンウン戦でも『極めよう、極めよう』という気持ちが強すぎました。だから相手の足も見えていなくて、カカトが当たって負けてしまった。『負ける理由は同じだな』と、ずっと思っていましたね」

――対して現在はスタンドで構えや重心も変わってきたのではないですか。組む時も前のめりになるようなことはなく。

「以前とは変わっていると思います。まずは左ジャブで相手との距離を測る。その手があれば相手も嫌だから、自分も中に入ることができる。特に練習方法を変えたわけでないんですけど、やっぱり意識は変わりました。距離感に対する意識については常に言われていて」

――ベルトを巻いた直後、アナウンサーは駒杵選手と1勝1敗であるキム・ソンウンの名前を挙げていました。しかし今回の対戦相手はキム・ソンウンではありません。

「ユン・ホヨンは前戦でキム・ソンウンに勝っていて(昨年9月のBlack Combat12で判定勝ちしている)、ランキング2位だから仕方ないとは思います」

――もちろんです。ただ駒杵選手がベルトを獲る3カ月前に、キム・ソンウンはユン・ホヨンに敗れていました。なのに、なぜキム・ソンウンの名前を出したのか……。

「確かに(笑)。キム・ソンウンは喋りが上手くて、人気も高いんですよ。今回はブラジルオーディションで勝ち上がった選手(ガブリエル・ロドリゲス)と対戦するようですけど」

――喋りが上手い……、ブラックコンバットはYouTubeでストーリーが展開されており、試合後もトークが求められます。

「そもそもYouTube上で展開されている大会ですし、SNSで発信している選手が多いですよね。最近は日本も同じような感じになっていますけど……。『今の選手は、ただ強いだけではダメだ』という風潮にもなっていますし」

――駒杵選手もプロモーターサイドから、SNSでの発信を求められるのですか。

「もっとSNSで発信してほしい、とは言われます。でもそれができていないのが現状で……。実際、ブラックコンバットに出るようになってから、僕のSNSも韓国のフォロワーが増えて、DMも頂いたりしています。チャンピオンになった翌日、時間があったので買い物に行ったら『タンク選手(※駒杵のニックネーム)ですか?』と声を掛けられました。

ただ、僕は試合で魅せていかないといけないタイプだと思っているので、しっかり技術を学んで高めていきたい。負けても干されない選手っているじゃないですか。僕のようなタイプは、とにかく勝ち続けるしかないです」

――次の防衛戦、挑戦者のキム・ソォンジェにはどのような印象を持っていますか。

「至近距離で打ち合いをしているイメージがありますね。そこに気をつけていれば、いつもどおりフィニッシュできると考えています。近い距離に入ってくれば僕は組むことができますし、技術的には自分のほうが一段も二段も上なのかな、と思います」

――今回の試合も含めて、今後はまずブラックコンバットの防衛戦が軸になっていくのでしょうか。

「はい。このベルトを守っていくことが、今の僕の使命だと思っています」

――1勝1敗のキム・ソンウンとは、いずれ対戦したいですか。

「いや、対戦したいかといえば……彼はそのあと勝っていないですからね。僕が望んでいるのは、強い相手と対戦することです」

――なるほど。最後にMMAPLANETの読者へメッセージをお願いします。

「いつも応援していただき、ありがとうございます。今回も自分の力を存分に発揮して、油断することなく、代名詞でもあるグラップリングでのフィニッシュを目指します!」

■Black Combat14 視聴方法(予定)
5月6日(火・現地時間)
Part.2 午後5時30分~
Part.1 午後1時~
Black Combat YouTubeメンバーシップ

■Black Combat14 対戦カード

Part.2
<Black Combatウェルター級王座決定戦/5分3R>
チェ・ジュンソ(韓国)
パク・ウォンシク(韓国)

<Black Combatフェザー級選手権試合/5分3R>
[王者]ソン・ユチャン(韓国)
[挑戦者]パン・ソンヒョク(韓国)

<バンタム級/5分3R>
竹中大地(日本)
マイコン・ブルーノ(ブラジル)

<Black Combatフライ級選手権試合/5分3R>
[王者]駒杵嵩大(日本)
[挑戦者]キム・ソォンジェ(韓国)

<バンタム級/5分3R>
キム・ドンギュ(韓国)
キム・デフォン(韓国)

<フェザー級/5分3R>
シン・スンミン(韓国)
イ・ドギョム(韓国)

<ミドル級/5分3R>
ロッキー・マルチネス(米国)
エドゥアルド・ガルボ(ブラジル)

<ウェルター級/5分3R>
パク・チャンソル(韓国)
ミルソン・カストロ(ブラジル)

Part.1
<ライト級/5分3R>
パク・ジェヒョン(韓国)
ファン・ドユン(韓国)

<ライト級/5分3R>
キム・ジュンギュン(韓国)
イ・ヨンフン(韓国)

<ライト級/5分3R>
ジョン・ハングク(韓国)
チャン・グニョン(韓国)

<バンタム級/5分3R>
チョン・ギュンヨル(韓国)
パク・ソンジュン(韓国)

<フェザー級/5分3R>
ルカス・ベント(ブラジル)
レオナルド・ジニス(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
ニコラス・サントス(ブラジル)
ファビオ・サントス(ブラジル)

<フライ級/5分3R>
キム・ソンウン(韓国)
ガブリエル・ロドリゲス(ブラジル)

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