【PFL WT2025#02】渡辺華奈と対戦、ジェナ・ビショップ「上でも下でも、グラウンドは私の庭」
【写真】ケージに入る時のメイクとは少し違い、優しい表情のビショップ。名テニスプレイヤー=トレーシー・オースチンを思わせる笑顔だ(C)MMAPLANET
11日(金・現地時間)、フロリダ州オーランドのユニバーサル・フロリダでPFL WT2025#02が開催され、ジェナ・ビショップが渡辺華奈と対戦する。
text by Manabu Takashima
シーズンフォーマットから、8人トーナメントに変更された2025年のPFL。一つ、一つの勝利を積み重ねるというMMAファイターにとって普遍の生き残り方法に変化はないが、”面倒”なポイント計算がなくなったので、ファイターたちはより自分の戦いに集中できる。
目の前の対戦相手に勝つのみ。ではノーギ世界王者で、道着でもマスター王者となったビショップはMMAにおける柔道✕柔術をどのように捉え、渡辺に勝とうとしているのだろうか。
――今週の金曜日に渡辺選手と対戦します。今の気持ちを教えてください。
「試合があるだけで、凄く嬉しいわ。でも、今回の試合は本当に楽しみよ」
──シーズンフォーマットから、8人制トーナメントに変更されました。この点について、どのように感じていますか。
「正直に言えば、この変化は嬉しいという一言ね。確かな理由はないんだけど、直感というか。こっちの方が私は戦いやすいと思ったの。でも……もう、こうして試合を目前に控えると関係ないわね(笑)。準備をして、勝つ。どの試合も勝ちたくて、戦っているわけだから。勝ち続ける。そんな試合結果しか、ファイが―は求めていないわけで」
──記事を書く立場でもポイントを頭に入れて試合をチェックしないといけなかったです。
「それに比べると、トーナメントはいたってシンプルよね。ポイント制の時は、少しでも早くフィニッシュしないといけないという気持ちがあって戦っていたわ。そういう意味では、ただ戦うよりもプレッシャーがあった。私としては、いつだってフィニッシュすることを考えているけど、試合タイムの短さを争うつもりでは戦っていないから。
去年は常に頭のどこかに、ポイントを取るための試合タイムが残っていた。でも、今回はただ勝つことに集中すれば良い。必死で練習していたことを、試合に出して勝つ。それだけが目標よ」
──特にシーズン第2戦は、試合順によってはポイントばかりか試合タイムを気にしないといけない選手も出てきました。
「だから8人トーナメントだと、普通のワンマッチと気持ちも準備もほとんど変わりなくて集中しやすいわ。勝利以外の要素を考える必要がないので。加えて、試合のオファーを待つこともなく、トーナメントだと勝てば次がある。3試合連続で戦って、勝ち続けるだけ。この方がずっと戦いやすいわ。ブレイクなんて要らない。すぐに試合がしたいから、今年はそうやって過ごしたい。このニューフォーマットの良さを生かして」
──8人トーナメントではなかったですが、昨年は3試合を戦いました。チェルシー・ハケット戦の素晴らしい腕十字での勝利。UFCタイトルコンテンダー=タイラ・サントスとの競り合い。そしてダコタ・ディチェバ戦で、どのように成長を実感できましたか。
「ケージに上がる度に経験を積めることは当然として、1Rごとに成長できると私は思っている。それに試合と試合の間に課題を克服して、力をつけることもできたわ」
──ではトーナメント1回戦で戦う渡辺選手の印象を教えてください。
「彼女は本当にタフな対戦相手よ。柔道が強くて、経験も豊富。グラップラーとして、他の優れたグラップラーとの戦いは凄くチャレンジングなモノ。きっと良い試合になるわ」
──渡辺選手はトップゲームが強いです。ノーギ・ワールズ、ワールドマスター柔術の世界王者として、どのような組みをこの試合で見せたいと思っていますか。
「トップだろうが、ボトムだろうが、グラウンドは私のフィールドよ」
──柔術はボトムから多くの攻めるオプションがありますが、MMAは当然のようにパウンドが存在しています。
「もちろんパウンドがあることで、柔術のテクニックをそのままMMAで使えない場合もある。同時に殴ろうとしている相手は、サブミッションの隙を与えてくれる。あるいはスイープで、こっちが上になる機会にもなる。トップになればフィニッシュに近づくしね。
ここに関して、私は十分なスキルを持っているわ。カナ・ワタナベはトップで戦いたいはずよね。私も柔術なら下を選ぶけど、MMAを戦う以前からノーギになるとトップで戦ってきた。道着がないときは、重力に反発せずに有利に戦いたいから。
それに私は自分のグラップリングだけでなく、レスリングにも自信を持っているし、テイクダウンもできる。そしてMMAだとトップからの攻撃の方がダメージを与えられる。でも、トップだろうがボトムだろうが、どっちになっても問題なく戦えるのが私の強みだから」
──となると渡辺選手の柔道とジェナのレスリング、立ち技での組みの攻防も熱くなりそうですね。
「レスリング、ノーギ柔道スローは私の得意とするところだし、その分野においてコーチのジャスティン・フローレスの知識は秀でている。テイクダウングラップラーの指導において、彼の右に出る指導者は見当たらないわ。
カナの柔道が強いことは分かっている。私の柔道が彼女の柔道と同じレベルにあるなんて言えないことも。でも私だってブラジルの柔道ナショナルチームと練習をして、投げることはできる。人それぞれディフェンスの方法は違うし、私は彼女の柔道に対応できると自信を持っているわ。
それに打撃もある。打撃、レスリング、グラップリングの全てを駆使し、コンプリートファイター……本当の意味でマーシャルアーチストだって証明してみせる」
──日本人ファイターとの対戦ですが、日本のファンにメッセージをお願いします。
「日本で戦うことが、私の夢なの。ファンがファイターを尊敬し、ファイトを理解してくれている。中継を視て、あの静かな会場には驚かされたわ。私もあの場で戦ってみたい。凄くクールなファンの前で、皆に私のファイトを楽しんでもらいたい」
■視聴方法(予定)
4月12日(土)
午前8時45分~U-NEXT
■PFL WT2025#02対戦カード
<バンタム級T1回戦/5分3R>
レアンドロ・イーゴ(ブラジル)
ジョシュ・レッティングハウス(米国)
<女子フライ級T1回戦/5分3R>
ジュリアナ・ヴェラスケス(ブラジル)
エカテリーナ・シャカロワ(ウクライナ)
<バンタム級T1回戦/5分3R>
フランチェスコ・ヌッツィ(イタリア)
マンド・グティエレス(メキシコ)
<バンタム級T1回戦/5分3R>
カスム・カスモフ(ロシア)
ジャスティン・ウェッツェル(米国)
<女子フライ級T1回戦/5分3R>
リズ・カモーシェ(米国)
イララ・ジョアニ(ブラジル)
<バンタム級T1回戦/5分3R>
マテウス・マトス(ブラジル)
ジェイク・ハードリー(英国)
<女子フライ級T1回戦/5分3R>
ジェナ・ビショップ(米国)
渡辺華奈(日本)
<女子フライ級T1回戦/5分3R>
エローラ・ダナ(ブラジル)
ジアナ・アフサラゴワ(ロシア)
<バンタム級T補欠戦/5分3R>
マルシルリー・アウベス(ブラジル)
ヴィルソン・ンドレジョニ(ボスニア)